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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

日本獣医師会2015 骨折治療の基本と最新情報

2015-02-22 | 学会

学会も3日目。いいかげん疲れてきたが、私自身の出番は最終日の午後。

午前中は、小動物の骨折治療の基本と最新情報についての講演を聴いた。

講師はコーネル大学の林慶先生。

USAで小動物外科専門医となって、さらにいくつかの大学で教育・指導に当たっておられることは素晴らしい。

林先生には、以前、札幌で外科麻酔学会があったときに馬のセッションとしてUSAの外科専門医制度について講演していただいた。

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今回の講演では、基本に忠実に!を繰り返し述べておられた。

日本では小型犬が圧倒的に多く、それも室内飼育されることがほとんどなので、骨折事故はテーブルから飛び降りたとか、飼い主から落ちたとかによる橈尺骨骨折がとても多いらしい。

実は、USAでも近年は小型犬が増加していると聞いたことがある。

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犬も骨折内固定手術後は、2週間はケージレストさせ、その後、すこしずつ歩かせ始める。

犬はケージに入れておけばほとんどの時間を寝て過ごすので、馬房内でも立って歩き回る馬とはかなり事情が異なる。

馬は体重が重いだけでなく、気性的にも、種の動物としての生活様式でも、骨折の良い患者とは言えない。

同じ大動物でも牛は気性が穏やかで、ほとんどの時間を寝てすごし、骨の形も太くて短かく丈夫で、馬よりははるかに骨折の良い患者だ。

最近は牛の骨折を治療した症例報告を見かけるようになっているのだが、あまりに獣医さんに整形外科の基礎知識がなくて残念に思うことが多い。

いきあたりばったりで、あるいは目の前で骨折した動物を見て、はじめて考えてやってみる。というのは「素人」がすることだ。

それでは失敗した経験談だけが積み重ねられていく。

あるいはうまく行ったとしても、それは幸運に支えられたまねをしない方が良い経験でしかない。

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腕節を屈曲させてキャストを巻くとか、

髄内ピンによる牛の骨折の治療とか、

創外固定とか、

私はナンセンスだと思う。

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基本を学ぶことの大切さをあらためて教わった講演であった。

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4 コメント(10/1 コメント投稿終了予定)

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Unknown (はとぽっけ)
2015-02-22 23:04:17
 「骨折の治療」にもいろいろな方法があるのですね。
 骨折部位、種、年齢、その方法の手技、それぞれに「基本」があるでしょうから、「基本」だけでも盛りだくさんですね。
 髄内ピンはインコなどでは使われる手法かと。
 同じ種でも飼養目的、経済的観点による治療方法の選択の違いというのもあるのでしょか。
 どんな新しい治療もそういった「基本」を踏まえてのことなのでしょう。hig先生にはもう当たり前のことなのでしょうけれど。
 次回はいよいよhig先生の発表のことですね。
 オラ君、こういうアングルの耳立ち顔、たまらなく好きです。(*^_^*)
 カラーではきっとたくさん遊んだ証拠が見られたでしょうね。雪はないのでしょか?
 ゴルはさみしいことも少なからずあったと思うのだけど、サイレンの真似の遠吠えさえ、たぶん1回しか聞いたことがないなぁと、思い返しています。
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>はとぽっけさん (hig)
2015-02-23 05:29:10
いろいろな条件の中で「基本」が確立されていかなければならないと思います。まだ「基本」として確立されていない部分も数多いです。それなら、他の動物での「基本」を学び、取り入れるべきでしょう。ただし、それは例えば創外固定やプレート固定が難しいほど骨が細いげっ歯類や鳥類で使われる髄内ピンを牛に使うことではないと考えます。髄内ピンは回転を固定する力がありませんから。

雪はほとんど融けました。今日は雨のようです。

うちのは毎日遠吠えします。
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Unknown (zebra)
2015-02-23 07:49:54
骨折に限らず切っただけで売り物にならなくなるのが牛です。
そこを乗り越えて切ったところで、獣医師はともかく生産者がペイしないでしょう。

優秀な小動物先生の大反撃がありませんね。
ささやかな工夫であるクローバーピンはともかく、髄内を埋め尽くすほどのマルチピンニングの旋回抑制力は相当なものです。
プレート同等を超えて、骨が裂けると思います。
何が問題か?垂直の固定力が全くないのです。それに伴い関節への攻撃が発生します。
キャストではなく、完璧なトーマススプリントの作成と装着による免重が併用出来ない人と体格の動物には応用するべきではありませんね。
プレート固定も2本スクリューが打てない粉砕は整復できないですし、馬ぐらい固定力が要求されるプレート固定で成立するのは完璧なロッキングか成立したLCPだけでしょう。
DCPのスクリューは1期癒合の時点で相当浮き始めているはずです。
この辺に人工骨スクリューの応用ヒントがあると思っていますし、髄内釘もまだ先があるテクニックだと考えています。

基本的に症例報告を根拠に手術を考えるのは上手くありませんね。自身で基本を積み上げながら考えるべきです。
そんな主観的な症例報告を地区とか全国に担ぎあげる権力がいますが、からかっているんじゃないかと思います。
周囲はドン引きですし、発表者は将来トラウマになることでしょう。
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>zebraさん (hig)
2015-02-23 19:39:08
馬もそうですが、牛も自分で使うくらいのつもりがないとダメなんでしょうね。

髄内ピンの究極は今のところインターロッキングネイルでしょう。特殊が器具が必要で、大動物用に備えるならプレートが先だと思います。

症例から学ぶことでしか基本も確立できません。しかし、症例で失敗する前に学べる基本は学んでおくべきです。
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