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馬医者残日録

サラブレッド生産地の元大動物獣医師の日々

寒い!牛の難産に馬の子宮捻転に結腸便秘

2019-02-08 | 繁殖学・産科学

朝、-17℃。

寒くなるとニュースで聞いて、暖房を大きくし、外へは防寒具を着けて出ても、空気が冷たい。

朝、1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

黒毛和牛の帝王切開。

牛は途中で寝てしまったし、子宮が遠くて、たいへんな帝王切開になってしまった。

単なる尾位で、片方の後肢が触れなかっただけなんだけど。

次いで、繁殖雌馬の疝痛。

4月初め分娩予定なのだが、子宮捻転だった。

3時近くなって昼食に帰ったが、そのときで・・・

-18℃。

きのうは、4日間はらいたをしている結腸便秘の馬が来た。

寒いので水もあまり飲まないのだろう。

牛の難産や、馬の子宮捻転も、この寒さに影響されているかもしれない。

相棒もこれでは水が飲めない。

この寒さはしばらく続くようだ・・・・・


難産による子宮穿孔からの腹膜炎

2019-02-05 | 繁殖学・産科学

5日前、私が出張中に来た大難産。

まだ5歳だが肢に問題をかかえた馬で、立てなかったので牧場で切胎したが、それでも出ない、と運ばれてきたのだそうだ。

その後、調子が悪く、再来院した。

オーナーの意向で、やれるだけのことはやってください、とのこと。

開腹したら血様腹水があふれ出た。

感染により徐々に増量した腹水というより、難産時の子宮穿孔による出血が大きかったのだろう。

早い時期に超音波検査で見えたはずだ。

腹腔内からは胎便も出てきた。

胎便はもともとは無菌だが、やはり便だし、消化酵素を含んでいる。

子宮穿孔創は2ヶ所だった。

これはいつも気をつけないといけない。

腹腔内へ生理食塩液を5-7リットル入れて、シリコンチューブで吸引することを繰り返す。

40リットル以上で洗浄した。

サイホン式でも洗える。

血餅や胎盤の切れ端も流れ出てきた。

                  -

生きながらえるか、

今年は無理でも来年以降に受胎するか、

そして、難産の要因になったであろう肢の問題も治せるか、

やるだけやる、というのはそういうことだ。

                ///////////////

家の裏のオンコが丸裸。

風でやられたのか?と思ったが、枝も折れているし、樹皮も削れている。

周りには・・・・シカの足跡いっぱい。

オラが居ない夜が増えると、こうなります。

ちゃんと番犬してるんだから、もっとエサよこせ

 

 

 


iatrogenic 子宮穿孔

2019-01-18 | 繁殖学・産科学

今日は、午前中1歳馬の飛節OCDの関節鏡手術。

そのあと、15歳繁殖雌馬の子宮穿孔。

この馬、「5月分娩予定だったが、先日流産した。

後産が残っていたので、オキシトシンを投与したら、後産は落ちたものの、疝痛を示して子宮脱していた。

なんとか押し込もうとしたが、怒責が強く、なんとか押し込んだものの、その後調子が悪い。」

ということで来院した。

超音波検査で腹水の増量、腸管の肥厚、を診断し、

腹水中の白血球数が6万超であることから腹膜炎と確認し、

経過から、子宮脱を押し込んだ際の子宮穿孔だろうということで開腹手術することにした。

                 -

子宮角に10cmの裂孔があった。

                 -

子宮脱も、子宮穿孔も、医原性 iatrogenic だ。

今まで、オキシトシンの点滴投与以外の投与方法について懸念を書いてきた(胎盤停滞について)。

(悪露停滞について)

今回のような症例があったことも、記録し、記憶しておきたい。

                 ー

子宮の穿孔創は縫合して閉じて

腹腔内は生理食塩液10リットルで洗浄した。

腹部には32Frのトロッカーカテーテルを留置した。

                 ー

術後、この繁殖雌馬は横臥していたり、伏臥したり。

出血と、腹膜炎によるショックなのだろう。

術後12時間頃には落ち着いてきて、寝なくなった。

翌朝、5時に腹部のドレイン解放。オレンジ色の腹水がジャーッと流れ出た。

それでも数リットルだろう。

6時半に生理食塩液2リットルを注入。

7時半近くに観てもまだ少しずつ流れ出ていたので、あと1時間してから抗生物質を入れた生理食塩液を入れることにした。

                /////////

 

 

日当たりが良いカシワは、大木になる。

何本か切らないで残すべきだね。

 

 

 


5月半ばの産科事故

2018-05-19 | 繁殖学・産科学

先週は、またまた子宮穿孔が来院した。

子宮角先端近くだったが、かなり大きく破れていた。

この季節の分娩の事故なので、もう今年は雪が多かった、などということとは関係ないだろう。

今年どうして子宮穿孔が例年の何倍もあるのかわからない。

                    -

子宮が破れて腹膜炎症状で来院するのもが多いが、大きく子宮が破れるとかなり腹腔内への出血量も馬鹿にならない。

出血性ショックを判断することと、超音波で腹腔内出血を診断すること、そして、子宮動脈破裂と混同しないことが大事かもしれない。

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きのうは夕方難産。

前肢が屈曲、頭も直せない、子馬は生きている、ということで来院。

破水から1時間半経っていたが、子馬は動いていた。

前肢は膣へ入ってきていた。横胎向。

チェーンをかけて、捻り気味に少しひっぱるが頭も横向いている。

後肢は来ていない。

頭を直したら、引張るしかない。

子馬はすでに鼻で息をしている。

男手4人で引張って、子馬の腰まで出たが、そこから引き出せない。

子馬の骨盤がひっかかるヒップロックではない。後肢が抜けないのだ。

子馬は息をしながらうめいているので速く出してやりたいが、こちらの息も続かない。

方向を変えて引張っても抜けてこない。

捻って引張ったら、子馬の下半身は捻れながら抜けてきた。

子馬の後肢が横胎向気味になってひっかかっていたのだろう。

                   -

「もう5月も末だから分娩事故もないですよね」

「そんなこと言ってると、今晩また来るゾ」;笑

                 /////////////

そして、翌日、妊娠末期の疝痛を開腹することになった・・・・・・

 


難産による死亡

2018-05-01 | 繁殖学・産科学

その繁殖雌馬は予定日を3週間ほどすぎて、日中に分娩が始まった。

お産が重かったので、近くの牧場にも助けを求め、子馬は胸まで出たが、そこから出ない、ということで来院した。

子馬は、肩甲骨はもう抜け出た状態で、それをぶらさげて怒責しながら、股を開いて歩いて来た。

こうなると、後肢が産道に入って来ているか手を入れようにも入らない。

枠場に入れて、子馬を胸椎で切胎した。

子馬はすでに死んでいる。

産道に入って来ている、と推測した後肢を探したが触れない、と言うので全身麻酔することになった。

全身麻酔して、後肢を吊り上げて、粘滑剤を入れて、それでも後肢の膝までしか手が届かない、とのこと。

切断された胸椎の断面を観ると、横胎向になっている。

胸椎にフックや産科チェーンをかけて、数人で回しながら引張るとズルリと動いて引張りだせた。

全身麻酔してから30分。

子馬は奇形や腱拘縮ではなかった。

下半身が横胎向になっていて、ヒップロック(骨盤が産道にひっかかる)していたのだろうか・・・・

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母馬は長く寝ていて、しっかり目が覚めてから立ち上がった。

が、後肢が開いてナックルし、危なかった。

それで、準備していたシートベルトで後肢同士をつないだ。

後肢は開かなくなり、足取りはおぼつかなかったが、馬運車へ歩いて帰って行った。

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帰ってからも様子は良くなかったそうだ。

翌朝には死んでしまった。

解剖してみたが、子宮や膣の穿孔はなく、腹膜炎もなく、腹腔内出血もなかった。

結腸の位置が変位していたが、肥厚はなく、疝痛の症状もなかったそうだ。

難産による疲弊と循環性ショックに耐えられなかったのだろうか・・・・

入院厩舎へ置いて、輸液してやれば良かったかもしれない。

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先日来院した馬は、牧場で切胎して分娩させたが、その後様子がおかしい、とのことで来院した。

後肢が産道へ入ってきていたそうだ。

子宮頚管の奥の腹側を大きく穿孔していてあきらめた、とのこと。

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分娩はこじれると子馬だけでなく母馬もダメになってしまう。

その判断や対応はなかなか?とても?難しい。

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これは2年前の4月30日、十勝側から。

今年は雪融けが早いかも。