(※朝日新聞朝刊連載「折々のことば」風に)
「誰憚ることなく指差して嘲笑うことができるから、『寝取られ亭主』が現れるのを喜ぶ」
小説の舞台は20世紀前半の中国。職場の先輩が妻と懇ろになり逃げた。孝行や礼節のような道徳観に縛られた社会では、寝取られ亭主は逸脱者であり、彼に同情する人は周りの目を気にして声を掛けることが出来ない。噂に飛びついた多くの人は、寝取った方を責めるよりも寝取られた方を物笑いの格好の対象にしてしまう。思いやりを欠いた形式的かつ外面的な倫理が幅を利かせる中では、いつの世も返り血を浴びる心配のない獲物を探しては、日頃の息苦しさの憂さを晴らすのかもしれない。
老舎著「私のこの生涯」(平凡社刊)から
「誰憚ることなく指差して嘲笑うことができるから、『寝取られ亭
小説の舞台は20世紀前半の中国。職場の先輩が妻と懇ろになり逃
老舎著「私のこの生涯」(平凡社刊)から
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