大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2021年02月20日 | 植物

<3324> 奈良県のレッドデータブックの花たち (23)  イワガサ (岩傘)                         バラ科

          

[学名] Spiraea blumei

[奈良県のカテゴリー]  絶滅危惧種

[特徴] 日当たりのよい海岸や山地の岩場、崖地などに生える落葉低木で、高さは大きいもので1.5メートルほどになる。樹皮は暗褐紫色、若い枝は褐色。葉は長さが2~4センチの菱状卵形または広倒卵形で、先は尖らず、基部は広いくさび形。縁の上部に不揃いの鋸歯があり、ときに葉は3~5中裂する。花期は5~6月で、直径2~4センチのドーム型の散房状花序を出し、直径7ミリほどの白い5弁花を20~40個つける。花弁は円形で、花弁とほぼ同長の雄しべが20個ほど。実は袋果で、盛夏のころ熟す。

[分布] 本州の近畿地方以西、四国、九州。国外では朝鮮半島、中国。

[県内分布]   川上村、天川村、上北山村。

[記事] 大峰、台高山系の山岳高所の酸性岩や石灰岩などの崖地に稀産するが、これは中生代の海辺隆起による地形的遺存植物の可能性が高いと言われる。写真撮影に当たった個体は崖地の影響か、高さが保てず、枝が横に広がりを見せている。

 標高一七〇〇メートル 切り立った絶壁の岩場 この岩場に毎年五月になると 白い傘を開いたような花が見られる 聞くところによると 約1億年以上前の 中生代に起きた 海辺隆起によって 冷温帯のこの絶壁の岩場に移り暮らすようになった ごく普通の落葉低木であるが 長い絶壁での暮らしのためか 岩場を這う蔓植物のようになって久しい 果たして樹齢は如何ほどか 遥かな昔から引き継がれ引き継がれして今に至るのであろう その来歴 しかし そんな来し方の面影など微塵もなく いつも言われている 「絶滅寸前」 「風前の灯」 と それでも 切り立った絶壁の岩場が ずっと守護神のごとく守り そして 守られ いまに命脈を繋いでいる これが紀伊山地 大和の大峰山脈の一隅に永らえている岩傘という植物である 

 


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