<3349> 野鳥百態 (2) 忍耐力のカワセミ
野鳥には二つのタイプがある
一つはじっと獲物を辛抱強く待つタイプ
いま一つは動き回って獲物を求めるタイプ
カワセミはサギと同じく辛抱して待つタイプ
カイツブリやカワウやクイナのように
動き回って獲物にありつくタイプの多数派と違い
辛抱して待つタイプは少数派である
あまり体力を消耗しないやり方であるが
身動きもせずじっと目を凝らして待つ辛抱は
動き回る行動派の体力に匹敵する
忍耐力と集中力と瞬発力を必要とするカワセミの
微動だにしないで獲物を得る捕食の姿はそれを物語る
私がよく出かける公園の池の傍に高さが10メートルほどの冬場には葉を落とす高木が植えられている。何の木だか、池の上に枝が張り出し、その枝の一つが如何なるわけか、Uの字に曲がって水面から4メートルほどの高さでブランコ状に垂れ下がっている。そのUの字へカワセミがよく来る。池の水面が一望出来る位置で、カワセミには絶好の捕食ポイントになっている。私は対岸にいてカメラをセットしていた。
嘴の黒いオスであったが、微動だにせず、目も不動。水面に集中し、公園の風景の中で、美しい瑠璃色の仏像のようにも思えるところがあった。と、その一瞬、カワセミは斜め下に一直線に飛んで水面に水しぶきを立て、何かを咥え、元のブランコの枝には戻らず、飛び去って行った。瞬時のことで、レンズが追いつかず、撮影出来なかった。カワセミには忍耐力と集中力と瞬発力がいつも要求されているということが思われた。 写真はブランコを思わせるUの字に曲がった木の枝にとまって獲物を狙うカワセミのオス。