<3278> 写俳百句 (30) 小 寒 (寒の入り)
冬芽立つ春は必ずやって来る
葉をすっかり落とした落葉樹を見上げていると、裸になった枝に小さいながらしっかりとした芽を立てているのに気づく。春が待ち遠しい冬芽である。木によって早い遅いはあるものの、みんな芽を出している。今日五日は二十四節気の小寒。寒の入りである。今年はこの日から二十日の大寒を経て二月二日の節分までが寒中で、寒さが厳しい時期に当たる。
今日はその寒中を迎える日であるが、落葉樹の裸木の枝々には春への先駆けである冬芽の立つのが見られる。例えば、春に大きな白い花を咲かせるハクモクレンはまだ小さく固い花芽で、花芽は毛に被われた萼に守られ、その毛は暖かく、日に輝いて春の時を待っている。
小さな芽を出して真っすぐに伸びるイヌコリヤナギにはメジロが来て、芽出しの枝に絡んだヘクソカズラの枯れて熟し切った実を啄むのが見られる。まさに寒中の一景。また、春に紅色の艶やかな花を咲かせるカンヒザクラは固い芽を天に向け、寒の大気感の中で、その芽を鍛えている。ほかにも多種多様。そこここに寒中を凌ぐ芽立ちの姿が見られる。
写真は萼の毛に被われたハクモクレンの花芽(左)、芽をつけたイヌコリヤナギの枝にとまって枝に絡んで枯れたヘクソカズラの実を啄むメジロ(中)、天に向かって芽を立て春を待つカンヒザクラの短枝。いずれも四日、馬見丘陵公園での撮影。