<3625> 奈良県のレッドデータブックの花たち(153) ショウキラン(鍾馗蘭) ラン科
[学名] Yoania japonica
[奈良県のカテゴリー] 絶滅危惧種
[特徴] 山地のやや湿り気のある林内や林縁に生える葉緑素を有せず、光合成を行なわない多年草で、ツチアケビと同じく、菌根菌の助けを得て地生する腐生ランの一種である。乳白色乃至は淡褐色の茎を立て、高さは大きいもので30センチほどになる。葉は鱗片状に退化し、目立たない。
花期は7~8月で、茎から長い花柄を上向きに伸ばし、その先に直径3センチほどの淡紅色の1花を横向きに開く。開花すると、花弁に包まれた花を外側の大きい3個の萼片が引き立て、印象的である。
[分布] 日本の固有種。北海道西南部、本州、四国、九州。
[県内分布] 東吉野村、川上村、上北山村、天川村、
[記事] ショウキラン(鍾馗蘭)の鍾馗は玄宗皇帝の夢に現われ、皇帝の病魔を追い払ったと言われる中国古来の守り神で、日本にも伝来し、端午の節句の五月人形に用いられ、厄除けのため人家の塀や屋根に上げられたりしてきた。髭をたくわえ、官人の装束を纏った偉丈夫の姿が印象的である。花を開いたショウキランの姿に帽子を冠ったこの鍾馗を連想したようで、この名がある。
自生地が極めて少ないのと、一カ所の個体数も少なく、花期にしか見られないので、出会えるチャンスは稀である。写真の個体は大峯奥駈道の標高1600メートル付近で出会ったものであるが、登山者に教えてもらった情報によるもので、ラッキーの一語に尽きる出会いではあった。 写真は花盛りの個体(左・大峯奥駈道)と登山道に咲き出し、踏みつけられないように落木で囲ったショウキラン(右・西大台)。
生は絶えぬ時と所に展開し
この展開の継続によって
成り立ちそして続いている
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