輸送事故


Z9 + NIKKOR Z 50mm f/1.2 S

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会社で生産した製品を、路線便で全国に届ける。
数ヶ月に1回くらいの割合ではあるが、輸送中に事故が起きる。
事故と言うのは、荷物を破損してしまう・・ということだ。
運送会社から事故の連絡が入ることもあるが、届け先の得意先から、製品が汚れているとクレームが入る場合もある。

本来は、運送会社が持ってきた時点で、荷物に問題がある場合は「受取拒否」をする必要がある。
よく見ずに受領印を押してしまうと、問題なく受け取りました・・・という意味になるので危険である。
後から文句を言っても、届けた時点では破損していなかったと、運送会社も主張することが出来る。

そうなると責任の所在があいまいになり、いろいろと揉める事になる。
結局は出荷元であるこちらが被るしかなく、泣き寝入りしたことも何度かあった。
出荷時点では念入りにチェックしているので、最初から汚れていることなどあり得ないのだが、誰かが折れないと事が収まらない。

しかし最近は、先方に届ける時点で、運送会社が「破損しています」と申告してくるようになった。
荷物をお持ちしましたが、一部破損しています・・と届け先に申し出るのだ。
受取拒否にしますか?・・と、運送会社側から聞いてくる。

結局輸送中の破損事故の発生は完全には防げないので、保険を使って対処する仕組みが定着してきたのだろう。
下手に隠そうとして、会社の信用を落とす方が損失が大きい。
時には、破損は外装だけで本体は大丈夫だから・・と届け先に受け取ってもらえる場合もある。

実は運送する側にしても、ほとんどの場合、その届けた本人が破損させたわけではない。
最終的に受取人に届けるのは、あくまで現地の営業所の配送員である。
だから破損した荷物を持って行って、相手から文句を言われる役割の人は気の毒ではあるのだ。

全国にものを送れば、途中配送センターなど中継地点で、何度か荷物の積み下ろしをする。
また自社では無く、委託した協力会社で行われる場合もある。
その輸送工程のどこかで、誰かが製品を破損したのである。

誤って荷物を破損した場合、そのまま報告せずに隠してしまう人がいるのか、あるいは届け先まで持って行ってから対応を決める仕組みになっているのかは分からない。
いつも先方に届く時点で事故が発覚する。
それから慌てて再度製造して配送手配しても、お客さんには予定の日に届けられず、迷惑をかけることになる。

具体的にどういう破損状況かというと、ウチの商品の場合、荷物を引き摺って外装を破ってしまう事故が多い。
もちろん荷物が大きくて重ければ、多少引き摺らざるを得ない事もあり、そのため製品は厚手のクッション材で包んで厳重に梱包している。
プロであれば荷物の扱い方は心得ているので、通常はそれで十分である。

ところが中には最初から持ち上げようとはせず、ズルズルと引き摺ったまま運んでいく人がいるのだ。
あれだけのクッション材を貫通して商品本体まで破損するとなると、よほど長い距離を引き摺って行ったのだろう。
地面に段差や突起などあっても、その上を擦ったまま通過し、外装がバリッと破れても、俺の知った事ではない・・という人である。

今までの経験から、輸送中の破損事故は、大抵同じ場所で発生している。
その地区の営業所に届くまでのどこかで、そういうラフに扱う人が混ざっているのだ。
そのため配送係が恐れて、その地域の得意先への輸送は、用心して梱包を強化したり、運送会社を変えたりしている。

あと過去に何度か発生しているのが、フォークリフトの爪を製品に突き刺してしまう事故だ。
配送センターに行くと、荷物をパレットに乗せて、凄い勢いでフォークリフトで移動しているのを見る。
時間との勝負・・と言う感じで、右へ左へと、フォークがかなりの速度で行き交っている。
その際に見誤って、爪をパレットの穴ではなく、その上の荷物に突き刺してしまうのだ。

返却された荷物を見ると、どうすればこうなるのか・・というような、酷い破損状態になっている。
そりゃあそうだ。
金属製の爪で串刺しにした状態である。

あの勢いでフォークリフトで走り回れば、いくらオペレーターがベテランでもこういう事故が起きる。
恐らく人手も不足しており、作業の効率を上げなければならないのだろう。
安全性を考えても、もう少し運用に余裕を持たせられないのだろうか・・とは思うが、将来的には自動化されて、ロボットが行う仕事になることを思うと、今は過渡期なのかもしれない。
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