昼夜放牧している子馬が、朝、中足骨を骨折しているのが発見された。
担当の獣医師がフルリムキャストを巻いて、来院。
骨折部の形状としては横骨折でいいだろう。
骨折部はフルリムキャストの中でずれてしまっていた。
骨折を起こしてから時間も経っていたのかもしれない。
骨折線は磨かれて、ピタリと合うとはいかなかった。
皮膚の一部には穿孔創があった。
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横骨折なので整復は容易だったが、完全な位置を保つのが難しい。
中足骨部全体がひどく腫れているので、肢の形状を把握しづらい。
骨折部の背側を10cm切開し、骨折部を合わせて、切開部からブロードLCPをminimally invasiveに入れた。
近位部に皮質骨スクリューを入れて骨にLCPを押し付ける。
遠位部にも皮質骨スクリューを入れる。これはloadで入れてコンプレッションをかけた。
あとはLHSを近位と遠位へ交互に入れていくが、minimally invasiveでやっているので、なかなか難しい。
外側にナローLCPを入れることにした。
先に入っているブロードLCPへのスクリューと当たらないような位置に奥のに細心の注意を払う。
LCPの1点に力が集中して破損するのを避けるために骨折部近くの孔へはスクリューは入れないことにした。
最後に骨折部を貫通するように皮質骨スクリューをポジションスクリューとして入れた。
本当は完全な角度と向きに整復して、最初にこのスクリューをlag screwとして入れたい。が、横骨折で、骨折部が傷んでいたこともあって、できなかった。
近位部にLHSを付け加えるかどうか考えたがやめた。
キャストするかどうか考えたが、麻酔覚醒のためにもフルリムキャストすることにした。
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作戦を考えながら、的確に進めなければならない。ここがポイントというところもある。
うまくいかない部分もあるが、修正するのでなければ、進行中は後悔しているわけにはいかない。
オリンピックの競技を観ていて、共通する部分を感じたことであった。
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ノラニンジンの花盛り。
次回Richardson教授のコメントを紹介します。
1週間でキャストを外せるという以前にまかなくてもいけるぐらいの固定であるというのはすごいですね。
ポジションスクリューが最後になるのは良いではないですか。
初めに入れてプレート固定を進めていったら応力がかかり始めて何日かしたらスクリュー周辺で崩壊が始まるというよりは良いと思います。
ラグスクリューにしても引き付ける作用は乏しいでしょうけれども。
DrRichardsonなら動いているからプレートが折れるんじゃいってもりもりスクリュー入れていきそうな気もします。。