閑猫堂

hima-neko-dou ときどきのお知らせと猫の話など

「パンやさんにおつかい」

2012-09-26 15:38:00 | お知らせ(新刊)

 

紙しばいの新作です。
「パンやさんにおつかい」(童心社)。
(あ、猫のマドリは付録ではありません)

絵は市居みかさん。
ユーモラスなあったかい絵を描いてくださいました。
中でも、パンがとってもおいしそーです。

同じタイトルでむかし月刊誌に書いたもののリメイクです。
えーと、26年前、かな?(笑)
でも、内容は大幅に手直ししました。
男の子がパン屋さんにおつかいに行く話。
わたしは、おつかいが苦手な子でした。
Mは逆におつかい大好き少年だったそうです。
世の中はこのようにバランスよくできている。
ということを、26年前の「あとがき」に書いております。

今の子どもって、おつかいに、行くのだろうか。
おつかいに行く子に、他の子たちがわいわいついてっちゃう、
なんて、「昭和の話」かしら。

わが家は徒歩圏にお店が一軒もない環境のため、
うちの子にはおつかいをさせたことがありませんでした。
スーパーに行っても、ひとりで来ている子どもは
見かけないけれど・・曜日や時間帯にもよるのか、
それとも、コンビニには行ったりしているのかなあ。
個人商店の「パンやさん」も少なくなって、
「ください」と言わなくても黙って買い物ができる。
子どもにとって、よそのおとなと口をきくというハードルは
低くなるけれど、それが良いことなのか、どうか・・
ちょっと考えたりもします。

さてさて、紙しばいは、むずかしい。
絵本をばらばらにしても、紙しばいにはなりません。
(もちろん、紙しばいをとじても、絵本になるとは限らない)
わたしが、いちばんむずかしく感じるのは、
「紙の裏に字が書いてある」ということ。
観客は、声を聴きながら絵を見るけれど、
演じ手は、自分で字と絵を同時に見ることができない。
そういうものをつくることに慣れてないので、戸惑うところです。

完成した紙しばいが届くと、わたしはいつも鏡に向かって、
2メートルくらい先に観客がいることを想定してやってみるのですが、
それでも、文字を読んでいるあいだは、絵を見ていられない!
(あたりまえだ。暗記しなくちゃね・・)

読んでいるあいだ。
紙を抜く(場面が変わる)途中。
変わったあと。
次の場面の絵は、どの部分からどのように見え始め、
そのとき耳はどんな言葉を聴いているか。
言葉と絵の相互作用がどんな効果を生み、
観客にどんなふうに届くのか。

そういうことを、観客の立場で想像するのが、むずかしい。
しかも、これ、出来上がったあとにわかるのでは遅いので、
ほんとは制作過程の最初から想像してなきゃいけない。
そこのところ、つまり、想像力のはたらかせ方が、
絵本をつくるときと微妙に違うんですね。
「そうか、これ、違うんだ・・」と、毎回同じことを再認識するものの、
それがいまだに身につかない閑猫であります。

 

コメント
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