<3567> 奈良県のレッドデータブックの花たち(126) コメツツジ(米躑躅) ツツジ科
[学名] Rhododendron tschonoskii
[奈良県のカテゴリー] 絶滅危惧種
[特徴] 山地から亜高山帯に生えるツツジの仲間の半常緑または落葉低木で、日当たりのよい岩場や砂礫地に見られ、高さは大きいもので2メートルほど。風衝地では岩場に貼りつくように枝を広げる。葉は長さが3センチほどの楕円形もしくは倒卵形で、先はやや尖り、基部はくさび形。両面の縁には淡褐色の毛が生え、互生する。
花期は6~8月で、枝先に筒状漏斗形の5中裂する直径1センチ弱の小さな白い花をつける。濃紅色の葯が目につく雄しべ5個が花冠より突き出す。花にはハチなどの虫がよく集まって来るので、花時はにぎやかである。
[分布] 北海道、本州、四国、九州。国外では南千島、朝鮮半島。
[県内分布] 五條市大塔町、天川村、上北山村、下北山村、十津川村の大峰山脈と大台ケ原の高所部。
[記事] コメツツジ(米躑躅)の名は小さな白い花を米粒に見立てたか。山岳高所の岩場にへばりつくように生える個体は岩場への逃避の結果の姿に見える。自生地はシカの出没が見られ、ほかの草木にもうかがえる岩場の植生風景である。 写真は岩壁に貼りつくように生えるコメツツジ(左)、雄しべの濃紅色の葯が目につく白い花(中・花にハチの類が見える)、秋の紅葉(右)。
険しい山岳の岩場や岩壁は
小さなか弱い植物にとって
守護神のような岩による
一種エスケープの場であり
楽園あるいは聖地としての
安心保証の居場所である