花・伊太利

日々の生活に関する備忘録です。

入門の書

2006-04-07 19:34:18 | Book
 何であれある分野に興味を持つと、先ず入門書なるものに手を出すことはよくあることだ。その意味では、最近読んだ牧野雅彦著「マックス・ウェーバー入門」(平凡社新書)は、最初に読むにはちょっとキツイ本だと思う。この本は、ウェーバーを同時代の学界の動向と重ね合わせながら、誰のどういう著作とどのような関係性を持つのか、に記述の中心を置いている。そのため「マックス・ウェーバー入門」と言いながら、類書と比較してウェーバーの登場回数は思いの外少ない。従来のウェーバー入門本が、ウェーバーをお誕生席にどーんと据えて彼の業績を紹介しているのに対して、こちらは彼を取り巻く学界の諸氏との交流に重きを置いて、ウェーバーの扱いは主賓ではあるけれども円卓についた一人である。その分、ウェーバー自身の輪郭はどうしても弱くなっている。ウェーバーの著作やウェーバーの研究書をある程度読んだ人間なら、ドイツ歴史学派の文脈でウェーバーを捉えてみることも出来るが、予備知識の無い人では厳しいと思う。もし、「ウェーバーという社会科学の巨人がいるそうなので、どういう人か入門書でも読んでみるか」と思った人が、タイトルの「入門」にひかれてこの本を読んだとしたなら、ウェーバーに対する興味を一気に失うかもしれない。そんなことがあれば、それはとても可哀想なことである。
 私の場合、初めて手にしたウェーバー本は、安藤英治著「ウェーバーと近代」(創文社)であった。私のウェーバーとの出会いは誠に恵まれたものであった。


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