<3223> 写俳百句 (9) 落 葉
落葉す色即是空の色にあり
晩秋のころから初冬のころ、大方の落葉樹は色づいて落葉する。その落葉は木の大きさや勢いによって異なりを見せるが、ケヤキやイチョウのような大樹になるとその量は半端でなく、樹下を一変させるほどに及ぶ。
この半端ない散り敷く落葉を見ていると、落葉する木の勢いというかエネルギーのようなものが感じられるが、これは落葉樹にとってまつらうものたちを振り払い休眠しないでは次の年に進めないゆえの仕儀に受け取れる。
言わば、落葉樹の葉はその宿命を負って散る。それも概して美しく色づいて散り行く。その美しさは終わりに際するゆえのものであるから一層映える。それも、冬に向かう季節、自然の移ろいにあってのこと。
つまり、この映えは生命の節理にともなうもので、仏教でいうところの「色即是空」の言葉を思い起こさせる。そして、なお、命を繋いで行く落葉樹を思うに、私たちには次に続く「空即是色」が思われて来ることになる。
所謂、落葉樹の落葉にはこの仏教の諦観が思われて来る次第。そして、これは四季の国日本の自然より生じる私たちの精神にも通じるように思える。 写真は落葉を散り敷くケヤキ(左)と散り敷いたケヤキの落葉。
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