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弁理士の日々

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郵便不正事件の謎(6) 倉沢判決

2010-04-28 20:07:10 | 歴史・社会
郵便不正事件に関し、厚労省側の被告である村木厚子さんの裁判と並行し、団体側の被告である倉沢邦夫氏の裁判が行われてきました。そして27日、倉沢さんに対する地裁判決がなされ、虚偽公文書作成・行使については無罪となりました。

「凛の会」元会長、一部無罪 崩れた検察の構図 村木元局長、公判も苦境に
4月27日15時47分配信 産経新聞
『検察側が描く構図がついに崩れた。27日、郵便不正事件をめぐる偽の障害者団体証明書発行について、「凛(りん)の会」元会長、倉沢邦夫被告(74)に対し、大阪地裁が言い渡した無罪判決。倉沢被告の捜査段階の供述調書に加え、厚生労働省元係長の上村勉被告(40)らの調書にも「あいまいで慎重な考慮が必要」と言及、その信用性に次々と疑問を差し挟む判断に、検察側は元局長の村木厚子被告(54)の公判でも極めて厳しい状況に追い込まれた。』
『特に、村木被告の公判も含めて最大の焦点になっている捜査段階の供述調書の信用性はことごとく否定された。「内容に不自然な点がある」「信用性に疑いを差し挟む余地がある」』

私は村木裁判をフォローしていて、「素人目に見たら検察の主張はことごとく崩れ、村木さん逮捕は冤罪であって無罪にしかなり得ない」と感じていました。しかし刑事訴訟の実態はわかりませんから、「厚労省の職員・元職員が捜査段階での供述を翻しているのは、厚労省の組織ぐるみの隠蔽工作・虚偽証言であって、捜査段階での供述こそが真実である」と判断される可能性を捨てきれませんでした。
しかし今回の倉沢判決を見る限り、その心配は杞憂であって、裁判所はリーズナブルに判断してくれる可能性が濃厚になってきました。

倉沢裁判と村木裁判は同じ裁判長だそうですから、同じような判断がなされる可能性が高いでしょう。

ただし、ちょっと腑に落ちないところはあります。
『一方、横田信之裁判長は、証拠上認定できる事実として、倉沢被告から民主党の石井一参院議員、厚労省元部長、村木被告、上村被告ら部下へと至った依頼や指示の流れは認めた。
しかし、「厚労省関係者の調書と倉沢被告の公判供述と矛盾がない言動を事実として考慮する」とあえて注釈をつけており、村木被告の公判で同じ判断が示されるとは限らないという。』
どういうことでしょう。
村木裁判での証言では、問題の日に倉沢被告は石井議員に会っていないといい、石井議員もその日はゴルフだったと言い、元部長は石井議員から電話を受けていないと言い、上村係長の前任の係長は村木課長から指示を受けていないと証言しました。もちろん村木被告は何も知らないと証言しています。
ですから、倉沢判決で裁判長が「倉沢-石井-部長-村木被告-上村被告、と依頼や指示の流れがあったことを認めたのはとても不自然です。
判決中の「あえて注釈」がミソで、村木裁判では異なった判断がされるというのでしょうか。

いずれにしろ、少しは安心して村木裁判の判決日をむかえることができそうです。

もちろん、倉沢裁判しろ村木裁判にしろ、地裁で検察が負けても控訴がありますから、決着するのはまだ先のことですが。
しかし検察は控訴できるのでしょうか。上級庁である高検とよく相談してください。
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