<3337> 写俳百句 (45) 啓 蟄
希望なれ帰り行く身の鴨の群
二十四節気は二月初めの立春に始まり、半月後の二月中旬の雨水を経て、三月初旬の啓蟄。そして、三月二十一日前後の春分へと巡って行く。その今日は三月五日、啓蟄の日である。啓蟄は冬ごもりしていた虫が穴を啓いて這い出して来るという意。この時期になると、ウメの花が咲き満ち、草地のハコベやオオイヌノフグリ、ホトケノザなどが可愛らしい花を見せ、花にはミツバチが訪れ、辺りにはナナホシテントウが姿を現わす。
反面、啓蟄の時期になると、越冬していたカモの仲間たちが北帰行の渡りの準備にかかり、騒がしくなる。越冬場所の池から突如、群を成して一斉に飛び上がり、池の上空を編隊になって旋回する。そういう光景がこのところ馬見丘陵公園の上池と下池で見られる。
これは渡りの予行演習、或いは訓練で、何度か繰り返され、最後が本番ということになるのだろう。カモたちの試行の翼は希望に満ちた元気のよさが感じられる。 写真は編隊を組んで飛ぶカモの群。
帰る鴨飛翔一群に気負ひ見ゆ
啓蟄や動き始めしもののあり