高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

今、おもうこと。

2015-08-01 | 日記
桜花が開業して5年が経ちました。

その頃のことを考えると、まだまだ道半ばではございますが
随分と日本料理にというものに理解が深まったように思います。

いかにも手の込んだ料理の羅列、整った綺麗さ、基本的な構築から、
一見ざんぐりとしていながら、すべてのバランスが整っている。
間があり、自然と引き込んでいく。これが自分の料理観の基礎です。
味付けにしても、以前よりより優しい感じの印象となっていると思います。

どうも自分は仕事を通じて、
いろいろと学ぶタイプの人みたいです。

特にここ数年の試行錯誤へて、ようやく自分自身の料理観を
しっかりと構築出来たのは、本当に大きな成果です。
これを実現出来たのは桜花にお越し下さるお客様、そして毎週ご指導いただく
八木さんのご指導の賜物であります。
そして、なによりもスタッフ。

今、大きな一つの壁を越えて、思うことがあります。
今日に至るまで、私はあまりにも自分自身を認め過ぎず、
また貪欲に成長ばかりを考え過ぎていたということです。

自分を認めることが出来ないと、
人のことを受け止めることが出来なかったということです。

自分の理想を実現するために、自身の余裕も削って
なぜ、どうして、ということを追及し過ぎて
自分を含めたすべての失敗などに厳しくなってしまう。

人と自分は違う。
ミスをしたり、間違えたり、
そういうものだということを受け止めることが出来なかったのです。

それを本人のためと思い、指導してきたつもりでしたが、
それは勘違いです。
いくら教えたいと思っても、まずは当人がチャレンジしたいと思える
環境を作ることの方が先です。
そのために、私自身の見守る器が大切なのです。

仕事の習得とはそんなに甘いものではありません。
特に飲食の世界は大変なことも多いです。
お客様にご迷惑をおかけすることはしっかりと改善しないとといけません。
ですが、それ以外のことで自分がフォロー出来ることは
しっかりとサポートしてあげればよいのです。


私が出来ることは本人が本当に頑張ろう、学ぼうと思えるまで、
待つこと、見守ってあげること。
もっと自分に余裕があれば、待ってあげれていたのに。。

お客様の前に、スタッフと丁寧に向き合うこと。
そして、最後は笑顔で。

このことを気づくまでに、私は実に多くの時間を費やさなくては
なりませんでした。

仕事にも人にも一生懸命向き合ってきたという自負だけはありますので、
後悔というネガティブな感情ではありません。
ですが、深く反省はしないといけないと思っています。

これから本当の意味で店主としての器をもてるように。
この仕事の素晴らしさを伝えることが出来るように。
そして料理やお店の時間がもっとゆったりとした
優しさで包まれるように心がけたいと思います。

43歳の夏。
空はあの時と同じ、青く澄み渡っております。
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