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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

北海道産業動物獣医学会 2022

2022-09-08 | How to 馬医者修行

9/1に帯広畜産大学を会場に開かれた北海道産業動物獣医学会に参加してきた。

covid19オミクロン株の第7波が蔓延していることもあり、2会場に分かれ1日だけ。

パーティーはなし。

シンポジウムもなし。

演題数は一番多かったときの2/3ほどだった。

コロナのせいもあるかもしれないし、

会場が札幌や江別ではなく帯広だったためもあるかもしれないし、

学生に発表させていた先生が北海道の大学を去られ、学生の発表が減ったこともある。

             ー

NOSAIからの発表も減ってしまった地域もある。

たまたまかもしれないし、

全道合併の影響もあるのかもしれない。

調査や研究など「自己研鑽」は仕事時間外にやれ、

職場のパソコンは自己研鑽のデータ集積や発表準備に使うな、というお触れ?が出ているが、

私はとんでもないことだと思う。

私たち臨床獣医師の診療は、獣医科大学を卒業して、獣医師国家試験に合格していればできる、などというものではなく、

毎日の診療の中で学び続けないと、向上するどころか、満足なレベルで仕事をすることさえできない。

決められた通りに注射をうってくればそれで事足りる仕事ではない。

私などは、北海道産業動物獣医学会で学ばせてもらわなければ、とてもやってこれなかった、とさえ思う。

            ー

大学を出て、獣医師になって、わからないことがあると教科書を調べながら診療する。

何もかも成書に書かれているわけではない。

珍しい病気などは文献を調べたりもする。

教科書よりは新しい文献があったりする。

学会に行けば、他の地域でどうしているか情報が得られたりする。

その分野に興味を持っている先生と面識ができていれば質問することもできる。

それらのことは「自己研鑽」で片付けられることではない。

診療業務の一部なのだ。

長くなるのでつづく

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懐かしい十勝の風景を走った。

私にとっては日高山脈の山々もそれぞれが思い出になっている。

十勝幌尻岳、カムイエクウチカウシ、コイカクシュ札内岳、ペテガリ、etc.

濃厚な6年間を過ごせたことに感謝している。

           

 

 

 

 


酪農学園大で講義 運動器疾患・泌尿生殖器疾患

2022-07-13 | How to 馬医者修行

月曜日は、また酪農学園大で講義。

今回は、1講目、運動器疾患。

馬の運動器疾患を90分ですべて解説するのは無理。

習って知っているはずの解剖学を思い出してくださいよ。

から始めた。

私は獣医師の卵たちが、骨の名前もスラスラと答えられないのを良く知っている;笑。

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「馬は骨が折れたら治らない」と言われていたが、「必ずしもそうではない」と骨折内固定まで話した。

抜け落としなく講義するのは本職の先生方にまかせて、私は私にしかできない話のために招かれているのだろうから。

馬はどういう病気や事故でダメになっているか?

骨折はその最たる原因のひとつで、それを何とかするのが私の仕事であり夢であったこと。

その話から、獣医臨床のやりがいを感じてもらえたら、と考えた。

寝てる学生も居るけどね;笑

あとは感受性や真面目さや想像力の問題かな。

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2講目は泌尿器生殖器疾患。

馬は泌尿器疾患は多くない。

膀胱破裂くらいかな。

生殖器疾患として産科学に力を入れて話した。

分娩事故も生産地の馬の死因のひとつ。

かつては助けられなかった馬を助けられるようになったのがこの30年だった。

そのための馬獣医師の責任とやりがい、を感じてもらいたかった。

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人生は1本の映画のようだ。

喜劇もあれば、悲劇もある。

面白くて悲しいものもある。

面白くも悲しくもなく、平平淡々とした映画もある。

あなたが一生懸命演じれば、それは優れた映画になるだろう。

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最後に、香港の美術館で見た文を紹介しておいた。

「あの業界の方が初任給が1-2万円高い」とか、

「ここはボクに向いてるところじゃない」とか、

「別なところも経験してみたい」とか、

”自分探し” ”温室探し” ”blue ocean 探し” ばかりしようとする若者が居ることも知っている。

主演俳優が、本気で演じていない映画が良い映画になるはずがない、と私は思う。

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とあるバラ園に立ち寄ってバラを見てきた。

きれいなんだけどね~

 

 

 


麻布大学で「馬の消化器疾患」の講義

2022-06-23 | How to 馬医者修行

20日仕事を終えて千歳空港へ向かい、9時の飛行機で羽田へ。

うとうとしながら羽田へ着いたら眠たい。

私はいつもはもう寝ている時間だ。

羽田空港内のホテルで熟睡。

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羽田から京急で横浜へ。京急蒲田で乗り換え、おまけに鈍行だったので遅い。

横浜でJRに乗り換えて、東神奈川戻り戻り、乗り換えは新横浜だっけ?八王子行きに乗り換えて、これも鈍行。

結局、羽田から2時間以上かかって麻布大学へ。

大学のHPには羽田から75分ということになってるんだけど;笑

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講義の対象は5年生。

まだローテーションは始まっていないそうだ。

北海道のNOSAI獣医師は、酪農学園大の卒業生が一番多く、二番目は麻布大学の卒業生が多い。

獣医科大学が大動物臨床の教育に力を入れてくれれば、関東圏の獣医科学生たちだって北海道の大動物診療に興味をもってくれるのだろう。

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小動物志向で入学している学生が多いのだろうから、小動物の話も交えながら馬の診療の話をした。

Dukeの写真は効果があったように思う。

ゴールデン可愛いですね、と言ってくれた学生もいたから。 

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学生さんたちが寝ないし、スマホもいじらないで話を聴いているのには驚いた。

私の話がそんなに面白いはずはない;笑

馬の臨床に興味がある学生など1割もいないだろう。

約1000人が毎年獣医師になるが、そのうち大動物臨床へ進むのは1割、馬は10人くらいだろうから1%ほどなのだ。

            ー

それでも、日本にも少なからず馬が居て、生産地の馬の臨床も継続し進歩していかなければならない。

獣医師の供給源は獣医科大学しかない。

出かけて行って講義をして、馬の臨床に興味を持ってもらわないと続いてさえいけないのだ。

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3時の飛行機で帰ってきた。

昼食を食べる暇はなかったが、夜は家で食べられた。

24時間以内で行って帰ってこれるんだから、近いもんだ。

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今日は、

披裂軟骨炎の2歳の披裂軟骨切除。

喉嚢真菌症の子馬の再検査。

午後、繋靭帯炎のトリミング手術。

顔面陥没骨折が治った子馬のプレート抜去手術。

 

 

 

 


struggle with referee, or straggle 馬医者の幸せな時、そしてレフリー(scrutineer) との闘い

2021-10-19 | How to 馬医者修行

疝痛を見つけてから35時間ほど経って開腹手術をすることになった結腸変位の繁殖雌馬。

手術の翌朝、絶食のための口カゴを外して、口元へ青草を持っていくと食べる。

もう50時間ほど絶食しているので、腹も減っているだろう。

術前のPCVは48%とひどく高いわけではなかったが、経過時間が長かったし、

手術時には赤褐色の濃縮尿をしていて、手術中は排尿がなかった。

疝痛経過中にフルニキシンを何度も投与することにもなったので、腎機能も心配した。

まあ、食欲はある。

午後に結果の出た血清生化学検査で、クレアチニン、BUNの値も問題なかった。

治療した馬がふたたび食べられるようになってhand feeding できるのは、馬医者にとって幸せな時だ。

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朝は、当歳馬の飛節深屈腱の腱鞘炎。

腱鞘鏡手術ではなく、穿刺して排液し、トリアムシノロンを入れた。

午後、1歳馬の喉内視鏡の検査。

繁殖雌馬の蹄葉炎の診察。

当歳馬の腰痿。

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症例報告を学術誌に投稿し、審査が終わって修正を求められている。

しかるべき修正をして、再投稿しなければならない。

それはまるで審査員referee との格闘だ。

私も学術論文の審査を頼まれることもあるし、学術誌の編集員もしている。

「編集員も審査員も、論文投稿者の敵ではなく、良い論文に仕上げるための見方です」

「自分達の学術誌を持つ意義、自分の分野の学術報告が掲載されることに意義があります」

という編集委員長の言葉に感じるものがあって、編集のお手伝いも、審査も、できるだけ断らないようにしている。

しばらく格闘する;笑

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struggle 闘う、分けて進む。

straggle だらだらと広がる、落伍する。

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小学生の頃、私の好きなものの一つは蒸気機関車だった。

機械として好きというより、蒸気機関車が走っている姿や風景に魅かれていたのだと思う。

CとDの持つ意味を知っている人は多くないでしょう?

もう、実際に走っている姿を観たことがある人も減っているだろう。

 

 

 


記憶と記録に残る夏 2020+1

2021-08-08 | How to 馬医者修行

暑い。

北海道でこれだから日本中、この暑さから逃れられるところはないのだろう。

オリンピックの競歩やマラソンも札幌じゃなくて釧路がよかったかも。

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2歳馬の飛節の外側の血腫のような膿瘍切開。

当歳馬の球節の細菌性関節炎。関節鏡で洗浄した。

血液検査業務。

3歳馬の陰睾の去勢。手術室で手術台に乗せて、吸入麻酔で。

不快指数が高く、ネトネトで、さっさと引き上げたら、繁殖雌馬の手のつけられない疝痛の連絡。

シャワーを浴びて戻ったおかげでいくらかはリフレッシュして手術できた。

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暑い中、死力を尽くして闘うアスリートたちの姿に気力をもらっている。

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大阪でハンドボールをやっていた高校生のころ。

あの頃は、水を飲むとバテる。などと言われていた。

私自身はそうは思っていなかったけど。

夏の試合の前日に長距離を走って、「水を抜いたから明日は走れる。水分摂るなよ」、と上級生に言われていた。

それで試合で走れるわけがない。

大阪府の高校ハンドボールは、炎天下のグラウンドでやっていた;笑

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トライアスロンの大会もほとんどは夏だった。

春の大会は診療が忙しいので参加できないし、台風が来るし、日が短くなるので秋の大会は少ない。

脱水対策は重要な作戦だった。

水泳中は補給できないので、自転車に乗ったら小まめに補給する。

水をもらう選手が多いが私はスポーツドリンクを補給するようにしていた。

塩分と糖を補給できる。

6時間あまりで190kmほど走るのだが、その間いちども自転車を降りない、停めない。

カロリーは走りながら受け取るバナナだけ。

だから、飲み物は水じゃなくスポーツドリンク。

頭からかぶれないけどね。

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フルマラソンも何度か走ったが、印象がよろしくなかったのは北海道マラソンだ。

スタートは時間がかかる。先頭がスタートしてから私の様なシモジモのランナーが動き出すのは数分経ってから。

コースは混雑していて、まともに走れない。

ランナーがばらける後半になると、補給所にも水やドリンクなくなっていた。

炎天下の都会を走って何が面白い。

交通規制に文句を言って、トラブルを起こしているドライバーが気の毒だった。

スポーツの大会くらい田舎でやろうぜ。

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