弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

高橋洋一氏が語る厚生年金基金

2012-03-11 21:13:52 | 歴史・社会
AIJ問題から、厚生年金基金が大変なことになっています。
この問題について、高橋洋一氏の論説がおもしろいです。

天下り基金だけが減少しないまま!AIJ事件に隠された厚生年金基金という欠陥年金と大阪市にはびこる違法・不適正行為 この国はでたらめばかり
2012年03月05日(月) 高橋 洋一
『問題の年金は厚生年金基金であるが、その名称は公的年金である厚生年金(2階部分)と紛らわしい。厚生年金基金は、特別法人で厚生年金保険法に基づく厚生労働大臣の許可を得て設立される企業年金だ。というものの、純粋な企業年金でなく2階部分の厚生年金の多くの部分と3階部分の企業年金部分を合体したものだ。
厚生年金の部分は、標準報酬月額再評価分および物価スライド分を除く厚生年金の報酬比例部分であるが、本来は国が行うべきところを、国に代わって企業年金で支給するので代行部分という。今回の事件で基金の代行部分まで損が及ぶと、企業年金にとどまらず公的年金も穴があくことになる。』

“代行部分てなんだ”と思っていたら、その直後にさっそく報道がありました。
AIJと契約の31年金が積み立て不足 国の代行運用分で 2012/3/7付 情報元 日本経済新聞 朝刊
AIJ資産消失なら…基金7割、代行部分で積立不足 2012/3/7 11:44

上の高橋氏の論説を追います。
高橋氏は大蔵省(当時)官僚時代の1994年、金融業界誌である週刊金融財政事情にペンネームで「厚生年金基金は年金制度を冒すガンである」と言う論考を投稿したことがあるそうです。高橋洋一氏は、どの分野にどのように精通しているのか、不思議な人ですね。
『公的年金と私的年金を合体して運用するのは、運営自由度を欠き年金数理上無理があるという制度的欠陥を指摘した。こうしたヌエ的な年金制度は世界に類を見ない日本独特のものだともいい、制度破たんが起こると予言した。
・・・・・
しかし、この指摘は図星だった。どんなに言い訳をしても、市場環境はそれを許してくれない。その頃からデフレ経済になり、運用利回りは低下し、制度欠陥が顕在化しだした。代行部分は国の制度、その以外の上乗せ部分は企業の事情となって、基金運営が股裂き状態になるのだ。そのうち、基金運営ができなくなるところもでてきた。』

厚生年金基金の数は、ここ15年で大幅に減少(1996年度に1883あった基金は2010年度には588に減少)しているのですが、その内訳がグラフで掲載されています。
『基金は、単独企業で作る単独型、グループ企業で作る連合型、同種中小企業で作る総合型がある。単独型は562から42、連合型は678から51、総合型は643から495と、単独型と総合型は激減し、総合型だけが残っているだ。』
総合型の特徴は、天下り受け入れが多いことです。
『総合型629基金のうち575基金(91%)、単独・連合型1190基金のうち157基金(13%)に、旧厚生省、社会保険庁、都道府県の社会保険担当部局の元職員らが天下っていた。』
『2002年4月施行の確定給付企業年金法では、代行部分の国への返上が認められることになった。これを契機に、天下り理事らの少ない単独・連合型は一気に減少していった。ところが、天下り理事らの多い総合型はあまり減少していない。』

基金の予定利率が5.5%という高率であることが、基金の運用を苦しめ、AIJの餌食になる原因でした。この点についても高橋氏は、『これは、かつて指摘した厚生年金基金の「半官半民のヌエ」に由来する。公的年金の予定利率が長らく5.5%であったので、それに引きずられたわけだ。』と述べています。

AIJ問題では、天下り理事が運用の素人であるにもかかわらず運用を担当していたり、さらには天下り人脈でAIJ利用が広がって被害が拡大した実態も報道されています。さらに、上記のように、天下りが多い基金は休止するチャンスを逃し、窮地に立っているのでしょう。

厚労省は、94年の高橋氏の指摘に対する対応でもわかるように、問題が指摘されても、天下り先という省益を守るために問題を隠蔽し続けてきました。
被害拡大の根源には、厚労省の責任が極めて重いことわかります。

ところで、AIJ投資顧問に引っかかる率が非常に低かった地域が1箇所だけあるそうです。それは大阪です。
プロもだまされたAIJ投資顧問にひっかからなかったナニワ金融道「3つの掟」2012年03月04日(日) 藤野 英人
振り込め詐欺についても、全都道府県でもっとも被害件数が少ないのが大阪だということで、共通する点があるのでしょう。
『大阪の年金担当者の顕著な特色は以下の3つです。
見栄を張らない
例文:「頭悪いからようわからんわ、ちょっと教えてーや」 関東の人は騙されてはいけません。頭悪いなんてとんでもないです。かなり知っていることをあえてこのように聞いてみる人が多いです。・・・
しつこく聞く
例文:「もうちょっとここわかりやすう説明して」・・・
理解できないことはやらない
例文:「ようわからんから今回はやめとくわ」 「今回は」というのは社交辞令です。たぶんもう永遠にないかも。・・・』

私は東京育ちですが、上の3ポイントについては私にも当てはまりますね。その点では安心できるでしょうか。
コメント   この記事についてブログを書く
« 救われた4号機・遅れた支援策 | トップ | 民間事故調報告書・日銀と円... »

コメントを投稿

歴史・社会」カテゴリの最新記事

関連するみんなの記事