<905> フクジュソウ ( 福寿草 )
福寿草 老爺出で来て 咲いとるよ
五條市西吉野町津越のフクジュソウを見に出かけた。今年は積雪量が多く、今も雪は解けずに残ってフクジュソウの自生地はまだ雪化粧のままだった。だが、日のよく当たるところでは土が表面に現われ、咲き始めたフクジュソウが見られた。まだ、ほとんどはつぼみで、これから順次咲くだろう。中には雪を割ってつぼみを開きかけた花も見られた。
フクジュソウはキンポウゲ科の多年草で、北国に多く、大和での自生は珍しく、津越のフクジュソウは奈良県の天然記念物に指定されている。なお、奈良県のレッドデータブックによると、自生のフクジュソウは絶滅寸前種にあげられている。この辺りでは春一番に咲く花で、地元の人には待ち遠しい花である。艶のある黄金色の花は日が当たると開き、日が沈むころには閉じ、雨の日は開かない。
写真は二十四日、津越の自生地で撮影したもの。花には光沢があり、天気のよい日はコントラストがつき過ぎてどぎつい写真になる。かと言って、曇天のときに撮ると、花びらなどにめりはりがなくなってインパクトに欠ける写真になる。言わば、フクジュソウの花は写真を撮るのに案外難しい花であることが言える。
ところで、フクジュソウには様々な名があるので、ここで少しその名をあげてみたいと思う。例えば、元日草、歳旦草、正月花、朔日草(ついたちそう)、報春花、賀正蘭、長寿菊、側金盞花(そくきんせんか)、福人草、福神草、雪蓮(ゆきはちす)等々、毒草なのに、みんなめでたい名ばかりである。これは花の咲く時期が旧暦の正月ごろに当たるためだが、花言葉も「幸せを招く」とあるから和名と似たようなイメージで捉えられているかと思う。 春はほら そこまで来てる 日の光