大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2022年01月23日 | 植物

<3658> 奈良県のレッドデータブックの花たち(167) タカネザクラ(高嶺桜)                 バラ科

                       

[別名] ミネザクラ(嶺桜)

[学名] Prunus nipponica.var.nipponica

[奈良県のカテゴリー]  絶滅寸前種・注目種

[特徴] 北海道では低地に見られるが、本州では標高1000メートル以上の高山帯に生える落葉小高木として知られ、サクラの中では最も高いところに見られ、この名がある。高さは2~8メートルで、樹皮は紫褐色。光沢があり、横長の皮目が目立つ。新枝は無毛で、横に長く伸びる傾向がある。葉は長さが4~9センチの倒卵形または倒卵状楕円形で、先が尾状に尖り、基部は円形に近いくさび形。縁には欠刻状の重鋸歯が見られる。質は薄く、両面とも無毛。新葉は赤褐色を帯び、長さ1センチほどの柄を有し、互生する。

 花期は5~7月で、葉の展開とほぼ同時に開花する。花は白色または淡紅色の5弁花で、前年枝の葉腋につき、花弁の先の凹みが明瞭で、1~3個が下向きに開く特徴がある。実は核果で、直径7ミリほどの球形。7~8月、黒紫色に熟す。

[分布] 北海道と本州の近畿地方以北。国外ではサハリン、南千島。

[県内分布] 天川村(大峰山脈の弥山)。

[記事] 奈良県版レッドデータブック2016改訂版は「弥山山頂付近、大黒岩付近、明星ヶ岳、狼平上流の池の谷など標高1600メートル以上の寒温帯林に点在、20個体ほどが確認されている。寒冷期の依存種とみられ、旺盛な繁殖は期待できない。また、シカによる食害が激しい地域であるため、後継樹の生育が懸念される」という。紀伊半島は分布の南限にあるとして注目種にも指定。

   何があれども

     時は過ぎゆき

         今日の今があり

   この今があって

         明日がある