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マンション更新料:過大でない…返還請求を棄却 京都地裁

2008年01月31日 | 最高裁と判例集
 賃貸マンションの更新料は消費者契約法に違反し無効だとして、京都市の男性会社員(53)が貸主に、更新料5回分計50万円の返還を求めた訴訟の判決が30日、京都地裁であった。池田光宏裁判長は「更新料はいわば賃料の前払いで(本件では)契約期間や家賃に照らし過大でなく、消費者の利益を一方的に害するものとはいえない」と述べ、請求を棄却した。男性側は大阪高裁に控訴した。

 判決によると、男性は00年8月、月額家賃4万5000円、更新料毎年10万円で左京区のマンションを借りる契約を貸主と締結。06年11月に退去するまで6回更新したうち、最後を除く5回、更新料を支払った。

 判決は「借り手は更新料を含めて物件を選択しており、契約前に更新料の金額について説明を受けている」と指摘。「契約が不測の損害、不利益をもたらすものではない」として、消費者の利益を一方的に害する条項を無効と定めた同法に反しないと結論付けた。

 男性は「更新料は賃料増額手続きの代わりに脱法的に始められたもので、借り手側が情報力、交渉力に劣るため維持されてきた」などと主張していた。

 更新料は全国で100万戸以上に設定されているとみられ、影響の大きさから、男性側が「京都敷金・保証金弁護団」、貸手側が「貸主更新料弁護団」を組織して正面から争っていた。【太田裕之】

 ▽男性側の弁護団事務局長、長野浩三弁護士の話 更新料は賃貸者契約を分かりにくくしており、合理的な理由もない。控訴審で争う。

 ▽貸手側の田中伸・弁護団代表の話 合意したものを返還せよというのはおかしな話で、(今後予想される)礼金や共益費の返還訴訟でも、約束の履行を主張し勝訴を求めていきたい。

 ▽消費者契約法に詳しい坂東俊矢・京都産業大法科大学院教授の話 現状追認型の判決。更新料が賃料の一部であるなら、本来は家賃に分散して上乗せすべきだ。物件と家賃だけで消費者が家を選択できる方向に向かうのが妥当だ。

 ◇更新料

 マンションなど賃貸住宅で1~2年の契約期間を更新する度に借り手が貸主に支払う。家賃1カ月分前後の場合が多く、敷金と異なり返還されない。導入の経緯は不明だが、約40年前からある。東京、神奈川、千葉、埼玉など首都圏や北海道、愛知、京都、福岡、沖縄などを中心に、全国で100万戸以上に設定されているとみられる。

(1月30日 毎日新聞)

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