<3571> 写俳百句 (87) 枯れたカワラケツメイに寄せて
枯草や枯るるも命のすがたなり
この間、奈良県のレッドデータブックに絶滅危惧種としてあげられているカワラケツメイ(河原決明)の自生地に出かけてみたら、異様な枯れ方をしていた。他の雑草類もことごとく枯れていたので、除草剤と見た。道端でもあるし、それなりの事情によるのだろうと察せられた。だが、濃い茶色に立ち枯れたカワラケツメイが浮き立ち、中にはマメ科特有の莢の実が裂開し、種子が弾けた様子も見られ、意識された。
冬になると、カワラケツメイは自然に枯れるが、まだ、枯れる時期ではないので、この光景は異様な気色の眺めであった。枯れた姿から、多年草ながら本体は絶命に近く、手の施しようがない感。で、種の延命を思うに、託すは莢の実の種子のほかにない。果たしてこの種子は発芽するだろうか。しなければ、このカワラケツメイの自生地は失われる。という次第で、自生地の異変の光景は気分の落ち着かないものであった。 写真は立ち枯れて茶色に変色したカワラケツメイ(豆果の莢の実が見える)。