東京多摩借地借家人組合

アパート・賃貸マンション、店舗、事務所等の賃貸のトラブルのご相談を受付けます。

土地利用―健全な投資を広めたい (朝日社説 6月24日)

2008年06月24日 | 国と東京都の住宅政策
 大都市圏の一部で「地価バブルの再来」を心配する声が、昨年はあった。だが、地価の上昇は一つの峠を越え、杞憂(きゆう)に終わったようだ。

 今年1~3月、3大都市圏の主要地点調査で上昇地点が減った。東京圏、名古屋圏では、昨年ゼロだった下落地点が、今回わずかに現れた。

 地価の相場観も大きく変化した。主要企業が1年後の土地取引をどう予測しているか、ことし3月時点で調査したところ、東京23区と大阪府で「不活発になる」とみる企業が「活発になる」を3~4年ぶりに上回った。

 先に発表された08年版の土地白書の内容だ。昨年までは「活発」が圧倒的だったのだから、様変わりである。

 これには米国のサブプライムローン問題が影響している。米住宅バブルの崩壊で痛手を負った投資ファンドが、不動産投資を縮小させているからだ。その余波で欧州の一部でも不動産バブルの崩壊が心配されている。

 ただし米欧にくらべ、日本がバブル崩壊という「いつか来た道」まで至らずに済みそうなのは幸運だった。白書はその要因を、企業と個人が「土地神話」を捨てて投資行動を変化させたため、と分析している。

 いまは多くの企業が投機ではなく、実需や利用価値にもとづいて土地を売買する。電機メーカーの東芝が東京・銀座の一等地にある旧本社ビルを売って、他社から半導体工場を買う「入れ替え」をしたのもその例だ。

 住宅やマンションでも、住まいとしての利便性や環境が評価されなければ、なかなか買い手がつかなくなった。こうした健全な投資行動を今後も損なわないようにしたい。

 もう一つ大事なことがある。地価が全般として下落しないような状態に日本の経済を保つことだ。

 買い手にとって地価は安い方がいい。バブル崩壊は住宅を手の届く価格にまで下げるプラス効果があった。

 ただ、90年代から十数年も下落が続いたことは、企業経営と家計をむしばんだ。地価は経済状態を反映する。健全な成長と、それに見合う賃金と地価の伸び。そういうバランスのとれた経済を実現することが大切だ。

 その点、日本が人口減少時代に突入したことは心配だ。国内の需要に頼っていたのでは、経済がしぼんでしまう。海外から人も資金もたくさん呼び込み、元気な市場にしないと健全な成長は期待できない。土地の利用や開発でも海外の力を活用したい。

 長期低迷が続いたとはいえ、日本の不動産の総額は米国に次いでいまも世界第2位だ。海外から日本への不動産投資が昨年は約3兆円となり、アジアで抜きんでたトップだった。

 バブルではなく、経済の実力で日本列島の価値を向上させていきたい。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 賃貸しているマンションが差... | トップ | 【票流底流 2008米大統... »
最新の画像もっと見る

コメントを投稿

国と東京都の住宅政策」カテゴリの最新記事