弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

親指シフトキーボード

2006-02-04 18:59:04 | サイエンス・パソコン
パソコンキーボードの話です。
私は、ローマ字ではなく、JISかなでもなく、親指シフトという入力形式のキーボードを使っています。このブログのMy Profileのキーボード写真がそれです。
昭和60年頃、パーソナルワープロが出回りはじめました。アメリカで100年前にタイプライターが発明されて英語文章作成に革命が起こったように、ワープロの出現によって日本語文章作成に革命が起こるのではないか、と予想しました。そしてその波に乗り遅れないようにパーソナルワープロを購入することに決め、さっそく入力形式の選定に入りました。
当時入手できる情報を集めたところでは、親指シフト入力方式が良さそうです。富士通の製品にしか使われていませんでしたが、富士通と心中するつもりでその形式を選び、オアシスライトFというワープロを購入しました。その後、富士通には裏切られることとなります。

昭和63年には日商のワープロ検定2級を受け、合格しました。2級とは、入力速度で漢字かな交じり文600文字の文章を10分以内で入力する程度です。会社の若い同僚と一緒に受けました。その人はローマ字入力で、耳から聞こえてくる打鍵速度ではその人の方が機関銃のような速さであり、私はトツトツとした速度ですが、入力完了は私の方が先でした。
昭和63年頃の入力での印象は、頭の中に文章が浮かぶと、次の瞬間にはディスプレイ上に文章が並んでいる、という感覚です。指が自動的に動いています。今は年をとってきたので、昔のような入力はもうできません。一方、長時間入力を続けても腱鞘炎を起こさずに済んでいるのは親指シフトのお陰ではないかと思っています。

パソコンの時代になっても、NECのPC9801パソコンMS-DOS~Win3.1時代には、アスキー社製のDboardを使ってパソコンを親指シフト化し、不自由のない生活を送ることができました。ところが、時代がDOS/VマシンとWin95の時代になると、とたんに不自由になります。富士通がその環境での親指シフト化を放棄してしまったのです。その後富士通はDOS/V-Win用の親指シフトキーボードを発売しますが、その時点では親指シフトの退潮は明らかでした。
しかし幸いにも、通常の日本語キーボードを親指シフト化するソフトが入手でき、また雪深い新潟の会社がRboardという優れものの親指シフトキーボードを世に送り出してくれたので、そのキーボードを使って現在まで親指生活を送り続けています。
Rboardはすでに発売中止になりましたが、予備を含めて3台のRboardを保持しており、使える限りこのキーボードを使っていくつもりです。

現在も親指シフトを使い続けている人々には文筆業の人が多いようです。
弁理士は特許明細書を作成することがメイン業務であり、文筆業であるということもできます。従って、弁理士こそ親指シフトの人口が多くてもいいと思うのですが、残念なことに親指シフトの存在を知っている弁理士の数が極めてレアである、というのが現状です。

現在では絶滅危惧種の筆頭にあげられる親指シフトですが、何とか私が現役でいる間は使い続けられることを願っています。
また心の底では、「正義は必ず勝つ」で親指シフトがメジャーになる日が来るのではないか、と密かに期待したりもしています。

ps 親指シフトキーボードについては以下のページでも話題にしています。

コメント (7)
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