<3382> 写俳百句 (51) ゲンゲの花咲く陽気
紫雲英咲き遠く電車の走る音 紫雲英(げんげ)
よい天気の春の一日。大和地方では田起こし前、ゲンゲの田圃一面に蓮華色の花が満ち溢れ、男の子の節句を祝う鯉のぼりが彼方に揚がり、遠くから風に乗って電車の走る音が聞こえて来る。JR大和路線の電車に違いない。心地のよい響きで、大和川の鉄橋を渡るときの音の違いも旅の風景を想像させる。
ゲンゲの写真を撮りながら新型コロナウイルス禍の影響によって久しく電車に乗っていないことが思われた。どこか近場でもよい。旅がしたいという気分。車なら大丈夫だろう。一昨年の秋、比叡山と琵琶湖に一泊の小旅行を楽しんだ。あれ以来旅らしい旅はしていない。自粛気分の日々。という次第で、自粛疲れでもないが、気分転換を望むところ。この心持ちに春の陽気。今宵は地図の旅でもしようか。 写真はイメージで、ゲンゲの咲く田圃。