今日は、浪速魚菜の総会が難波のホテル一栄にて行われました。
今回の講演は、「こんぶ土居」の土居成吉さんによる昆布を通じてのこだわりの食材を伝える大切さと、大果大阪青果野菜部の赤嶺さんによる中国野菜の輸入についてです。
こんぶ土居さんについては、以前にもこのブログにて書かせて頂いています。大阪の出汁文化の下支えになっておられるこだわりのある昆布屋さんです。今回の講演は、昆布の話もそうですが、昆布を通じて如何にこだわりのある食材を守り・消費してもらうかというテーマでお話して頂きました。
良いものを作りには、生産者さんとの付き合いを重ねることが必要。顔の見える関係から更に発展して、ものを言い合える関係を目指しているそうです。また、生産者さんと直接やり取りを行うのではなく、間に信頼できる業者を経由しているそうです。一見、無駄のように思われるますが、実はこれには理由があります。それは、獲れる昆布がすべて上質な訳ではありません。良いものばかりをより分けるとその分、生産者さんに負担がかかってしまいます。そこで、業者を間に挟むことにより、上質な昆布を選別でき、尚且つそうでないものもしっかり消費される。また、業者がしっかりしていれば、良質の昆布はより消費や注目される機会が増えることになります。目からうろこが落ちるような思いでした。確かに、そうすれば知名度なども上がり、多くの消費が生まれれば良質の昆布がもっと身近な存在になるのですね。こういう、いろいろな方を巻き込んだ普及の仕方を考えないといけないなと思いました。
最後に、土居さんから料理人へのメッセージがありました。
科学調味料を使わないで欲しい。-安易に料理の味付けをすることなく、しっかり素材そのもの持ち味を活すような料理を作って欲しい。そのために良い食材を使い、そしてお客様に感動的な味を提供して欲しい。
私も土この想いにしっかり応えられるような料理人でいたいとと思いつつ、土井さんの熱い思いに改めて感服していました。
続いては、大果大阪青果野菜部の赤嶺さんのお話。
昨年、日本の生鮮野菜輸入量は、とうとう100万トンを超えたそうです。4年程前に、中国での残留農薬が問題になった2年間は減少したそうですが、やはり輸入野菜の増加に歯止めはかからなかったそうです。これには、実は天候の影響もあり、2年前に数多くの台風か日本に上陸し、農産物に大打撃を与えました。それを補うために、緊急輸入が行われ、それに伴い再び輸入量が増加したそうです。輸入量が増えるのに反映して、価格が下落します。大量の野菜が、しかも低コストで輸入される。そういう状態が近年、日本では続いているそうです。
また、日本の良質の種が中国に流失し、それが再び日本に輸入されるケースも多々有るそうです。今、日本国内では完成度は別としてもJAS法・エコ認定などで、農薬や化学肥料の量を抑える流れにあります。今後、この流れは輸入野菜にも向かい、何処まで対応できるかは未知数ですが農薬量なども規制を強めるそうです。
価格や便宜性の面では、やはり輸入野菜の方が格段に身近になってしまいました。この現実を踏まえて、これからどのような価値基準で食材に接するかが、これからの日本の自給率に大きく関係してくるのでしょうね。
浪速魚菜の会は、大阪の伝統野菜の継承に留まることなく、大阪府下で作られる良質の生産者さんの支援であったり、それも求める消費者のパイプ役だと思っています。その延長上に、大阪の食文化の継承や発展、育成があるのだと思います。そんな活動に携ることが出来ることをとても嬉しく思うし、自分の出来る範囲でしっかり行って行きたいと思う一日でした。