<3385>野鳥百態(13) カワラヒワとサルスベリの実、イカルとエノキの実
ものを食べるということについて
その機能である口や嘴を思うに
人間の口は雑食に適っている
ウシやシカやヤギのそれは草食に適っている
イヌやネコや猛獣のものは肉食に適っている
水辺に暮らすサギやカワセミはどうか
小魚を捕食するのに適った嘴を持っている
猛禽類のワシやタカやフクロウはどうか
これらも肉食 小動物を食うに適った嘴である
太く丈夫な嘴を有するアトリの仲間は
イカルにしてもシメやヒワにしても
その嘴は堅い実を食べるのに持って来いである
つまり口や嘴は食物に適応して働いている
よく訪れる奈良県営馬見丘陵公園にはときおりアトリ科のカワラヒワやイカルが姿を見せる。一羽でなく、いつも十数羽の群で現れる。ともに太くて丈夫な嘴を持ち、熟し切った堅い実を割って食べている。イカルの好物はエノキやムクノキの核果で、この堅い核果を割って食べる。カワラヒワはヒマワリの実が好きなようであるが、サルスベリの実が熟し切るとやって来て、広い翼のついた種子を含む蒴果に取りついているのが見られる。
生きものは食を第一とし、口や嘴はその食を叶える機能としてあり、その機能を働かせながら生きている。生きものにはそれぞれに好物があり、その好物(主食)を食べるに適した口や嘴を有している。そのそれぞれに見られる口や嘴の機能的特徴は食するものに由来しているということが言える。 写真はサルスベリの実を啄むカワラヒワ(左)とエノキの実を啄むイカル(右)。