真夜中のドロップアウトカウボーイズ@別館
ピンク映画は観ただけ全部感想を書く、ひたすらに虚空を撃ち続ける無為。
 



 「絶妙色洗ひ 玉までしやぶれ!」(1992『《秘》性感逆ソープ』の2013年旧作改題版/製作:旦々舎/提供:Xces Film/監督:浜野佐知/脚本:山崎邦紀/撮影:河中金美・植田中・松本治樹/照明:秋山和夫・上妻敏厚/音楽:藪中博章/編集:㈲フィルム・クラフト/助監督:高田宝重/制作:鈴木静夫/ヘアメイク:小川純子/スチール:岡崎一隆/録音:銀座サウンド/現像:東映化学/出演:柴田はるか・森山美麗・小林理香・平本一穂・芳田正浩・栗原良)。
 嬌声込みのタイトル開巻、トルコ風呂もといソープランドに於けるのと同趣向のサービスを男が女に施す、といふ次第で“逆”ソープ。逆ソープを取材するフリーライターの峯村リエ子(柴田)が従業員の橋口美幸(森山)と、美幸がモデルとなり仮面をつけた泡姫ならぬ泡王子にサービスを受けるVTRに固唾を呑む。後々登場する、帝東スポーツの北原デスクから紙面枠を貰つた編集プロダクション「ウィンド・ミル」社長の益田豊(栗原)の依頼で、リエ子は女目線による逆ソープの連載記事を書くことになつたものだつた。登場順を前後して二宮和也似の芳田正浩に続きよく見てみると井ノ原快彦似の平本一穂は、「ウィンド・ミル」社員・海原純一。大仕事に功名心を燃やすリエ子に対し、彼氏の秋山高志(芳田)はエロ企画であると難色を示す。兎も角リエ子が書き上げた第一稿を、益田は当り障りがないと大酷評。出直す形で、リエ子は再び美幸が仮面男に抱かれる模様を、VTRではなく今度はその場に同席し直接取材する。
 直接取材の成果が評価されたリエ子は、更にもう一段取材のギアを上げる。予想通りの内トラ除き配役残り小林理香は、リエ子が第二次美幸に続き実際の現場を取材する、純然たる逆ソープの顧客・佐藤明美。三番手ながら見事な釣鐘型のオッパイとキリッとした美貌とを誇る、なかなか以上の上玉。
 久し振りなので改めて整理すると、jmdbに抜けがなければ浜野佐知による逆ソープ看板シリーズは全五作。三作前の「《秘》潜入 男子禁制逆ソープ」(1992)が好評を博したのか、第二作が今作。薔薇族一本挿んで四作後の第三作「《秘》潜入逆ソープ天国」(1992/主演:藤小雪)に、1993年第十作の第四作「《秘》回転逆ソープ」(1993/主演:小沢なつみ)と続いて、最後が1994年第二作の「逆ソープ 究極の48手」(1994)。因みに、平賀勘一が今作で惜しくも皆勤賞を逃し、第一作に関して記載漏れの可能性を考慮すると、栗原良(=リョウ=ジョージ川崎=相原涼二)は微妙。「《秘》潜入 男子禁制逆ソープ」と「逆ソープ 究極の48手」はDMMにも見当たらないので、今後の新版公開を願ふしかない。話を本作単体に戻すと、リエ子と秋山の絡みの最中に投げた、リエ子が絶頂に達すると相手の首筋に噛みつく噛み癖を鍵に、底の浅い姦計が露呈し頭を抱へる男を尻目に、女達が意気揚々と闊歩する姿は旦々舎鉄板中の鉄板の十八番展開。三本柱の粒もピシャッと揃ひ、女性主義的にして商業裸映画としての要請もキッチリ果たす、浜野佐知らしい安定と貫禄の一作である。

 終盤ワン・カットのみ登場する帝東スポーツの北原デスクは、案の定山﨑邦紀。但し、後ろ髪を束ねてゐたのには軽く驚いた。


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