大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2016年01月11日 | 植物

<1473> 西吉野町津越のフクジュソウ自生地を訪ねて (2)

         山里の 冬のただ中 斧の音

 フクジュソウの花を撮影していたら、シカ避けの防御柵を作りに行くという地元の二人づれがやって来て、暫く立ち話をした。話によると、この花が今年最初で、今年は一ヶ月ほど早いという。ウメもツバキも咲いていると話を向けたら、「モモも咲いてるよ」と教えてくれた。この花の早い話題については(1)に記した通りである。

  この後、二人が沢山の括り紐を手にしているので、「何しに行くのですか」と尋ねてみたら、シカの被害が深刻で、そのための防護柵を作りに行くという。そう言えば、津越の一帯ではシカ避けの防護柵や網がいたるところに張り巡らされている。つい最近まで見なかった光景である。作物や花木などを育てている畑地もさることながら、奈良県の天然記念物に指定されているフクジュソウの自生地もシカに荒らされ、悩まされているという。

        

 自生地のフクジュソウは絶滅寸前種にあげられ、自生地の整備が進められて来たが、シカによる被害があり、最近、殊に深刻になっている状況にある。フクジュソウはキンポウゲ科の多年草で、毒草として知られ、シカが食べた形跡はないようであるが、ほかの草木を食べるとき、踏み荒らされるようで、辺りに糞も見られ、シカの仕業に違いないという。

 今冬は殊に暖冬で、積雪が全くなく、草木の芽立ちも早く、露出したこれらが目立つため、野生のニホンジカの狙い目になっていると思われる。花の時期にならないと、はっきりとした被害状況はわからないが、これから春に向かってどんどん芽を吹いて来る草木はいよいよこのシカのターゲットになることが予想される。ということで、シカ避けの防護柵がその対策として行なわれているわけである。

 写真は張り巡らされたシカ避けの有刺鉄線とネット(左)、シカの食害が見られるアオキ。下部の枝は葉がなく、軸だけになっている(中)、シカによって踏み荒らされた跡とシカの糞が見られるフクジュソウの自生地(右二枚)。いずれも五條市西吉野町津越で撮影。    ~ おわり ~

 

 


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