大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2021年03月05日 | 創作

<3337> 写俳百句 (45)   啓 蟄

          希望なれ帰り行く身の鴨の群

                     

 二十四節気は二月初めの立春に始まり、半月後の二月中旬の雨水を経て、三月初旬の啓蟄。そして、三月二十一日前後の春分へと巡って行く。その今日は三月五日、啓蟄の日である。啓蟄は冬ごもりしていた虫が穴を啓いて這い出して来るという意。この時期になると、ウメの花が咲き満ち、草地のハコベやオオイヌノフグリ、ホトケノザなどが可愛らしい花を見せ、花にはミツバチが訪れ、辺りにはナナホシテントウが姿を現わす。

 反面、啓蟄の時期になると、越冬していたカモの仲間たちが北帰行の渡りの準備にかかり、騒がしくなる。越冬場所の池から突如、群を成して一斉に飛び上がり、池の上空を編隊になって旋回する。そういう光景がこのところ馬見丘陵公園の上池と下池で見られる。

   これは渡りの予行演習、或いは訓練で、何度か繰り返され、最後が本番ということになるのだろう。カモたちの試行の翼は希望に満ちた元気のよさが感じられる。 写真は編隊を組んで飛ぶカモの群。

    帰る鴨飛翔一群に気負ひ見ゆ

    啓蟄や動き始めしもののあり

        


大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2021年03月05日 | 植物

<3338> 奈良県のレッドデータブックの花たち (29)  ウチョウラン (羽蝶蘭)                  ラン科

                                        

[別名] イワラン、アリマラン (兵庫県有馬に自生するため)。

[学名] Ponerorchis graminifolia

[奈良県のカテゴリー]  絶滅寸前種  (環境省::絶滅危惧Ⅱ類・旧絶滅危惧種

[特徴] 山地や渓谷の崖地や岩場に生えるランの仲間の多年草で、球形の根塊を有し、茎は斜めに立ち上がることが多く、草丈は10~20センチ。葉は長さが10センチほどの広線形で、2~3個が茎の片側につく。花期は6~8月で、茎の上部に紅紫色の花を葉と同じ向きにつける。花の色は白色や青味の勝ったものなどが変化が見られる。花は直径1センチ前後、唇弁がほかの弁より大きく、3深裂し、濃い紋様が入る。また、花には1.5センチほどの長い距がある。

[分布] 本州の関東地方以西、四国、九州。国外では朝鮮半島。

[県内分布] 川上村、天川村、上北山村、下北山村。

[記事] 一時期、観賞ブームが起き、見つけ次第掘り取られ、全国的に激減した。今では人目に届かないところでわずかばかり生育している状態で、奈良県では絶滅寸前種に指定されている。全国的にも減少が著しく、環境省も注視している。写真は天川村(なお、写真の花は自生にしては花つきがよ過ぎる感がるので、補植された植栽起源のものかも知れないが、はっきりしない)。

   山野を歩いて

   草木の花に出会う

   そして その花を愛で

   その花に思いを寄せる

   この一時の楽しさ

   ことに見知らぬ花に

   出会うと 心が騒ぐ

   なぜか 不思議だ