<3352> 野鳥百態 (3) ミコアイサ 北帰行のシミュレーション?
パンダガモの愛称で知られるミコアイサというカモがいる。オスの体が白黒で、目もとが黒くパンダに似るのでこう呼ばれ親しまれている。遠くからでもよく見わけのつくカモで、春になるとほかのカモと同じように渡りをして北へ帰って行く。この北帰行の旅が近くなると、ミコアイサにはほかのカモには見られないようなグループによって一斉に泳ぐのが見られる。
その泳ぎはグループが隊列を組んで渡りをするそのときのシミュレーションではないかと想像される。見ていると、はじめに二羽一組が縦一列になって、等間隔に整然と泳ぎ、暫くしてときをおき、一斉に向きを変えて反対へと泳ぎ返す。そして、間もなく泳ぎをストップして、今度は一斉に横向きになり、甲子園で見られる高校野球の開会式のように横一線になって一斉行進の形で泳ぎ出す。見ていると、みなぴったりと息を合わせている。
カモたちにとって渡りの長旅は容易ではない。体力を使い、ときにはアクシデントに見舞われることもある。それがわかっているので、準備万端整えて旅に臨む。ということで、ミコアイサにはみんな一体になって旅をする。この隊列になって泳ぐのはそのためで、この泳ぎはその旅のシミュレーションではないか。私の勝手な想像であるが、そう思えた。 写真上は中にメスを挟んで縦に列をなして泳ぐミコアイサのオスたち。写真中は逆向きに泳ぐミコアイサのオス。写真下は横一列になって泳ぐミコアイサのオスたち(左上はオオバン)。
備えあれば憂いなし
備えて事に臨むこと
これは まさに
事をなすときの常道
この常道に則るのが
隊列を組んで泳ぐ
ミコアイサの
北帰行の旅の
シミュレーション