<3647> 奈良県のレッドデータブックの花たち(162) スズラン(鈴蘭) キジカクシ科(旧ユリ科)
[別名] キミカゲソウ(君影草)、タニマノユリ(谷間の百合)。
[学名] Convallaria majalis var. manshurica
[奈良県のカテゴリー] 絶滅寸前種
[特徴] 山野の草地や林縁に生える多年草で、スズラン属はスズラン1種のみ。ヨーロッパをはじめ、アジア、アメリカなどの温帯に広く分布する。日本のスズランは変種とされ、北海道では平地、本州と九州では高原に見られ、四国には分布しないとされている。
草丈は15~30センチで、根茎が横に這い、長く伸びて群生する。単子葉植物で、葉は長さが15センチほどの長楕円形。基部は鞘状に茎を抱いてつく。花期は4~5月で、鞘状の葉の腋から葉よりも低い花茎を伸ばし、つぼ型で先が6浅裂する純白の花を10個前後つける。花は下向きに咲き、芳香がある。
[分布] 北海道、本州、九州。国外ではヨーロッパ、アジア、アメリカなどの温帯。
[県内分布] 奈良市、宇陀市、桜井市の大和高原の一角。
[記事] 日本では北海道が主産地で、北海道では道の花に指定している。奈良県の自生地は大和高原の一角に見られ、奈良市吐山と宇陀市向渕のものは地球寒冷期の遺存種と考えられ、学術的に貴重なものとして、国の天然記念物に指定され、地元の人たちによって定期的に草刈りが行われるなど保護活動がなされている。
なお、スズランは全草に毒性がある有毒植物で、殊に根茎は毒性が強く、要注意であるが、毒性を弱め、強心剤や利尿薬に用いられる。しかし、使用を誤ると命に係わるので、一般者には手を出さない方がよいと薬草本にある。西洋では幸せの花として贈り物にされる。 写真は花を咲かせるスズラン(左)と芽吹きのスズラン(右)。ともに奈良市吐山の自生地)。
生きものは
自らをして
生育環境に
合わせるか
自らにして
生育環境を
合わせるか
少なくとも
どちらかの
仕方により
生きている