弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

J-Wave瀬谷ルミ子さん

2011-10-14 00:51:28 | 歴史・社会
瀬谷ルミ子さんのブログで『ラジオJ-Wave「Jam the World」出演、テレビ東京「地球VOCE」出演!』という紹介がありました。
放送日時:10月12日(水)20時~22時
「紛争地での活動のうち、南スーダンへの自衛隊派遣やソマリアについて中心にお話をする予定です。」

放送局の案内はJ-WAVE JAM THE WORLDの10月12日世界の紛争について(ゲスト:NPO「日本紛争予防センター」 事務局長 瀬谷ルミ子さん) に紹介されています。
実際の放送は、電波ではなくインターネットのラジオ配信で聴取しました。

瀬谷さんのブログで紹介された「南スーダンへの自衛隊派遣やソマリアについて」のお話に興味があったのですが、放送の前半は司会者の
「瀬谷ルミ子さんってどんな人?」
「瀬谷ルミ子さんの凄さは、どうやって身につけてきたの?」
という興味を中心に番組は進められ、私が聞きたい内容は後半の半分のみに限定されました。こればかりはしょうがないですね。

それでは、番組の後半部分を文字起こししましたのでご覧ください。
----------------------------
男司会:Jウェーブブレークスルー。今夜は武装解除紛争予防のプロ、NPO日本紛争予防センター事務局長の瀬谷ルミ子さんをお招きしています。

男司会:日本が(自衛隊を)南スーダンへPKOを派遣するかどうか、検討中ということになっていますが、瀬谷さんはこのことについてどうお考えですか。
瀬谷:はい、実際、南スーダンにも私たちの事務所がありますので、第一次調査団の方たちは、そちらに派遣されている日本人の駐在員にも会っています。派遣前にも南スーダンのことについて防衛省に説明に行ったりもしています。
派遣するしないの前に、日本が南スーダンにどういう目的で自衛隊を派遣するのかというところが大事なんじゃないかと思っています。今、国連のPKOで部隊を派遣している国って、ほとんど全部途上国なんです。先進国は派遣していない。途上国というのは、国連PKOに部隊を派遣することで国連から給与、謝金も入ってくるのと、国としての実績もできるからということなんですけど。じゃあ日本がその中に混じって今、自衛隊を派遣するというのは、日本として世界にどういうかかわり方をしていきたいと思っているからか、というのを、あまり議論されていないのと、おそらく防衛省の中でもはっきりしていないなあ、というのが、実際に話をしていて感じます。
日本自体あまりPKOへの派遣実績がないので、自分達が何ができるのだろうと、防衛省の方たち自体が不安がっている。実際派遣される方たちも。派遣するからには将来に備えて経験を積む、という意味で、PKOに日本が今後PKOを通じた貢献をしていくという方針があるんだったら、その一歩としては私はいいんじゃないかと、思うのですが。
アフリカ自体が、今後アフリカ人でPKOをやっていこうという流れが起きているので、将来的に日本が、アフリカの人たちが自分達でPKOできるように技術移転のようなふうにしていくことが求められているんです。じゃあ、日本の自衛隊はその意味、どういう風に現地にノウハウを、どんなノウハウを伝えていていくんだろうということが、わからないまま、とりあえず実績づくりで。

男司会:基本的にイラクに行ったときも、インフラ整備みたいな、道路作ったりとか、そういうことが多かったように記憶していますが、今回も基本的には後方支援、インフラ整備というのが主眼ということで聞いていますけれども、実際には南スーダンの中でもまだ部族紛争は続いていると聞いたことがあるのですが。その中に日本のPKOが入ったときに、どうなんでしょう。インフラ整備だけでOKということになるんでしょうか。
瀬谷:本当であれば、そういう部族紛争の解決のために、部族紛争が起こる問題が例えば水場が足りないとか、井戸が足りないというときは井戸を提供することで問題解決したりというやり方もあるので、そういう意味でのインフラ整備だったらありだと思うんですね。ただ、実際にそこまではまだ想定していないし、そういう経験もないというのがひとつと、今のところ自衛隊が派遣される予定の地域というのが南スーダンの首都で、部族紛争というよりも基本的に大都市なんですね。なんで、部族紛争のニーズもほとんどない一番安全なところに派遣して。後方支援という意味で、ニーズはないわけではないんでしょうけど。本当に平和目的で貢献するのであればもっと周辺の本当に対立が起こっている地域にどう貢献をしていくのか、ということを中長期的に考えていく必要があります。

男司会:その紛争が起こっている地域によく議論になる、この間の前原政調会長が、武器使用緩和について言及されていましたが、重装備でPKOに当たった場合に、逆に敵と見なされるケースがあるという風にも一部報道されたりしますが、そのあたりはどうなんでしょうねえ。
瀬谷:基本的な武器の装備は、PKOの枠組みで派遣されるんだったら私は必要だと思うんですね。そうでないと、逆に他の国やほかの軍が守ってあげなければいけない存在になるので。
日本の場合、今のところ、PKOで自衛隊を派遣する場合と災害で派遣する場合で、同じ国に派遣したとしても、PKOは武器を持って行けるけれど災害派遣でいった場合は持って行けないというジレンマがある。災害派遣の場合もパキスタンのような危ない国に行くときは武器を持てるようにしなきゃいけないんじゃないかという議論が起こっている。
派遣の目的が日本の実績造りであっても、現地にどう貢献していくかという意味で、お荷物にならないように、ということが必要ですね。そこが担保できないのであれば、行くべきではない。そのぐらい重い責任と決断が求められるというものであると踏まえなければいけない。

女司会:南スーダンに限らず、例えば紛争予防とか武装解除というのはすごくスムーズに行かないこともあると思うんですが、それはいかがですか。
瀬谷:そうですね。自分達が良いことをしていると思いすぎてしまうのがやっぱり間違いの元だと思うんですね。先程話に出た自衛隊もそうですし、PKO自体の派遣存在も、現地の人にとってはPKOが逆に攻撃の対象になったりすることもあったり。私たちがよかれと思ってすることが、武装解除もそうなんですが、兵士の更生ばかり考えていると被害者が不公平に感じて、その社会に、兵士・加害者の方が得をするんじゃないかという価値観を植え付けてしまうこともあるので。
女司会:バランスって大切ですね。

男司会:なかなか、いずれにしてもきれいにスムーズに最後まで終わるということはいいような気がするのですが、一番これが困ったという体験というのはありますか。
瀬谷:困ったこと、まあ、細かい話だったら、いくつもあるんですけど、一番最近の例でいうと、ケニアで暴動の被害者の避難民になった人たちが新しく村を立ち上げたときに、そこに水のパイプを引いてくる支援をしたときなんですけど、水のタンクをどこに置くかで村の中が揉め始めて真っ二つになってしまって。うちは紛争予防センターなのでなんとか予防しなきゃと。村が二分し始めたときに、たまたまパイプが盗まれる事件が起こって、その犯人探しで村人が一致団結して。結局逆に問題解決したということがあった。
やっぱりそのときも、私たちが何か現地に提供しようと思ったことがきっかけで争いが起きてしまうということもあるので、そこできちんと対話して解決できるようなところまで持ってかないで、そのまま諦めて出て行ってしまう団体もあるので、そこは関与したものの責任としてきちんと見届ける必要があります。

男司会:これだけの経験を積んでこられて、私よりも二十歳も若いんですが、私の54年は何だったのか。
瀬谷:そんなこと言わないでください。
男司会:瀬谷さんが仕事を進める上で、常に大事にされていることは何ですか。
瀬谷:本当にいつも言ってしまうことなんですが、やらない言い訳をしないようにするというのは、私の中で基本的なポリシーとしてあるんですね。結構こういう仕事って、紛争解決の仕事って、難しいのが前提なんですよね。明らかに難しい。なので、そこであれは大変だとか、これはちょっと難しいというのをはなからいってたら、何も解決しないですよね。なので、問題があるのが前提で、それをどう解決していくかというのを考えなければいけないので。その姿勢がない人がチームにいると何も動かなくなってしまう。
男司会:耳が痛いですね。
瀬谷:自分で実践できているから。定かではない。ただ同時に、やらない言い訳と、できないことって違うので。できないことをできると言っちゃいけないんです。
男司会:当然だと思うんですが。よく日本人の駐在員が現地の社員に突き上げられて「イッツソーディフィカルト」と必ず答えちゃうんです。それを思い出しました。

女司会:今日放送を聞かれて興味を持たれた方もたくさんいらっしゃると思うんですが、先月、瀬谷ルミ子さんの本が出版されていまして、タイトルは「職業は武装解除」まさに今の、職業に就こうと思ったきっかけとなる一枚の写真があるのですが、その写真も載っていたりして。今までの瀬谷さんの活動というのもよくわかりやすく書かれているんですが、ぜひ興味ある方、この「職業は武装解除」ご覧になっていただきたいと思います。
瀬谷さん、今日はお忙しい中、どうもありがとうございました。
瀬谷:どうもありがとうございました。
--以上----------------------
なお、瀬谷さんの「職業は武装解除」を拝読した感想(というかレジュメ)を、その1その2として記事にしています。
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小川和久著「日本の戦争力」

2011-10-13 20:28:15 | 歴史・社会
日本の戦争力 (新潮文庫)
クリエーター情報なし
新潮社

軍事アナリストである小川和久氏の論述については、普天間問題に関連して、1年前に小川和久著「普天間問題」普天間問題~05年頃に何があったのかとして記事にしました。
このとき、上記「日本の戦争力」も読んでいたのですが、なかなか記事にするチャンスがありませんでした。
今回、ケビン・メア著「決断できない日本」を記事にしたチャンスに、「日本の戦争力」の中の日米同盟に関する事項についてまとめておきます。

《日米安全保障条約》
第五条 各締約国は、日本国の施政の下にある領域における、いずれか一方に対する武力攻撃が、自国の平和及び安全を危うくするものであることを認め、自国の憲法上の規定及び手続に従つて共通の危険に対処するように行動することを宣言する。
第六条 日本国の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するため、アメリカ合衆国は、その陸軍、空軍及び海軍が日本国において施設及び区域を使用することを許される。

日本が他国から攻撃されたらアメリカが守ってくれますが、アメリカが他国から攻撃されても日本は武力で助けることはしません。これを日米条約の「片務性」「非対称性」と賞することが多いですが、小川氏は「これは錯覚に過ぎない」といいます。
そもそも、アメリカが同盟を結ぶ国の中で、アメリカと対等に同盟を組める国などありません。
日米同盟の実態を克明に観察すると、日米同盟は決して片務的ではなく、逆に日本はアメリカの最重要同盟国であることが浮き彫りになるといいます。
米軍が日本に置いている燃料の備蓄量は膨大です。アメリカ本土東海岸に置いている量が最大で、日本の備蓄量はそれに次ぐ世界第2位です。
米陸軍が日本に備蓄している弾薬量も膨大で、米陸軍の5個歩兵師団を1ヶ月間闘わせることができる量です。佐世保には米海軍、海兵隊の弾薬庫があり、これは第7艦隊が行動する範囲(ハワイからインド洋まで)で最大の陸上弾薬庫です。
嘉手納にある米空軍の弾薬庫は米軍で最も重要な弾薬庫の一つです。

第7艦隊はハワイからインド洋までを作戦海域とします。第7艦隊の旗艦は横須賀を母港とするブルーリッジです。第7艦隊の戦力の中心は、横須賀を母港とする原子力空母ジョージ・ワシントンの機動部隊(10隻)です。

米軍にとって日本に置いている基地は、「アメリカの戦略的根拠地」あるいは「パワー・プロジェクション・プラットホーム」(戦力投射のための根拠地)といえます。パワー・プロジェクション能力とは、「多数の戦略核兵器により敵国を壊滅させ得る能力」「数十万人規模の陸軍を海を越えて上陸させ、戦争目的を達成できるような構造を備えた陸海空の戦力」と定義されます。日本に常駐する海兵隊は1万5千人ですから、アメリカ本土から地上軍が来なければ上陸作戦はできません。しかし、いざというときに使う燃料や弾薬が日本に備蓄されており、日本が第7艦隊を支えていることと相まって、まさに日本が戦略的根拠地となっているのです。

在日米軍は、米兵による婦女暴行事件や航空機の墜落事故などを日本国内で起こしますが、米軍は起訴前の犯人引き渡しを拒否したり、日本の警察に捜査させなかったりしています。これは不平等のはその通りかもしれませんが、日本以外の国と米国の関係の方がもっと不平等になっています。
日本で米兵の不祥事や犯罪行為が発生すると米国は日本に誤りますが、イタリアや韓国が相手だとろくに謝罪もしないそうです。そして米軍に対する非難が沸騰すると、韓国でアメリカは、在韓米軍を撤退させてもいいんだぞと、脅す姿勢に出ました。
これに対して日本においては、米軍が日本から出て行かざるを得なくなったら、アメリカは世界のリーダーの地位から滑り落ちるかもしれない。それほどまでに(米国にとって)日米同盟は重いのです。

このように重要な日本における米軍基地ですが、米軍自身はこれら日本の基地を防衛する能力を持っていません。米軍基地の防空は自衛隊が担当しています。そうであれば、年間5兆円の日本の防衛費についても、日米同盟における日本側の役割分担を示す指標として認められるべきでしょう。

以上のとおりですから、世界中に米国軍隊を展開させる米国の世界戦略を“世界平和を維持するための戦略”と理解するのであれば、日米同盟はその米国の世界戦略を実現する上での欠くことのできない同盟であり、日本はその戦略に不可欠のパートナーとして寄与している、と言っていいでしょう。
もちろん、世界中に米国軍隊を展開させる米国の世界戦略を“米帝国主義”と理解する立場に立てば、日本は米帝に荷担していることになるわけですが。

私は前者の立場に立っています。
日本は誇りを持って、世界平和に貢献しようとする米国の世界戦略を実現するための最強・不可欠のパートナーであるとのスタンスで侍することが正しい姿勢でしょう。
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陸山会事件判決

2011-10-11 22:45:02 | 歴史・社会
陸山会事件での石川知裕・大久保隆規・池田光智被告に対する有罪判決(9月26日)については、謎がなかなか解明されません。
検察の供述調書を証拠に採用しないというサプライズがあったかと思ったら、判決では検察の主張を満額認めるという逆サプライズです。この判決をどのように評価したらいいのか。私は事件の詳細を追いかけていないので、さっぱり分かりません。ネットでの法律専門家の評論、週刊誌などでの評論を読んで実態を掴もうと思っているのですが、その評論がちっとも出てこないのです。
週刊誌では、週刊朝日10月14日号に「裁判所の暴走」として特集記事が載った程度で、その他の週刊誌については見あたりませんでした。
ネット評論では、郷原信郎弁護士が当然ながらかみついてくると期待していたのですが、一向に現れてきません。

取り敢えず週刊朝日を購入してみました。
元検事の郷原信郎氏の発言「一言で言うと“ストーリー判決”です。物事を単純化してストーリーを描いて、無理やり調書にすることで特捜部は批判された。しかし、この判決は裁判官が描いたストーリーに沿って、調書によらずに、憶測・推測、さらには妄想に近いものまでも認定している。こんなのがまかり通るならば刑事裁判をやる意味がありません。」
ジャーナリストの魚住昭氏の発言「正直、驚きました。裁判所の事実認定どおりならば、悪質かつ巨額の賄賂があったわけで、贈収賄事件ですから、実刑になるべきですが、執行猶予がついた。事実認定と刑が乖離している。はじめから有罪ありきで考えているから、こういう認定をしなくてはならなくなるんです。『疑わしきは被告人の利益に』が裁判の大原則なのに、『検察の利益』になっている。」

元東京地検特捜部長の宗像紀夫弁護士も、裁判所が「天の声」や「水谷マネー」について大胆に認定したことについて、どのような証拠に基づいて認定したのか判決要旨からはわからないと言っています。また、4億円を小沢さん本人も明確な説明ができていないという理由で不明朗なカネと認定したことについても、このカネの性質について立証責任を負うのは被告側ではなく100%検察です、と言っています。

週刊朝日によると、裁判長は登石郁朗氏(57)で、エリートコースを歩み手堅いが官僚的で上ばかり見ているという評判です。右陪席の市川太志裁判官(49)は将来を嘱望されるエース級と言われているそうです。裁判官にとって、無罪判決を書いてそれが高裁でひっくり返ったら大減点になるので、出世を望む裁判官ほど思いきった判決を書かないそうです。今回もその動機が働いたのだとしたら、結論の「有罪」部分は思い切っていませんが、そこまで導くロジックが思いっきり不可思議となっています。

ネットで郷原信郎弁護士の発言を探したら、一つだけ見つかりました。岩上安身氏によるインタビューの動画「111006郷原信郎氏インタビュー 」と、それを文字おこしした記録です。
郷原さんが判決直後にネットで発言しなかった点については、ちょうど九電の第三者委員会の報告書の最終段階で、突貫工事状態だったためでした。第三者委員会の報告書が完成して、終わってからやっと、まず週刊朝日にコメントする前に(判決要旨を)全部読んだとのことです。
郷原弁護士は判決について、まず『まあその結果は本当に、ここまで大きく軌道を外れた、この種の事件の刑事裁判史上あり得ない、画期的な判決だと思いますよ。すごい。どうしてこんな判決がまともな裁判官によって出されるのかというくらい、すごい判決ですね。』と評価しました。

こんな凄い判決に至った事情について、郷原弁護士の解説はこうです。
水谷建設のヤミ献金というのは、それ自体が検察が散々捜査したのに起訴できなかった事実です。
水谷建設のヤミ献金が仮にあったとしても、なんでそれが4億円の虚偽記入にする必要があるのか、何にも証拠がありません。陸山会裁判でそんなことを立証させるのは意味がない。だから検察部内でも、郷原氏が聞いた話では、水谷建設のことなんて関係ないと何回も差し戻したようです。しかし何回差し戻しても、地検特捜部の方がまたそれを書いて冒陳(冒頭陳述)をあげてくるので、最後、もう根負けしたんでしょうね、という推測です。
しかし検察としてそういう冒陳(水谷建設のヤミ献金立証)を行うと、裁判所は対処に窮します。立証を認めないと、検察に十分な立証すらさせなかったということを言われかねない。
しかし裁判所が検察の要求を通して立証を認めてしまうと、水谷建設の関係者はそりゃ何の躊躇もなく証言しますよ、検察官調書を取られたら。今回の水谷建設はそんなこと喋ったって失うものは何もない。逆に、いったん検事調書に署名している事を、それを違うと言ったら、そっちが偽証だと言われかねない。
その水谷建設の証言を証拠として、判決は水谷建設からのヤミ献金を隠す目的で虚偽記入をしたと認定しました。
裁判所としては、関連性ありと判断して証人尋問を認めた段階で、これは4億円の虚偽記入と関連性があると判断したことになってしまいます。その尋問で証人が水谷建設のヤミ献金を認める証言をした以上、今度は裁判所もいや関連性はないんだと言えなくなる。だから関連性ありと判断するしかなくなり、今回の判決に至った、というのが郷原氏の推測です。

つまり、裁判所は検察に弱いから、検察が冒陳で立証を請求するとそれを却下できない。立証を許可すると裁判所が関連性を認めたことになるので、証人が法廷で検察に有利な証言をしたら採用せざるを得ない。従って、検察上層部が、水谷建設のヤミ献金の立証を冒陳に入れることを認めた時点で、今回の判決ストーリーはできてしまった、ということでしょうか。
裁判所は検察からも独立して自由心証で判断すると期待していましたが、そうではないのでしょうか。

ところで、小沢一郎氏に対する公判が開始されましたが、小沢一郎氏はマスコミに対する対応が本当にヘタですね。記者会見で質問した記者に怒っていますが、それはテレビカメラを通じて国民に対して怒っているのと同義であることに気づかないのでしょうか。
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ケビン・メア著「決断できない日本」

2011-10-09 17:00:07 | 歴史・社会
決断できない日本 (文春新書)
クリエーター情報なし
文藝春秋

《アメリカン大学学生への講義》
ケビン・メア氏といえば、米国務省の日本部長時代、2010年12月に沖縄研修旅行を控えたアメリカン大学の学生を対象に国務省内で行なわれた講義の中で「沖縄は日本政府に対するごまかしとゆすりの名人でゴーヤーも栽培できないほど怠惰」といった発言をしていたと報道され、それが理由で日本部長を解任された人として記憶しています。
本年8月に上記書籍を刊行するとともに、BSフジのプライムニュースにもちょくちょくゲストとして登場しています。
問題となった講義でどのような発言があったのかなかったのかについては、テープ記録がないので水掛け論です。客観的事実としては、報道したのが共同通信の石山永一郎記者であり、アメリカン大学の学生たちは日本で石山記者宅に宿泊し、沖縄米軍基地で基地反対の横断幕を掲げたことが揚げられます。アメリカン大学学生への講義を依頼してきたアメリカン大学のデービッド・バイン准教授、その後にいた猿田佐世弁護士は石山記者と関連があるようで、3人とも米軍の米国外基地に反対する立場のようです。
バイン准教授は、石山記者の取材に『学生たちが作成した発言録(A4判3ページ)について「私自身もA4判のノート10ページにわたってびっしりとメモをとっており、それに照らして慎重に確認した。一字一句とまでは言わないが、重要な部分は間違いなくメア氏の発言通りだ」とあらためて強調した』ようです。学生が作った発言録とバイン准教授のメモを、両方とも英語で公表してもらうと議論が進むかもしれません。


《トモダチ作戦の舞台裏》
メア氏は3月10日に国務省日本部長を解任され、国務省退職の決意を固めていましたが、その翌日に震災が発生しました。国務省は直ちに対日支援タスクフォースを立ち上げ、メア氏は日本とのコーディネーターを務めることになります。タスクフォースの勤務は三交代のシフト制が敷かれました。米国では「無理な勤務は判断ミスのリスクがある」と考えて勤務を設計しているのです。
原発事故発生から数日間、情報が不足して米政府も強いフラストレーションにさいなまれました。日本政府は重大な情報を隠しているのではないか。しかしメア氏は、日本の原子力分野にも関わった経験から、東電から情報が適切に日本政府に上がっていないと理解していました。事故当時、上司にもそのように説明したとのことです。
3月16日の電話会議では、東京在住の米国民9万人の一斉待避」が提案されたそうですが、メア氏の反対で、結局は80キロ圏内からの待避に落ち着いたそうです。
米政府の管政権に対する不信感は強烈なものでした。3月16日には駐米日本大使を呼んで"You need an all government approach"と迫ったといいます。オバマ政権は、管政権が原発事故対応を東電任せにして、効果的に援護していないと見ていたのです。
17日のへりによる原子炉への注水も、「電源喪失から1週間が経過したその日、日本という大きな国家がなし得ることがヘリ1機による放水に過ぎなかった」ことに米政府は絶望的な気分を味わったのです。
事故後に米国側は日本側に提供できる品目のリストを送ったのですが、日本から返ってきた長々とした質問には、支援リスト中の無人ヘリについて、放射能で汚染された場合の補償はどうなるのかといった暢気な問い合わせだったのです。米国では日本のこのような態度を"Not deciding is deciding"と呼んでいるそうです。
御巣鷹山のジャンボ機墜落事故でも、当時横田基地には夜間行動可能なヘリと捜索救助部隊がいたので、米軍から日本政府に「捜索部隊をすぐに出発させることができる」と伝えましたが、信じがたいことに断られてしまったといいます。メア氏は「要はだれも責任を取りたくないからです」としています。

《横紙破りの外交官として》
アメリカ国務省の外交官といえば、バーバードなどのアイビーリーグ出身者が圧倒的に多い中で、メア氏はジョージア州やハワイの大学を出ています。メア氏の日本人の奥さんは、ジョージア州の大学在学中に知り合ったのが縁だそうです。21歳、ハワイ大学大学院在学中に初めて来日した頃の写真は、ロングヘアーでまるっきりヒッピーですね。
81年に国務省に入って以降、一貫して日本畑を歩み、日本滞在期間は19年に及びました。

《アメリカは日本を手放さない》
日米安保同盟で、日本国憲法9条の関係から、日本が攻撃されたら米軍が対応するが、米国が攻撃されても日本にはアメリカ防衛の責任がありません。アメリカはこれを承知で安保条約を結んだのであり、決して不公平ではないといいます。
安保条約の下で、アメリカは日本防衛の責任を有するとともに、極東における国際平和及び安全の維持に寄与する責任も有します。日本の責任はただ一つ、在日米軍に基地を提供することです。
米国の世界戦略を“世界平和を維持するための戦略”と理解するのであれば、日米同盟はその米国の世界戦略を実現する上での欠くことのできない同盟であり、日本はその戦略に不可欠のパートナーとして寄与している、と言っていいでしょう。この点については、小川和久氏の著書に関連して別の機会で。

《沖縄「反基地」政治家との戦い》
メア氏は2006年から09年まで沖縄駐在の総領事を務め、その間、「数々の舌禍事件」を引き起こしたと報道されているそうです。ウィキの「ケヴィン・メアにも「発言」として種々挙げられています。
今回の書籍ではそのひとつひとつの発言について、どのような文脈で何を意図した発言であるのかを明らかにし、決して舌禍でも失言でもないと主張しています。
例えば、「普天間は特別ではない。飛行場として特に危ないとは思わない」との発言が問題発言として挙げられています。元々の趣旨は「普天間基地が特別危険とは思わないが、皆が懸念しているので、日米が合意した移転計画を早く実行しましょう」という内容だったとのことです。そしてその意見は今でも変わらないと主張しています。
普天間飛行場がアメリカ軍の安全基準に違反するとの伊波洋一市長の指摘に「なぜ滑走路の近くの基地外に、宜野湾市が建設を許しているのかわからない」と反論し大騒ぎになった件があるそうです。
米国は、普天間基地外の周辺民有地に建物が建つことについて規制する権限を有していません。その権限は宜野湾市が有しているのでしょう。権限を有する市が許可して建物が建ったのに、米国における規制に違反すると言われても在沖縄米軍にはどうしようもありません。
メア氏が駐日大使館の安保副部長だったころ、普天間基地の近く、航路上に高層マンションが建設され、大使館は日本外務省と当時の防衛庁に対し、なぜ建設を許可しているのかと問い合わせました。日本政府は、そうした建築を規制する法律はあるが、あくまで民間の空港を対象としたもので、米軍の施設を対象にした安全基準として適用されないという解釈を取っているという、それが日本政府の正式な回答でした。何とバカげたことでしょうか。
普天間基地の近くには小学校もあり、市長はいつも小学校が危ないと心配していました。日本政府はこの小学校を移転させようとしたのですが、驚くべきことに移転に一番反対していたのが市長だというのです。かれはこの小学校の危険性を政治的に利用したのです。
《日米同盟の内幕》
湾岸戦争のとき、日本はお金を出して協力しました。そのときにメア氏は駐日米大使館の安保副部長をしており、日本の協力基金の使い方を決める3人の一人だったといいます。
モトローラの通信機器1万台、パジェロ3千台、トヨタのランドクルーザーなどを購入したそうです。
ところが、サウジアラビアの軍用駐機場を拡張する資金に使おうとしたところ、大蔵省の担当者が武器輸出三原則に違反するとして反対したのだそうです。そこでメア氏と外務省は、関連施設が併設されて初めて駐機場として機能するわけで、平面のコンクリートだけなら武器にあたらないとの解釈をひねり出し、大蔵省は意外にもそれでいいといったのだそうです。『本音と建前を使い分ける日本の官僚機構の典型例を見る思いでした。』
ソニーのウォークマンを買ってもらおうとしたら、大蔵省の役人は「ウォークマンは個人で使うものなのでだめ」といったそうです。外務省北米第一課長だった岡本行夫氏がソニーに説明したところ、当時の盛田昭夫会長が、それならということで5千個をただでプレゼントしてくれたそうです。
日本の基金でトラックを調達しようとしたときも、トラックに機銃を備え付ける以上武器だからと、大蔵省から横槍が入りました。そこでアメリカ国防総省がトラックの代金を支払った後、日本側がその経費分を国防総省に寄付するというばかばかしい手続きを踏んだそうです。

鳩山由紀夫氏は1996年に「有事駐留論」を展開しました。日本の有事のみに米軍が駐留し、日本を防衛すればいいという内容でした。メア氏は「有事駐留軍は米軍をただの番犬として見なしている」と言いましたが、アメリカの友人は、「違う。普段はただの野良犬として扱われ、必要なときに呼ばれるだけだ」と応えたそうです。

民主党政権になると、政権が官僚を遠ざけたので、米国が日本の外務官僚に説明しても、米国の説明が民主党政権に伝わらなくなりました。政治主導によって官僚を外した結果、日米の重要な情報ルートが閉塞する事態になっていたのです。
しかたなく、米国は直接日本の政治家に説明する必要があると判断しました。
しかし、民主党の小沢一郎元代表はまったく信用されていませんでした。小沢氏は2009年2月に「米海軍第七艦隊だけでアメリカの極東プレゼンスは十分」と発言するし、09年12月には「小沢訪中団」です。小沢氏はこのあとアメリカにも来たがっていたらしいですが、アメリカは困ってしまい、小沢氏は訪米を断念しました。米国から見た小沢氏は、自分の選挙に勝ち、自分の派閥を強化するために役立つことしか考えていない、と見られていました。

この本でのメア氏の指摘は、もっともなことばかりです。
メア氏の率直な物言いにより、日本ではメア氏を煙たく思っていた人も多いようですが、日米をつなぐ重要な知日家だったと思います。
今回の共同通信石山記者の記事が報道されたときは、民主党政権の枝野官房長官ですら「事実なら遺憾」とコメントしていたようです。このようなコメントをする前に、事実かどうかを自分で確かめ、事実でないと知ったらメア氏を援護すべきでした。
国務省からメア氏を失ったことは日本にとって損失だったろうと思います。
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2号機水素爆発はあった?なかった?

2011-10-06 21:34:49 | サイエンス・パソコン
《2号機の水素爆発はあったのか?なかったのか?》
ここへ来て、「2号機の水素爆発はなかった」という報道が相次いでいるのでびっくりしています。
3月15日の朝6時頃、2号機の圧力抑制室付近で衝撃音が聞こえ、その後に格納容器の圧力が急減し、さらに東日本の広い範囲を汚染する原因となった放射能が放散したことは分かっています。
しかし、その格納容器の破損原因が、水素爆発だと考えたことは1回もないのに、何でわざわざ「水素爆発ではなかった」とさも意外そうに報道されているのでしょうか。

例えば10月3日の朝日新聞朝刊には以下のように報じられています。
『2号機「水素爆発なし」 東電見解 発電所内の揺れ解析』
『東京電力福島第一原発2号機で起きた爆発事故について、東電が社内に設置した事故調査委員会(委員長・山崎雅男副社長)が、これまで言われていた水素爆発ではなかったとする見解をまとめていたことが2日、わかった。発電所内の地震計からの推定だが、事故時の衝撃音や格納容器の圧力低下の原因については説明していない。
2号機は3月15日午前6時ごろ、原子炉格納容器につながる圧力抑制室の圧力がゼロになった。その際、衝撃音がしたという。
東電は当初、核燃料を覆う金属から水素が発生し、圧力抑制室にたまって爆発したことは否定できないと説明をしていた。6月に政府が国際原子力機関(IAEA)に提出した報告書にも、水素爆発と思われる、と記載された。』

私は、東電が公表した報告書について、5月23日東電報告書(2号機2号機-2)、6月18日東電報告書(2号機2号機-2)で記事にしてきました。
再度それぞれの報告書で2号機の記事を読んでみると、5月23日報告書pdf別紙-1-23)に「6:14頃 圧力抑制室付近で異音が発生するとともに、同室内の圧力が低下」とあるのみで、水素爆発とは一言も書いていません。
6月18日報告書pdf21ページ)でも「6:00~6:10頃 圧力抑制室付近で大きな衝撃音が発生」とあるのみで、水素爆発とは一言も書いていません。

今回の報道では、『6月に政府が国際原子力機関(IAEA)に提出した報告書にも、水素爆発と思われる、と記載された。』と紹介されています。
経産省の原子力安全に関するIAEA閣僚会議に対する日本国政府の報告書についてのページで調べてみると、pdfIV-32に確かに、「15 日6 時頃、S/C 付近において水素爆発によるものと思われる大きな衝撃音が確認された後、S/C の圧力は急減した。」と記載されています。

東電報告書では2号機の格納容器破損について水素爆発とは一言も示唆していないのに、政府によるIAEAへの報告では「水素爆発によるものと思われる」と推測を記述していることが分かりました。
圧力抑制室付近で水素爆発が起きるためには、水素ガスとともに酸素ガスが所定の比率で存在している必要がありますが、どの箇所にどのようなガス経路で水素ガスと酸素ガスが集まったのかを推論しない限り、水素爆発との結論は導けないはずです。どこで誰がどのような推論を行ったのでしょうか。

そして今度は「水素爆発ではなかった」という話です。
3日の朝日新聞記事を追います。
2号炉での(水素)爆発の有無を調べるため、東電は発電所内の地震計の記録を分析しました。その結果、2号機で衝撃音がした午前6時から同6時10分にかけて、爆発によるとみられる揺れは観測されていなかったといいます。揺れは午前6時12分に観測されており、東電はこの揺れが4号機で発生したものと解析しました。

今回認識を新たにしたのですが、2号機の圧力抑制室破損と4号機の水素爆発が、ほぼ同時に起きていたのですね。
6月18日東電報告書のpdf40ページに4号機の説明が書かれています。「3月15日6:00~6:10頃 大きな音が発生。その後、4号機原子炉建屋5階屋根付近に損傷を確認。」「9:38 4号機の原子炉建屋3階北西コーナー付近より火災が発生していることを確認」

2号機圧力抑制室破壊音と、4号機損傷の原因と思われる大きな音とが、同じ時間帯に発生しています。
今回の新聞記事では、4号機火災の原因となった水素爆発は、6:12に発生しており、その振動が地震計でキャッチできているとしています。一方で2号機の圧力抑制室破損は、その直前の6:00~6:10頃に発生していたということでしょうか。「2号機破損の同時刻に地震計で揺れが観測されなかったから、その破損の原因は水素爆発ではない」という推論は、どのようなメカニズムを想定しているのでしょうか。そこがわかりません。
もちろん、今まで政府が「2号機で水素爆発があった」と推論していた根拠も同じようにわかりませんが。

私は、2号機の格納容器破損は、格納容器内で水蒸気爆発が起こったのが原因ではないか、という仮説(仮説1)も持っています。圧力容器内の燃料棒が溶融し、圧力容器の底を破って格納容器内に落下し、格納容器底部に溜まっていた水中に突入し、その水が一気に蒸発して水蒸気爆発した、という仮説です。しかしこの仮説の場合も、水蒸気爆発時に地震計が揺れを観察するはずだが、実際には揺れが観察されていないから違う、ということでしょうか。
私のもう一つの仮説(仮説2)は、格納容器内のベントができなかったので内部が高圧になり、格納容器が耐えきれず破損した、という仮説です。ただし、当時計測されていた格納容器内の圧力は、容器が破損するにはまだ低い圧力だったようにも思います。
それに対して政府は今まで、水素爆発であるという仮説(仮説3)を信じていたわけですね。

3日の朝日新聞記事では、
『ただ、圧力抑制室の圧力が下がった原因が爆発以外の何かは説明できていないという。また、衝撃音がした理由についてもわからないとしている。
東電原子力・立地本部の川俣晋本部長代理は「圧力抑制室に相当大きな破損がないと圧力はゼロにならない。爆発がおきても地震計で観測されないような揺れだった可能性もある。いまは圧力抑制室を実際に確認できないが、さらに詳しく調査したい」と話す。』
と報じています。
コメント (2)
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野田政権の財務省シフト

2011-10-05 21:07:17 | 歴史・社会
野田政権は、財務省に牛耳られているのではないか、という話が日増しに強くなっています。この件については、9月11日に「高橋洋一氏が野田増税路線を斬る」として高橋洋一氏の論述をフォローしました。

今回、「現代ビジネス」での高橋洋一氏と長谷川幸洋氏の対談によって、より克明に野田政権の財務省シフトが明らかにされています。
あっという間に、どじょう鍋にされたノダ「霞が関の大魔王」勝栄二郎危険極まりなし 高橋洋一×長谷川幸洋
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《党高政低》
増税法案を成立させるためのハードルとして、自民党はもともと増税賛成。むしろ民主党内の増税反対派を抑えこむことの方が重要です。つまり、民主党の党レベルでの反増税圧力をどれだけ弱められるかがポイントであり、今回の野田政権の布陣が党高政低であるのも民主党を抑えるためだといいます。

《事務の官房副長官》
丹呉副長官という話がありましたが、これだとあまりに財務省支配がミエミエなので、竹歳誠氏が就任しました。異例の現職国交省次官であり、国交省出身として初めてです。旧建設省出身の竹歳氏は、建設公共担当の主計官も経験した勝次官とはツーカーの仲で、一心同体、というより頭が上がらない。予算でお世話になった勝さんの意向通りに動くと思います(高橋氏)。

《総理秘書官》
主計局総務課長から局次長になったばかりの太田充氏を総理秘書官として官邸に送り込みました。彼は保守本流である主計のトップランナー。正真正銘の重量級です。

《蓮舫行政刷新担当相の秘書官》
財務省課長の中堅クラスの'88年入省組の吉井浩氏を送り込んでいます。実は勝さんが彼女の秘書官に吉井氏を送り出したのは前回の大臣時代。その後、首相補佐官に格下げされてもずっと密着させてきました。勝さんは蓮舫さんの利用価値を読んで、きっちりマークしてたわけ(高橋氏)。

《官房長官秘書官》
藤村修官房長官秘書官には'89年組で主計畑のエース候補・宇波弘貴氏をつけました。初入閣で官邸のことなど右も左もわからない官房長官は、秘書官の言いなりになるしかないでしょう(高橋氏)。

『'83年組の太田首相秘書官を筆頭に、閣僚にこれだけの数の秘書官をはり付けておけば、財務省で内閣を切り盛りできますよ。はっきり言って、大臣なんか誰でもいい。口の悪い永田町の住人が言っていましたが、「野田パペット(操り人形)内閣」ならぬ「パー・ペット内閣」と呼ばれているそうです(高橋氏)。』

《齋藤次郎日本郵政社長との関係》
斎藤次郎元大蔵次官の娘婿である稲垣光隆氏が主計局筆頭局次長から財務総合政策研究所長へ外された。彼は'80年組のエースだったのに・・・・・・(長谷川氏)。
今後、郵政株売却が増税額圧縮の材料として浮上する可能性がある。その際に、斎藤大先輩に遠慮なく増税路線を貫くには、娘婿が邪魔になるという計算でしょう(高橋氏)。

《財務省内の増税シフト配置》
佐藤慎一氏を官邸の内閣審議官から呼び戻して省内司令塔の総括審議官に据えた。主税局の主要課長を歴任した税制のトップランナーをこのポジションに起用した意図は明白ですね(長谷川氏)。
省内トップエリートの登竜門である文書課長だった星野次彦氏を主税局審議官にしたし、主計の花形である公共担当主計官をしていた井上裕之氏を主税局税制一課長に起用した。これらの人事は完璧な増税シフトですよ(高橋氏)。

《国民の信を問う》
野党から「消費税増税の前に国民の信を問うべし」と問われ、総理は「実施の前に信を問います」と答えている。国民もマスコミも、納得しているようですけど、これは間違いなく財務省が仕掛けた罠です。
来年の通常国会には消費税増税法案を出して可決成立させる。その後のしかるべき時期に信を問うことになるけど、そこで与党が勝とうが負けようが、法案が通っている以上、消費税は粛々と引き上げることになる。これが勝財務省のシナリオです(高橋氏)。
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こうして内幕暴露話を聞かされると、凄いですね。
それ以上なんともいいようがありません。
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ICC 4Kテレビと近藤哲二郎氏

2011-10-04 19:48:03 | サイエンス・パソコン
最近、キーワード「近藤哲二郎」でこのサイトをご覧になる方が増えてきました。何があったのでしょうか。
調べてみたら、9月29日に以下のようなニュースが流れていました。
シャープ、4K液晶テレビをI3研究所と共同開発
Impress Watch 9月29日(木)12時0分配信
『シャープは、I3(アイキューブド)研究所と共同で60型/解像度3,840×2,160ドットの「ICC 4K 液晶テレビ」を開発。今後の実用化に向けて、共同開発を進める。10月4日から幕張メッセで開催されるCEATEC JAPAN 2011に出展する。
映像信号処理の部分でアイキューブドの4K映像創造技術「ICC」(Integrated Cognitive Creation)と、シャープの大画面/高精細液晶技術を組み合わせ、次世代のテレビ開発を行なう。「単なる映像信号処理の高画質化だけでなく、パネル制御技術を組合せることで、人間が自然の景色や被写体を光の刺激として脳で理解する『認知』の過程を、映像による光の刺激として再現。遠近感のある風景や人物の立体感、質感などを自然界に近い状態で画面上に表示し、新たな映像体験を視聴者に提供する」としている。
  ・・・・・
I3研究所の近藤哲二郎社長は、「テレビジョンの歴史は、現場で見ている“視界”(ビジョン)を電気に変えて送るというもの。理想、目玉は現場にいって見ている感覚。通常、人間の視覚では、脳が判断して目でオブジェクトを追い、フォーカスを合わせて、像を脳内で合成する。これと同じ考えで次世代のテレビを目指す」とする。』

さらに先立つ9月15日には以下のニュースです。
2Dで実現する立体映像、シャープが「ICC」を採用する理由
+D LifeStyle 9月15日(木)18時35分配信
『先週ドイツ・ベルリンで開催された「IFA 2011」では、国内メーカーが進めている次世代の技術開発を垣間見ることができた。・・・・・クローズドなスペースでシャープが展示していたのが、“ICC+4K×2K”の技術デモンストレーションだ。
  ・・・・・
シャープ、AVシステム開発本部 A1268プロジェクトチームチーフの大石伴史氏
今回シャープで4K×2K+ICCプロジェクトを率いる同氏は、今後50~60V型クラスの大型TV向けに4K×2Kが出てきた時、「従来の方法でコンテンツをそのまま流して、果たして本当にいいのか」というのが発端だったと説明する。そうしたなか、ソニーでDRC(Digital Riality Creation)を開発した近藤哲二郎氏が率いるI3(アイキューブド)研究所のチームに出会い、意気投合して共同開発を進めることになった。その成果が、今回のデモというわけだ。』

近藤哲二郎氏が社長を務めるI3研究所は、2年前に設立されました。会長はソニーの出井伸之氏です。このブログで2009年10月14日に出井伸之氏と近藤哲二郎氏として記事にしました。
「ソニーの出井伸之前会長が代表を務めるコンサルティング会社のクオンタムリープ(東京・千代田)は9日、画像関連技術の開発などを手掛ける新会社を設立したと発表した。高画質化技術の開発を長年にわたって手掛け、ソニーの業務執行役員SVPを務めた近藤哲二郎氏らと組み、開発成果の外部企業などへの提供を目指す。
新会社のI3(アイキューブド)研究所(川崎市)を設立、出井氏が会長、近藤氏が社長に就いた。資本金は5950万円で、出資比率はクオンタムリープが19.3%、近藤社長や社員が計46.2%。ソニーとシャープも16.8%ずつ出資した。ソニーとシャープはそれぞれ、開発成果を自社製品に搭載することなどを目指している。
[2009年10月12日/日経産業新聞]」

近藤哲二郎氏はもともとソニーの研究者でした。ソニーでの近藤氏については、同じくこのブログで2008年6月にソニー最後の異端―近藤哲二郎として紹介しました。
1995年、ソニー社長が大賀典雄氏から出井伸之氏に変わりました。出井社長は、社の方針を策定するため、自社が保有する特許の内容と保有者名(発明者名)などのリストの提出を求めます。そのリストで出井社長はおかしなことに気づきます。ある一人の研究者が、400件もの出願・登録特許を持っており、他を圧倒する数であるにもかかわらず、そのうち製品化されたものが1件もなかったのです。その研究者こそ近藤氏その人でした。
出井社長は近藤氏を取り立て、おりから1997年、他社に先駆けて商品化した平面ブラウン管テレビに、近藤氏が開発したDRC技術を組み込んで発売するのです。

ところが出井氏が退任した後、2008年4月、近藤氏はそれまでのA3研究所長の職を解かれました。
その後、上記のように2009年に出井氏と近藤氏がI3研究所を設立し、その後2年でICCを開発し、、今回シャープが4K×2Kテレビに採用するに至ったのですね。
I3研究所設立時にシャープは16.8%出資しているのですから、今回の共同開発もその延長線上であるということができます。
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今年の鳥人間コンテスト

2011-10-01 01:07:21 | 趣味・読書
本年の鳥人間コンテスト(2011)は、7月30~31日に実施され、放送が8月19日でした。私はその放送に気づかず、見そこなってしまったのです。
後からネットで検索すると、人力ディスタンス部門では東北大が優勝しており、記録は18.6kmとのことでした。東北大機は、風に流されたのかコースが迷走しましたが、それでも優勝したのだから立派です。東北大パイロットの飛行中の動画が凄すぎるとネットで話題になっていました。

去年優勝の東工大マイスターチームはどうだったのでしょうか。
マイスターのページパイロット日記に、本年のパイロットを務めた宮本君の記事が載っています。それによると、本年の本チャンパイロットにアクシデントがあり、宮本君は7月13日から急遽パイロットを務めることになりました。なお、宮本君は去年の優勝パイロットです。
もちろんそれまでトレーニングしていませんから、体力は落ちているし体重は増えています。残りの2週間で、体力増強と体重減少に努めました。設計出力持続時間は10分から30分に伸び、体重は64.5kgから61.5kgに落としました。その状況で本番に臨んだといいます。本年は大変なことがあったのですね。トレーニング期間2週間といったら、体力がそこそこまで戻る最低限の期間でしょう。これよりもトレーニング期間が短かったら、悲惨な結果に陥っただろうと推測されます。
それで東工大マイスターの成績はどうだったのでしょうか。

9月末に東工大同窓会誌が届きました。その中に、本年もマイスター奮戦記が掲載されていました。
本チャンパイロットのアクシデントとは、体力づくりのためのトレーニング中に交通事故に遭ったのだそうです。命に別状なくてよかったです。チーム全員の心が折れかかっていた中、昨年優勝パイロットの宮本先輩が乗ってくれることになったのでした。
今年の機体名は「凛」というのですね。
離陸の瞬間に強い向かい風を受けて機体が急上昇しましたが何とか切り抜け、その後強い横風に煽られながらもほとんど蛇行することなく飛行したようです。飛行距離は8182.80m、成績は準優勝でした。2週間の速成パイロットが乗ったにしてはすばらしい成績です。

凛ちゃん、よくがんばりました。
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