<3360> 野鳥百態(5) ベニマシコの尻景。
ベニマシコの主食は草木の実
枯れた草叢にやって来て
草の実を食べる姿が見られる
セイタカアワダチソウの
穂になってつく実が
ことのほか好きなようで
よく啄んでいる
この食べる実にして見るに
ベニマシコは
やさしい小鳥だと思う
ベニマシコは紅猿子。全長15センチほどのアトリ科の小鳥で、夏は北海道、東北地方、秋から春先にかけては暖かい南に移り、大和地方では越冬し、その姿が池の傍の草叢や枯れ葦原などで見られる。オスはほぼ全体が紅色を帯び、メスは褐色を帯びる。ベニマシコ(紅猿子)の名はオスの目元が紅色でサルに似ることによるという。
草木の実を主食とし、小さな実の生る木や実をつけた枯草の中などでその実を啄む。セイタカアワダチソウの穂になってつく実がことのほか好きなようで、セイタカアワダチソウの群生するところによく現れる。ベニマシコは警戒心が強く、近づくと草叢に逃げ込み、姿を晦ますので、撮影には出て来るのを待つ忍耐がいる。
この度は、オスであるが、頭隠して尻隠さずの格好、肛門が口を開けている尻の写真を撮るに至った。生きものは、概して、食物を口から摂取し、腹でそれを消化して、栄養分を吸収する。その後、尻の肛門から不要になったものを排泄する。鳥の場合は糞として出す。排泄される糞は不浄なものとされるが、ウグイスの糞のように美顔や染色の染み抜きなどに利用されることもある。
ベニマシコは主に草木の実を食べるので、糞も元は草木の実が主であるから、それほど神経質になることもなかろうと思える。これは草食動物であるシカの糞に類するところ。奈良公園ではシカの糞がそこここに散らかっているが、それほど気にならない。
ところが、最近、ころころと丸い糞に混じって大きく柔らかな糞が見られるようになった。これは公園を訪れる人が与えるものによってシカの雑食性が進んでいることを物語るものであろう。人間の大便に近く、始末が悪くなって来た。それにしても、ベニマシコの肛門は少しも汚れたところがなく、奇麗に見える。
近年、全国各地でニワトリの鳥インフルエンザが蔓延し、原因がツルやカモなどの渡り鳥にあるとされ、野鳥への風当たりが強く、警戒されているが、この話は鳥の生息域と食に関わる話で、草木の実を主食にしているベニマシコのような小鳥にはほぼ関わりのないことであろう。
ベニマシコの尻に大きく口を開けた肛門の写真は、失礼とは思うが、よく撮れている。肛門が開いているのは何故か。糞をする前の一瞬か、それともオナラの一瞬か。小鳥もオナラをするのだろうか。そんなことも、この写真からは思いが巡る。ベニマシコには失礼したが、丸見えの尻はカメラの目に語りかけて来るものがあった。 写真は尻丸出しのベニマシコのオス。