<3658> 奈良県のレッドデータブックの花たち(167) タカネザクラ(高嶺桜) バラ科
[別名] ミネザクラ(嶺桜)
[学名] Prunus nipponica.var.nipponica
[奈良県のカテゴリー] 絶滅寸前種・注目種
[特徴] 北海道では低地に見られるが、本州では標高1000メートル以上の高山帯に生える落葉小高木として知られ、サクラの中では最も高いところに見られ、この名がある。高さは2~8メートルで、樹皮は紫褐色。光沢があり、横長の皮目が目立つ。新枝は無毛で、横に長く伸びる傾向がある。葉は長さが4~9センチの倒卵形または倒卵状楕円形で、先が尾状に尖り、基部は円形に近いくさび形。縁には欠刻状の重鋸歯が見られる。質は薄く、両面とも無毛。新葉は赤褐色を帯び、長さ1センチほどの柄を有し、互生する。
花期は5~7月で、葉の展開とほぼ同時に開花する。花は白色または淡紅色の5弁花で、前年枝の葉腋につき、花弁の先の凹みが明瞭で、1~3個が下向きに開く特徴がある。実は核果で、直径7ミリほどの球形。7~8月、黒紫色に熟す。
[分布] 北海道と本州の近畿地方以北。国外ではサハリン、南千島。
[県内分布] 天川村(大峰山脈の弥山)。
[記事] 奈良県版レッドデータブック2016改訂版は「弥山山頂付近、大黒岩付近、明星ヶ岳、狼平上流の池の谷など標高1600メートル以上の寒温帯林に点在、20個体ほどが確認されている。寒冷期の依存種とみられ、旺盛な繁殖は期待できない。また、シカによる食害が激しい地域であるため、後継樹の生育が懸念される」という。紀伊半島は分布の南限にあるとして注目種にも指定。
何があれども
時は過ぎゆき
今日の今があり
この今があって
明日がある