山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

羽茂高校郷土芸能部を讃える

2015-11-02 18:54:05 | くるま旅くらしの話

 このところ、この秋予定の旅への思いのことで一杯で、心は殆ど熊野詣でのことで溢れている状態であり、少し疲れ気味です。それで、気分転換に今年の晩春の佐渡行のことなどを振り返っている内に、ふと、羽茂(はもち)祭りの中での活躍が光っていた、羽茂高校郷土芸能部の皆さんの、びわこ総文(第39回全国高等学校総合文化祭)出場の結果がどうだったのかが気になりました。早速調べてみました。羽茂高校は新潟県代表として8年の連続出場で、この大会の郷土芸能部門へのエントリーです。どうだったのかなと期待しながら結果報告資料を見ますと、ありました!入賞校の中にその名を見つけました。おめでとう!よかったね、と嬉しくなりました。

 総文の郷土芸能部門は、和太鼓と伝承芸能部門の二つに分かれていて、羽茂高校は伝承部門の優良賞にその名が書かれていました。入賞区分を見ると、最優秀賞(文科大臣賞)・優秀賞(文化庁長官賞)・優良賞の三つでした。これで見ると優良賞というのは順換算では、第3位ということになるのでしょうか。今年の伝承芸能部門には最優秀賞が無く、優秀賞に熊本と沖縄の2校、優良賞には羽茂高校と沖縄のもう一校が選ばれていました。羽茂高校は、この大会ではナンバー2の入賞ということになるのでしょう。今年のベスト2の中に入ったというのは、素晴らしい結果だと思います。あの羽茂祭りの中で、地元に溶け込んで、一所懸命に汗を流しながら唄い、奏で、踊った若者たちのことを思い出しますと、本当に良かったなあと、遅ればせながらですが、この結果を心の底から讃えたいと思います。

 

それで、改めてこの高校の活動の持つ意味などについて考えてみました。そのことについて少し書いてみたいと思います。

 まず、郷土芸能のことですが、これはそこに住む人たちが先祖から営々と運んできた暮らしが生み出した、生きる力の結晶ではないかと私は考えています。その地に住み始めて以降の様々な出来事(=歴史)の中で、喜怒哀楽をすべて呑み込んで出来上がって来た唄、音曲、踊り等が郷土芸能といわれるものなのだと思うのです。それは、元々誰でもが身近に一緒に楽しめるものであり、アートとして特化して磨かれた中央舞台の能や歌舞伎の様なものではないのです。そこに住む人たちの暮らしの中での感情の吐露の結晶といったものなのかもしれません。

 郷土芸能といわれるものは、全国に数多く現存しているはずなのですが、今の時代では郷土というべきふるさとを持たない、あるいはふるさと感覚の持てない暮らしが多くなって来ており、したがってそこにおける芸能も衰微せざるを得なくなり、それゆえに伝承も難しく、残ってゆくのが困難になりつつあるのが現状ではないかと思います。

 そのような中で、佐渡には永遠に失われない、失われてはならない郷土芸能が残っており、それを数多く保有しているのではないかと私は思っています。佐渡には日本の歴史がぎっしりと詰まっており、消えてはならない暮らしの誇りが残っているのです。郷土が無くなってしまえば、そこに存在する芸能も消え去る運命にあるのであり、そのような土地では若者が形だけの伝承を維持するのは難しいことでしょう。しかし、佐渡は違います。佐渡は失われない郷土の条件を十二分に備えた場所なのです。羽茂高校郷土芸能部は、誇りを持って郷土芸能部をつくれる環境にあるのです。このような条件を備えた高校は、もはや今の世では限定されているように思います。この恵まれた条件を大いに生かすべきです。勿論、羽茂高校郷土芸能部はそのことを確信しており、その信念のもとに毎日精進を積み上げて来ているのだと思います。

しかし、私には、その使命は、単なる一高校のクラブ活動の活性化にあるだけではなく、佐渡全体の過去から未来につながる暮らしの証明と創造にも係わっているように思えます。この高校が取り組んでいるこの活動は、例えば閉塞感が迫っている佐渡観光全体の突破口の一つになるに違いないと思うのです。この若者たちの汗を未来につなげて活かせないようならば、佐渡(=佐渡市)はやがて間もなく老人だけの郷土しか残らなくなってしまうことでしょう。

佐渡には、羽茂高校以外にも幾つかの高校がありますが、郷土芸能と名を掲げてのクラブ活動が行われているのは、この学校以外に無いようで、少し寂しい気がします。先日の能舞台では、佐渡高校生の仕舞いを見ていますので、こちらは違う領域で若者の伝承へのエネルギーが燃えているのかもしれません。佐渡の若者たちが、郷土の誇りを掘り起こし、さらに新たな伝承を創造して行くことを大いに期待したいと思います。また、若者をガイドすべき指導者は、単なる知識習得の学業支援に力を注いでいるだけではなく、このような世の中の歴史と現実に直結する活動の指導にも思いを込めて欲しいと思います。それこそがこれからの佐渡を活性化させるカギとなるに違いありません。

そして、この後も羽茂高校郷土芸能部は、土地の若者のリーダーとして佐渡の郷土芸能を掘り起こし、その芸を磨き、後世に伝えて行って欲しいと思います。その活動は、学業を超えた人間としての自信につながるに違いありません。今年の入賞の感激を忘れず、これからの更なる成長につなげていってください。本当におめでとうございました。

<羽茂祭りの思い出>

   

最初は相川音頭の舞だった。これは羽茂祭りに先立って、6月上旬に相川地区で開催される「宵の舞」に於いても披歴されていたようである。笠を被っているのでよく判らないのだが、男子生徒が多かったようだ。

   

小木おけさの踊り。良く揃った洗練された踊りだった。写真が下手なので、彼女たちの巧みさが表現されていないのは申し訳ない。

   

踊りだけではなく、唄や三味線を担当する人たちも、踊り手と一緒になって懸命にその役割を果たしていた。

   

地元の羽茂甚句の踊りの一場面。この踊りには、「ちやさ!」という、軽快な合いの手の一声が入る。それが踊りを引き立てていて楽しかった。

     

4番目の佐渡おけさの踊りの始まりのシーン。カメラの電池の残量がなくなりかけていて、もっと良い場面までチャンスを待てなかったのが残念。

  

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