弁理士の日々

特許事務所で働く弁理士が、日常を語ります。

「,」は日本語として不適切

2008-01-04 15:43:27 | 知的財産権
特許明細書の日本語は、原則として句読点(「、」「。」)を用いて構成しています。一方、発明者が執筆し出願人知財部で明細書を完成して持ち込まれる原稿のなかには、コンマ、ピリオド(「,」「.」)を用いたものが時々あります。
聞くところによると、学会誌の原稿は、句読点ではなくコンマピリオドが指定されており、そのため研究者はコンマピリオドで原稿を執筆する習慣があるとのことです。
また、われわれになじみが深い吉藤幸朔著「特許法概説」は、「,」と「。」を用いて表現されています。著者の吉藤氏は特許庁審査官の出身です。

明細書には【0001】から始まる連番の段落番号を付すことになっています。通常、パソコン出願支援ソフトによってこの段落番号を自動的に付与します。私が使っているパソコン出願支援ソフトでは、「。」-改行-「全角空白」がこの順序で出現したときに段落番号を付与するロジックになっています。従って、持ち込まれた原稿がコンマ、ピリオドで記載されていたとき、最低限ピリオドは「。」に修正する必要があり、そうしていました。しかし、コンマ(,)を「、」に変更するまではしていませんでした。

あるとき、以下のような拒絶理由通知を受けました。

「『,』は日本語として適切でなく、特許法第36条第6項第2号に規定する要件を満たしていない。」

もちろん、これ単独の拒絶理由通知ではなく、別に特許法第36条第6項第2号を指摘され、併せて上記指摘があったものです。

それにしても、特許庁はそのような考え方をしているということですね。

以後、出願人が明細書を完成して持ち込まれた原稿についても、「,」をすべて「、」に修正して出願明細書とすることにしました。
コメント (26)
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