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弁理士の日々

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医療崩壊が迫る?政策転換

2021-08-04 17:46:35 | 歴史・社会
コロナ入院政策の変更、菅総理が会見で表明したのは2日夕方です。
『新型コロナウイルスの感染者が急増する地域で入院できるのは、重症患者や重症化リスクの高い患者に限るよう都道府県に求める方針を決めた。今は入院と判断されている中等症と軽症の患者は、リスクが低い場合は原則、自宅療養に転換する。無症状・軽症患者を対象としていたホテル等での宿泊療養については、家庭内感染の恐れなどがある人に限る。』(8月3日朝日朝刊より)
突っ込みどころ満載の政策大転換です。これは、天地がひっくり返るような大議論が巻き起こるだろうと予想しました。
ところが、我が家で購読している朝日と日経の3日朝刊では、小さな扱いです。朝日は1面の左上3段のみ、日経は1面右下3段のみの記事で、関連する論説はどちらも一切掲載していません。ただ、政府の発信をたどっているだけです。
3日夕刊でも、朝日は1面右下2段で「野党が批判している」という事実を述べるだけ、日経夕刊は沈黙です。
いったいどうしたのでしょうか。

65歳未満のワクチン接種率は当面低いままであり、感染力が高く若者も感染するδ株が猛威を振るっているのが現状です。この状況での上記政策転換は、
『万策尽きた。医療崩壊が近づいている。これからは、入院できないがために死に至る人の数をできるだけ少なくするよう、トリアージを始める。』
と言っているように聞こえます。

私から見れば、まだ万策尽きていません。
コロナ病床数の増大に関し、政府はまだ全力を尽くしていません。
空き地を見つけて、プレハブの病棟を大規模かつ大至急、設置すべきです。
日本は医者の数は多いのに、民間の小さなクリニックが大部分であるためにコロナに振り向けられないと、医師会はいいます。政府は、医師会を説得して、あるいは法律を改正して、中小病院の医療従事者をコロナ対応に振り向けさせなければなりません。
政府がそのような努力を行っている形跡が全く見えません。

入院基準については、最近の状況、65歳以上はワクチンの効果で新規感染者比率が減っている一方、δ株が猛威をふるっている状況において、データを科学的に検証して基準を決定すべきです。
A:重症化リスクが高い
C:重症化リスクが低く、自宅療養で急に症状が悪化する可能性が低い
B:上記AとC以外
のように分類したとき、どのような年齢、症状の陽性者がA、B、Cそれぞれに該当するのか、最近の陽性者はA、B、Cそれぞれどのような比率で発生しているのか、という点をデータに基づいて科学的に説明してもらう必要があります。
そもそも、Cは自宅療養でいいかもしれませんが、政府が言っているのは「Aは入院」ということだけです。Bが置き去りにされています。Bを入院させずに自宅療養、というのは乱暴すぎるでしょう。

入院させない場合、自宅療養が原則になるということです。複数家族の家庭では、感染力の高いδ株の陽性者が自宅療養したら、家族全員が感染することを覚悟しなければなりません。複数家族の陽性者は当然自宅療養には当たらないはずです。
一人住まいの場合、夜中に悪化して呼吸困難に陥った場合、助けが間に合わずに死亡するか、死亡しないまでも呼吸困難で死ぬほど苦しい夜を過ごさなければなりません。こちらも自宅療養ではなく、宿泊療養に回るべきです。
そうすると、自宅療養が原則といいながら、宿泊療養に回すべき陽性者が大部分で、自宅療養は、事情があったり強く希望する人に限られざるを得ないでしょう。
宿泊療養ではなく自宅療養が原則となった理由については明らかにされていません。何か宿泊療養が困難である理由があるのでしょうが、その理由をあきらかにして対策を打つことが必要なのであって、諦めて自宅療養を原則にするなどもってのほかです。

菅総理が「新規感染者に占める高齢者の割合は2%まで減少している。」だから安心・安全だ、との主旨の発言をしたのはついこの間です。その直後に、なんの挨拶もなく、
『万策尽きた。医療崩壊が近づいている。これからは、入院できないがために死に至る人の数をできるだけ少なくするよう、トリアージを始める。』
ととれる政策転換をしました。
まずは、「このあいだまでの私の種々の発言は間違いだった。」との謝罪から入ってもらわないと、何を言っているのかちんぷんかんぷんです。
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