弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

習近平中国と同じ隠蔽体質は日本でも

2020-02-09 14:58:33 | 歴史・社会
新型肺炎 SNSで警鐘し摘発された武漢の医師死亡 当局の責任問う声高まる
2/7(金) 19:47配信毎日新聞
『新型コロナウイルスによる肺炎を巡り、2019年12月30日の段階で、医療関係者のグループチャットで「(当時は『原因不明』とされていた肺炎の原因が)コロナウイルスであることが確定した」などといち早く警戒を呼び掛けながら、公安当局に「デマを流した」として摘発された中国湖北省武漢市の医師、李文亮(りぶんりょう)さんが7日未明、院内感染とみられる新型肺炎のため、同市内の病院で亡くなった。33歳だった。勤務先の病院が公表した。
中国国内では「良心の医師」の告発を封じ込めた当局の責任を問う声が高まっており、公職者を取り締まる国家監察委員会が現地調査に乗り出すと発表した。』

習近平中国の悪しき全体主義体制のなせる技、として理解されています。湖北省や武漢市などの地方政府がこのような態度を取らなければ、新型コロナ肺炎の世界的流行はだいぶ抑えられたことでしょう。

ところで、これは習近平中国に特有の現象でしょうか。
福島原発事故の当初、日本でも同じようなことが行われていたことを思い出さなければなりません。2011年3月23日にこのブログで記事にしました。以下に記事を再掲します。

原子力安全保安院はどうなっているのか
2011-03-23
--記事再掲-----------------------
日々、原子力安全保安院が記者会見を開き、福島第一原発の現況について説明しています。一番多く登場するのは、こちらでも顔写真入りで「記者会見する原子力安全・保安院の西山英彦審議官(20日午後)」と紹介されている西山英彦審議官です。
記者会見の発言を聞いても、とても専門家とは思えず、また現場で起きている事象をきちんと把握していないような様子です。一体どういう人なのか、気になっていました。
しかし、幹部一覧(METI/経済産業省)で調べると、通商政策局で通商政策局長の次に「大臣官房審議官(通商政策局担当)」として西山英彦氏の名前が記載されています。原子力安全保安院ではありません。

本日23日の日経新聞にいきさつが載っていました。
『事故当初、保安院の記者会見に「説明が甘い」などと強い批判が集中したことから、13日からは説明者に通商政策職担当の西山英彦審議官を起用。西山氏は・・・、保安院の企画調整課長や資源エネルギー庁・ガス事業部長の経験があることが買われ、兼務となった。』
ここに記載された程度の経歴では、とても「良く分かっている人」とは言えませんね。今、日本国民にしろ世界各国にしろ、この西山審議官を通してしか福島第一原発の状況を把握することができません。不幸なことです。

西山審議官が登場するいきさつは何だったのでしょうか。『事故当初、保安院の記者会見に「説明が甘い」などと強い批判が集中した』とあります。

こちらの記事によると、地震発生翌日の12日、経済産業省原子力安全・保安院の中村幸一郎・審議官が、「(1号機の)炉心の中の燃料が溶けているとみてよい」と記者会見で明らかにしたところが、菅首相が中村幸一郎審議官の“更迭”を命じたというのです。
「菅首相と枝野官房長官は、中村審議官が国民に不安を与えたと問題視し、もう会見させるなといってきた」(経産省幹部)

たしかに、福島第1原発「炉心溶融が進んでいる可能性」 保安院
『2011/3/12 15:30
 経済産業省の原子力安全・保安院は12日午後2時、東京電力の福島第一原発1号機で原子炉の心臓部が損なわれる「炉心溶融が進んでいる可能性がある」と発表した。発電所の周辺地域から、燃料の核分裂に伴うセシウムやヨウ素が検出されたという。燃料が溶けて漏れ出たと考えられる。炉心溶融が事実だとすれば、最悪の原子力事故が起きたことになる。炉心溶融の現象が日本で確認されたのは初めて。』
という記事がありました。写真には『記者会見する経済産業省原子力安全・保安院の中村幸一郎審議官(12日午後)』となっています。

しかし12日のこの発言、今になってみれば全然違和感がなく、だれもが「うん、その通り」と認める内容です。
どうもこのときから、官邸の圧力により、原子力安全保安院は真実をフランクに語ることをやめてしまったようです。

この点については、NB-OnLineの記事原子力保安院密着ルポ 「伝言ゲームの参加者が多すぎる」からも読み取れます。
『3月12日、17時から始まった会見で、官邸との協議を終えた中村幸一郎審議官の口ぶりは重かった。
「詳しいことについて、東京電力に確認できていないので何も申し上げられない」「(炉心溶融が起きているか)予断をもったことを申し上げるのは適当ではない」
結局、再度会見を設けることで記者側と合意。ある記者は「これまでは今後の可能性も含めて詳しく説明してくれていたのに、まるで別人のようだ。何か官邸に言われたのか」といぶかしんでいた。』
3月15日、15時の記者会見では「炉心溶融が進んでいる可能性」と率直に述べたのに対し、17時までの間に官邸から強い圧力がかかったのでしょうね。
そして中村審議官は更迭され、西山審議官が後を継ぎ、現在に至っているというわけです。
--再掲終わり-----------------------

福島原発事故から半年ほどは、「確実に事実として判明していること以外は、憶測で話してはいけない」という縛りがかかったようです。しかし、原子炉の中は見えないのですから、周辺の状況から類推せざるを得ません。そのような類推が一切禁じられた半年だったのです。
今回の新型コロナ肺炎の蔓延初期においては、当然真の原因は解明されていません。このような場合には、類推でも状況を想定し、最悪に備えることが何よりも大事です。それが、中央政府を忖度する地方政府によって封じられてしまいました。
しかし、同じようなことが福島原発事故直後の日本でも起こっていたのですから、人ごととして責めることはできません。
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