山本馬骨の くるま旅くらしノオト

「くるま旅くらしという新しい旅のスタイルを」提唱します。その思いや出来事などを綴ってみることにしました。

小中学校同窓会(前楽)

2015-11-08 04:28:39 | 宵宵妄話

 明後日、小中学校の同窓会が開かれます。本当は開催後の所感などを述べるのが筋なのですが、同窓会が終わると直ぐに旅に出かけることにしており、その余裕がないため、前楽としての思いだけを書くことにしました。

 タイトルに「小中学校」と敢えて書きましたのは、私の育った村の学校は、学年で2クラスしかなく、小学校1年生から中学校を卒業するまで、学年ごとに入れ替わるクラス編成で、同じクラスで席を並べる経験をしていますので、顔を知らないなどということはあり得ないはずなのです。70数名の学年同窓生は、皆同じ思い出の中にある顔ぶれなのです。

 しかし、中学卒業以降早や60年が過ぎ、この間にそれぞれが様々な体験をしていますから、もはや往時と同じ顔なのかどうかは、それこそ会って見なければ判らないのです。私がこの同窓会に出席するのは15年ぶりで、その時は東京地区に居る人が中心となって開かれたため、ほんの一部の人としか会えず、全体としての同窓会といえば、成人式を終えた後くらいに開かれた際に一度出席できただけなのです。ですから、私にとっては今回の同窓会は60年ぶりに昔の仲間たちと出会うことになるのです。

 何しろふるさとを出て以降、15回もの引越しを重ねて、落ち着く暇のない来し方でしたから、同窓会の案内を頂いても福岡や高松などに住んでいた頃は、とても出席は無理なのでした。東京に戻ってからもチャンスはあったのですが、仕事や家事での出来事もあって、なかなか出席が叶わぬままに今日に至ってしまいました。中学校卒業以来何回同窓会が開かれたかも判らず、とにかく60年ぶりの再会に少し胸の高鳴りを覚えています。

 今回も旅のことがあり、本当はもう少し早く出発したかったのですが、この機会を逃したらもう出席は叶わなくなり、皆の顔を見ることもできなくなってしまうと思ったのでした。残りの時間を数えると、仮に次回が5年後ならば、早や80歳となっているのであり、皆が無事で生きている可能性はぐっと小さくなり、何よりも自分自身が今と同じような身体で出席できるかどうか判らないのです。

 15歳からの60年間に人はどのように変わるものなのでしょうか。自分自身のことを振り返って見ると、心の奥は大して変わってはいないように思うのです。けれども、仕事に就き、家庭を持ち、子を育て、やがては仕事から離れ、この間に様々な喜怒哀楽を味わい、そして現在の白ひげと光った頭を鏡の中に見る時、外貌は紅顔の美少年の時とは相当に違っていると思わずにはいられません。

 私たちの中学卒業の頃の時代は、今の様な誰もが高校に進学できるような時代ではなく、多数の人たちが職を求めて東京などに出向いて行ったのです。私は幸いに上の学校まで行かせて貰うことができ、真にありがたいことでした。中学卒業後に就職した人たちの中には、成功された人もおられるのだと思いますが、想像を超える難儀を体験した人も多いに違いありません。それは、ことばでは言い表せないと思いますし、他と比べることも出来ないと思います。その労苦が、今の顔や風貌に表われているに違いありません。

 無駄とは知りながら、小学校から中学卒業までの遠足や卒業の記念写真を取り出して、しっかり眺めて見ました。もはや眼鏡をかけるだけでははっきり見ることはできず、拡大鏡を取り出して掲げながらの観察でした。僅か70数名なのにどうしても名前が思い出せない顔があることに気が付き、焦りました。誰でもそうなのだと思いますが、記憶には強弱があり、何か特別の係わりあいがあった人ほど忘れない存在となっていて、そうでなかった人については、残念ながら思い出すのが難しいことを思い知らされました。60年の間の記憶の風化は、アルバムの古い写真よりも劣化が激しいようです。

 ここで老人の図々しさがグッと張り出します。60年経ったら、もう昔を思い出さなくても良いではないか。新しい人に出会うのだと考えればいいのではないか、と。考えて見れば、それが当たり前のように思います。どの人も60年前の自分ではないのです。心の奥のものは変わってはいなくても、外貌は明らかに75歳の老人なのです。ほんのちょっと子どもの頃のできごとなどを思い出し、話のきっかけにすればいいのであって、初めて会った人のつもりで話し合えればいいのだ、と。

 明後日は鬼怒川温泉での集まりなのですが、どこのだれが何人くらい出席されるのか、幹事の人以外には分からない状況です。明後日の天気はどうやら晴れとはならないようです。温泉に浸りながらお互いの老をいたわり、夕べの宴を囲んでの古くて新しい邂逅が楽しみです。

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