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『うつ病はこころの骨折です』493.76キタ

未唯へ。この最近の本はうつ病が増えているみたいです。『うつ病はこころの骨折です』493.76キタは「うつ病になった意味を見いだす」という切り口で、うつ病から脱した人が書いた本です。

回復者はうつ病になったことの意味を理解するようになります。新しい生き方を獲得することです。うつ病から回復した方は、無理をしない生き方を身につけるようになります。また、それと並行して、人とつながる生き方を取り戻すことができます。

新しい生き方の獲得とは:多くの回復者が「うつ病になってよかった」と語ることに気づきました。「親との関係がよくなった」「無理をしなくなった」「発病前よりも生きるのが楽になった」「過去五年間で最高の体調です」「仕事以外のことも目に入るようになった」と語ります。

無理をしない生き方とは:「こころの無理メーターの針を意識する」ということです。SSRIの効果は、意欲を高めることではなく、休養を取りやすくする、さらに言えば無理をさせなくする、というものです。

人とつながる生き方とは:他者との間の安心感を取り戻す、ということです。甘えることは回復の助けになるだけでなく、他者とのつながりをつくり直す役割があるように思えます。ケアされることも一つのコミュニケーンョンなのです。

その中で一番、気に入ったのは「うつ病がヒトという種の保存にとって必要だ」という論理です。目的を忘れて、仕事一辺倒ではスパイラルが加速して死んでしまうことへの防衛本能かもしれません。

「うつ病が、野生動物にもあったら、どういうことになるか。動けなくなり、餌も取れなくなり、最後には餓死してしまうでしょう。うつ病になりやすい遺伝因子を持つ野生動物がいたとすれば、自然界では淘汰され絶滅するしかありません。うつ病になりやすい遺伝因子が、ヒトの進化の中で淘汰されることなく保存されたのはなぜなのか。うつ病になる可能性を持つ種族と、うつ病になる可能性がない種族がいたとしたら、後者のほうが生存には有利のはずです。しかし、世界中の民族に、ほぼ同じ比率でうつ病が現れるという事実から、うつ病の遺伝因子を持つ種族が生き残ったことには意味がある」

塩野七生の『ローマ人の物語』でもローマが発展したのは、周りの国を寛容さで取り込んだからと言われています。同じようなことかもしれない。
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