大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2021年04月15日 | 植物

<3378>奈良県のレッドデータブックの花たち(39)オオナンバンギセル(大南蛮煙管)  ハマウツボ科

                              

[学名] Aeginetia sinensis

[奈良県のカテゴリー]  絶滅危惧種

[特徴]  オモヒグサ(思草)の古名で『万葉集』に見える1年性の寄生植物として知られるナンバンギセル(南蛮煙管)の仲間で、本種はススキやノガリヤスなどの根に寄生する。茎は極めて短く、ほとんど地上に出ず、鱗片葉が互生する。花期は7~8月で、15~25センチの花柄を直立し、先に紅紫色の1花を横向きにつける。花冠は筒状で、長さが3.5センチ前後、5浅裂する裂片の縁に細かい鋸歯が見られ、先はナンバンギセルより紅紫色が濃い。萼はナンバンギセルよりも白色がかり、淡紅紫色の条が入る。柄もナンバンギセルより白く、萼の先はやや尖るか尖らない。全体的にずんぐりとした感じがある。

[分布]  本州、四国、九州。国外では中国。

[県内分布]  葛城市、野迫川村、曽爾村。

[記事]  同じ場所ではナンバンギセルよりオオナンバンギセルの花期が早い。産地、個体数ともに少なく、管理不十分によるススキ原の消滅などにより減少しているという。なお、『万葉集』の思草の一首は「道の辺の尾花が下の思ひ草今更々に何をか思はむ」(巻10-2270・詠人未詳)と詠まれている。題詞に「草に寄す」とあり、花の項にあげていないので、万葉人はナンバンギセルの思草を花と認識していなかったのであろう。 写真はオオナンバンギセル(曽爾高原)。

   人はみな 思ひ思はる思ひ草 ときに思ひの雫に濡るる

 


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