弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

親指シフトが読売ウィークリーに

2008-01-20 16:44:28 | サイエンス・パソコン
パソコンでの日本語キー入力は、現在ローマ字入力がほとんどであり、一部にJISかな入力が使われていると思います。
それに対し、私が「親指シフト入力」という変わったキーボードを用いていること、そしてその効用については、このブログでも何回か報告してきました()。
下の写真が、私が使っている親指シフトキーボード(Rboard Pro for PC)です。


その親指シフトが、実に久方ぶりで一般週刊誌の記事となりました。

読売ウィークリー1月27日号(発売日・1月12日(土) )

ジェームス三木、曽野綾子…
“「親指シフト」への熱き思い”
「パソコン入力の一つで「親指シフト」というのをご存じか。ローマ字入力に押され、いつのまにか衰退してしまったが、愛好者は多い。人気の秘密はそのスピード。ローマ字入力の1.7倍の速さで文字が打てるというのだ。」

早速買ってきました。見開きの2ページ記事です。
「IT化、グローバル化が叫ばれて久しいが、パソコンの世界で、主流のローマ字入力ではなく、かな入力の『親指シフト』がどっこい生き残っている。」「愛好者には、文筆業に携わる作家が多いという。愛用する道具へのこだわりを聞いた。」

写真付きで登場するのは、脚本家のジェームス三木氏(72)、作家の曽野綾子氏(76)、そして経済評論家で公認会計士の勝間和代氏(39)の3人です。記事の3/4は三木氏と曽野氏の発言です。
こうして紹介してくださることはありがたいのですが、何か「70歳を超えたお年寄りが、過去の亡霊マシンにしがみついている」といった雰囲気が感じられなくもありません。39歳の勝間氏が「若手の愛好者」ということになっています。

「こんないいものがあるのだから普及させよう」と手放しで誉めているわけではないようです。
ちょっと意味不明の部分もあります。曽野さんの話として「今は両手の人差し指だけで打ってゆく」は何を意味しているのか、「親指シフトで打つときは五本指だが、ローマ字入力のときは人差し指だけ」の意味かも知れません。また、最後に曽野さんの話が載りますが、「筆記用具は何でもいい」という話で、親指シフトの良さで締めくくる文章になっていません。

しかし、こうして週刊誌で紹介してもらえるだけでも嬉しいものです。
勝間和代さんの「年収10倍アップ勉強法」で親指シフトの良さが紹介されて以来、親指シフトへの関心が高まっていることは疑い有りません。読売ウィークリーで 取り上げられたのも、勝間さんの著作が発端だろうと推定しています。
今回記事の中で勝間さんは「親指シフトは日本語を指でしゃべるキーボード入力方法といわれています。」「親指シフトだとローマ字入力の1.7倍のスピードで入力できる。」と紹介しています。

記事では、今でも親指シフトキーボードの顧客となっている業種として、「作家など物書きのほかに、弁護士や、特許事務所、公証役場などに勤めているひとが多い」としています。
特許事務所が登場しましたね。
私も同感です。弁理士の最大の仕事は明細書の執筆であり、大量の日本語を入力しますから、親指シフトを利用するメリットが大きい職種です。
しかし、私の知る限り、親指シフトを使っている弁理士にはほとんど全く遭遇しません。その点がこの記事とは印象が異なります。

「親指シフト・キーボードを普及させる会」発起人で、作家の小森健太朗さんも登場します。この会には私も賛同していて、賛同者の末席に名を連ねていたりします。
小森さんが「腱鞘炎になった知り合いに親指シフトへの転向を勧めたら、腱鞘炎がなくなった」という経験が紹介されます。私も、自分がこの年になっても腱鞘炎にならないのは、親指シフトのお陰だろうと思っています。

三木さんが「まさか、メーカーがユーザーを見放すようなことはしないだろうと楽観していたのですが、見通しが甘かった」と話されていますが、この点も全く同感です。
富士通がDOS-Vマシンに参入してFM-Vを発売したとき、1994年頃と思いますが,私は富士通のショールームに見に行きました。説明員に「親指シフトは使えるのか」質問したところ、説明員は「変な質問をするやつだ」といった顔をし、きっぱりと「できません」と答えたのでした。何で客に対して申し訳なさそうな態度が取れないのか。私ははらわたが煮えくりかえる思いでした。

今となっては、私は人に親指シフトへの転向を勧めようとは全く思いません。自分が一生使い続けられさえすれば、他には何も望まないという心境です。
とにかく、親指シフトを使い続けようとすると、OSが変わったり様々な環境変化が起きるときに苦労が大きすぎます。自分はその苦労を楽しんでいますが、とても他人に強制できることではありませんから。
コメント
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