大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

日ごろ撮影した写真に詩、短歌、俳句とともに短いコメント(短文)を添えてお送りする「大和だより」の小筥集です。

大和だより ~写詩 写歌 写俳~ 小筥集

2013年12月06日 | 写詩・写歌・写俳

<825> 観光ボランティアガイド

        遠望の 塔の姿も 冬の中

 近年、観光ボランティアガイドが盛んで、全国的な傾向にあり、各地で会などが結成され、活動を見せているが、社寺や名所旧跡などの多い古い歴史を有する奈良大和は殊に活発に事業の展開がなされているようである。活動は主に観光客が対象であるが、奈良市の「なら・観光ボランティアガイドの会」のように、市の教育委員会とタイアップして、市内の全小学校の五年生を対象に世界遺産の校外学習に協力し、ガイドの幅を広げているところもある。また、海外からの来訪者にも対処出来るようにスタッフを揃えているところも見られる。

 例えば、「なら・観光ボランティアガイドの会・朱雀」では約160人、「斑鳩の里 観光ボランティアの会」では約120人、飛鳥京観光協会・観光ボランティアでは60人弱の会員で運営し、ホームページを立ち上げ、電話やファックスなどによる予約も受け付けているところが多いという。

 会員の年齢はほぼ三十歳代から八十歳代で占められるが、中には学生も見られるという。多いのは六十歳代から七十歳代で、第一線を退いた人たちが目につくという。ガイドの資格は養成講座や研修を経て得られるようになっているところが多く、他地域のボランティアガイドを兼ねている人もいる。

  ガイドの効用につては、訪れる人の役に立ち、地域の活性化にもなること、歴史などを自分でも勉強出来、知識が積める喜びがあること、外に出て人と対話が出来、運動にもなって健康によいということなどいろいろとあるようであるが、何と言っても、楽しくやれるのが一番で、相手に喜んでもらえたときにはやりがいが感じられ、生きがいに繋がるという。

 ときに、質問されたことに答えがとっさに出て来ないことがあるので、なるべくそれをなくすために、常に反復して覚え、脳の活性化に努めているという人もいる。小学生を案内しているガイドは、孫と一緒にいるようで楽しいが、間違ったガイドは許されないので、その点、注意しているという。また、自分の案内のスキルアップを図るのであろう、得意な英語でガイドしたいと、お寺の門の前で二時間ほども待っているというガイドにも出会ったことがある。

                         

 みな、腕章や制服、またはⅠDカードを首にぶら下げ、自分で作った資料を手にガイドに臨んでいる。相手によって臨機応変に案内するということであるが、互いに楽しいひとときが過せることに心がけているという。なお、ボランティアガイドの場合は、一人が十人以下を担当するところが多く、ガイド対象が大きい集団である場合などは、有料ボランティアに任せるとか、何人かで担当するなど、なるべくトラブルのないように心配りをしているという。

 写真左は小学五年生の校外学習で子供たちに説明する奈良のボランティアガイド(春日大社の参道で)。中央は資料を手に観光客のガイドに当たるボランティア(法隆寺の中門前で)。右は校外学習で訪れた中学生と弁当にする飛鳥京のボランティアガイド(明日香村の石舞台古墳近くで)。