大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2022年01月28日 | 創作

<3663> 写俳二百句(109) 早 梅

                早梅の一輪咲いてまた一輪 

         

 二十四節気の一月二十五日の大寒から二月四日の立春までの寒中は一年の間で一番寒い時期に当たる。その大寒期間の今日このごろ、冬のウメの花(早梅)がちらほら咲き始めた奈良盆地の国中。その厳寒の日々に追い打ちをかけるように新型コロナウイルスの変異種オミクロン株が猛威を振い、感染者を拡大させ、その禍は一向に収まる気配がない。

 しかし、春を告げる早梅のウメの花はその寒さ、その猛威にも関わらず、蕾を膨らませ、一輪一輪、そして、また一輪、確実に春へと向かう時の中にあって徐に花を増やしつつある。服部嵐雪の「梅一輪一輪ほどの暖かさ」の気分には遠く、本格的な花はまだ先で、その間には雪に見舞われるようなこともあるだろう。だが、とにかく時は前に進み、春へと向かっている。早梅はまさにその証を私たちに印象づけ、ほのかな灯火になっている。 写真は一輪ずつ開く薄紅梅(左)と白梅(右)。  早梅の咲きし一輪恃みなり