大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2014年12月11日 | 写詩・写歌・写俳

<1193> 日本経済の動向について (2)

       事を急くなかれ 無理をするなかれ 行くべくあるは足許を見よ

 株価も為替レートも、これは海外との関わりによって成り立っているもので、日本のみの問題ではなく、海外の国々との関係において影響を受けるようになっている。この一年ほどの間、日本の株価や通貨の為替レートを見ると、株価は上昇し、為替レートは円安になっていることがわかる。そこで、思われるのが、この金融の現象が実体経済に即して反映されているものかどうかということである。米国では日本と同じように景気回復を図って金融緩和をした。これによって株価は上昇し、為替レートはドル高に向かった。

  この金融の現象における日本と米国の異なりはどういう意味を持っているのだろうか、そこのところが不思議に思われる。株高でドル高の米国の状況は実体経済に連動している状況と言え、理解に及ぶ。所謂、米国においては実体経済が株高とドル高に反映され、自然な金融状況にあると言ってよい。これに対し、日本の株高、円安というのはどのように理解すればよいのか。金融の自然な姿からすれば、日本の状況は矛盾を孕む事態であると見て取れる。この日本の株高、円安の状況は如何にして生じて来たものかということが、この状況下では疑問に思えて来ることになる。

  で、思うに、この米国の金融状況は実体経済に即した姿を数字が示しているのに対し、日本の状況は実体経済に関わりなく、株高と円安によって実体経済の状況を好転させるべく採られている政策によるもので、幻の経済実体をこの株高と円安は演出しにかかっていることが思われる。所謂、日本のそれは思惑によってあるもので、実体経済と連動している状況にはないことが言える。

                             

  実体経済が良好で、これに即しているならば、米国同様、日本も株価とともに為替レートも高くなり、円高に振れるのが普通である。ところが、この一年ほどの日本の状況を見ると、株価の急激な上昇とともに、為替レートが急激に円安に向かっていることである。これは、経済的観点からして見ると、矛盾していることになり、この矛盾をして見れば、日本の金融が実体経済を反映したところで動いているのではなく、恣意的な金融操作の誘導によって現況の数値があるものと理解されるわけである。

  円安になって、円の値打ちが下がるということは、日本の現況に対する評価が下がっていることを示すことであるが、株価の面ではその逆に日本買いが行なわれていることになり、理屈がつかなくなる。これは実体経済に関わりなく、株価操作の恣意が働いているからで、世界の金融というのはそういう資金力の術中において展開されていることが、この日本の矛盾する異様とも思える金融状況からは読み解くことが出来ると言える。

  今一度言えば、日本における金融の状況は、実体経済を反映したものではなく、ある種、金融の操作テクニックによって作り上げられた幻想的な数値の状況にあると見てよい。急に上昇する質のものは急に下落することを内包している。また、急に下落するものはまた急に上昇するといった展開を見せる。資金力のあるプロの投資家はこの上下する差益によって資金の流れを作り、儲ける。そして、株に注ぎ込んだ投資家の資金は実体がよく分からないうちに、資金力に勝る者の術中によって操作する側にいつの間にか流れて行くということになる。

  株式というのは、ここのところの見極めが難しく問題なわけで、よくある話であるが、取り返しのつかない状況に陥るということにもなる。こういうリスクにもかかわらず、アベノミクスは日銀を利用したり、株価操作のために国のものでもない国民の将来がかかっている年金資金にまで触手を伸ばし、実体経済の実質には遠い幻想の株価に入れ込もうとしている。日銀の過度な方策は最後のあがきで昆虫が自分の脚を食って生き延びようとしている姿に重なる。また、年金資金の投入によって株価をあげようと試みているが、これもあがきの一端に見える。実に不純な手法で、本来あるべき実体経済の好転にはほど遠い政策であるように見える。

  この年金資金の株への投入は誰が見ても無理をしていると感じられるであろう。この無理を許すか、許さないかであるが、目先のことに気を取られる傾向のある国民は、これを許すということになるのだろう。しかし、無理はいつか支障を来たし、破綻に繋がる。この状況を思うと、どんどんと資金を出して、株に投資する日本という国に対し、欧米諸国の思惑は「待ってました」と内心ほくそ笑んでいるのではないかということが思われて来る。なお、日本の内情についてはまたの機会に触れたいと思う。写真は最近の株価と為替レート(テレビ映像による)と道のイメージ。 ~終わり ~

 

 


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