高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

絶品 朝掘り木積の筍

2006-04-30 | 生産者訪問

 大阪は貝塚に木積という地域があり、昔から筍の名産地と知られています。

 木積には幾つかの良い筍が育つための特長があります。水分を多く含んだ粘土質の地層と急斜面な地形です。粘土質でもあまり土の粘りが強すぎると良い筍ができないそうで、また筍も地上に出てくるまでえぐみを持ちすぎてしまうそうです。また、斜面も急斜面なほど地下茎が大きなうねりで育ち、そのうねりが大きい程、大きくて良質な筍が取れるのです。

060424_1133_1  今回、王子さんの竹林を見学させて頂くまで、本当に無知だった。今までは、筍というと竹林に自然に生えてきて、それを掘り起こすとイメージだったのですが、それは大きな見当はずれでした。筍収穫後にまず余分な竹を伐採。(竹林は放置しておくとすぐに密生状態になってしまう。) 山の斜面を掘り起こした土を撒く。(土が固くなり過ぎると筍の芽をひばりを見落としてしまう。)他にも、山の湧き水を利用したスプリンクラーを付けての散水や親竹の先を折って竹が地下の根に充分栄養がまわるようにしたりといろいろと手をかけてあげないと、良い筍は育たないのだそうです。(画像は、まだ地上に出る前の筍のひばりです。)

 060424_1138 実際に、私も筍を掘らして頂きました。なかなか思うように鍬を動かせなし、筍を木傷つけたくないと思うと余計にうまく行かない。なんとか掘り出そうとした時、更に地中から筍がもう1本現れた。地面に隠れたままなので、とても立派。王子さんのご好意に甘えて、この筍も掘らせて頂きました。

 そして、念願の掘りたて筍の試食。掘りたての根の部分を食べて、・・・・梨みたいに瑞々しくて、しゃきしゃきしている。全くに苦味がない。でも、しっかり筍の風味が口の中に広がる。間違いなく、今まで食べた筍の中で一番。断トツの美味しさ。この筍を、いろんな人に食べてもらいたいと心から思った。朝掘りの筍をその日のうちに料理できる、これは料理人冥利に尽きます。

 ただ、この竹やぶを管理する王子さんは、あまり木積の筍がブランド化して高価になって欲しくないとおっしゃっていました。それは一般的に消費して欲しい、季節が来れば食べたくなるようなものでありたいという思いが込められているのです。また、後継者の存在が、後世に残すために竹林をより大切に取り扱う原動力にもなっておられるそうです。王子さんには、本当にお世話になりました。有難うございます。

060425_0347  分けていただいた筍は、帰宅後水煮して保存。軸は桂剥きにして、モズク酢と合わせたり・汁物の具にしたりと調理。シャキシャキしていて、その食感がとても楽しい。これも生の筍の醍醐味ですね。(画像は、筍の根の部分を桂むきしたあとに、刻んだもの。その白さにも驚かされるでしょ。)

 大阪にはまだまだ美味しいものが沢山ありそうですね。もっと、知りたくなって来ました。

 

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奈良県 月ヶ瀬の有機茶畑訪問

2006-04-28 | 生産者訪問

 奈良県の月ヶ瀬は関西でも宇治と並ぶお茶ところ。

 その中でも、岩田さんは月ヶ瀬健康茶園は有機のお茶作りを行われている、珍しい生産者さんなのです。

060423_1409  今回は,POFAというオーガニックネットワークが主催するイベントでの参加。天王寺から電車で約1時間程で、月ヶ瀬口に到着。そこから少し車での移動を経て、岩田健康茶園に到着。山の上で、凄く空気が澄んでいて、気持ちが良い。

 新茶の収穫が始まるのが5月の初旬だそうで、今が新茶をゆっくり見れる最後のチャンス。収穫時期に入ると、家族総出の忙しい毎日が続くそうです。到着後、まずは紅茶用の苗木を育てている畑を見ながらの、お弁当タイム。岩田さんから山菜や原木椎茸の天婦羅やたんぽぽとスミレのサラダ、煎茶などが振舞われました。(一緒に行った長男は椎茸がたいそう気に入ったらしく、ママと弟に食べさせたあげたいとお土産まで造ってもらっていました。)あちこちに、ワラビや三つ葉、土筆生えていて、路地で育っているのでどれも生命力に溢れていて、味も濃いですね。

 食事後に、茶畑の説明や実際にほうじ茶を煎る作業などを見学させた頂きました。特に印象的だったのが、今までの慣行栽培(農薬などを使ったもの)と岩田さんの茶畑の色が全然違うこと。一概にはいえませんが、化学肥料が使われている植物は窒素過多になって、緑が濃く出ます。それは、お茶も同じようで、その違いは一目瞭然でした。後、以前から不思議だった、何故茶畑はあんなにきれいな形に整えられているのか。それは、機械を使って新芽を刈る時に、新芽だけが刈り取れるように整えられているそうで、その形もその機械に合わせた形になっているそうです。

 その後、煎りたてのお茶と羊羹を頂いて解散。お茶の美味しく飲むためには、はやりお茶の入れ方が一番大切だそうです。お茶の甘みを味わいたい時には、低温でゆっくりと。カテキンなどの効用を活かしたい時には、高い温度で入れると良いそうですよ。

 私は特別にスタッフの方と一緒に、お茶の栽培や流通の現状について聞かせて頂きました。有機農法なので、はやりこまめな虫取りが大切。また、猪や鹿などにも畑を荒らされてしまう時にもあるそうです。(不思議と慣行栽培の畑は、被害がないそうですが。)次が、一番驚いたのですが、お茶にも旨み調味料を加えられたものがあるそうです。それも、意外と当たり前のように。もしかしたら、知らず知らずに私達もその味に慣れてしまっているかもしれません。

 今回、いろいろと説明してくださった岩田文明さんはまだ30代前半。とても熱心にお茶に接し、今は紅茶専用の葉を育てて本格的な紅茶作りにも取り組まれているそうです。文明さんのお父様が有機でのお茶作りを始めて20年。その間にはいろいろなご苦労もあったとか。それでも、現在ではを幸せな農業人生としみじみおっしゃっている姿と文明さんのひたむきな姿勢がとても印象的でした。このような素敵な方々が作るお茶、飲みたくなりませんか。

 

 

 

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初心者のための有機野菜作りセミナー

2006-04-27 | 農業・食育・食文化について

 大阪府有機農業研究会は、毎年恒例の初心者向けの有機野菜作りの講座を今年も企画いたしました。 講師は昨年に引き続き堺市の都市近郊で有機農業に取り組む今野正章さんです。
 今野さんの畑の見学をしながらこの地での有機農業の普及活動の話しなどもしてもらおうと思います。
 これから野菜づくりを始めたいという方や、すでに市民農園で家庭菜園やベランダでの菜園をされている方にも最適の講座です。また何も分からないのだけれど畑の自然にふれてリフレッシュしてみたいという方もぜひご参加ください。

・日時:2005年4月30日(日) 現地午後1時30分~午後3時30分
講師:今野正章 (有機栽培農家)
場所:堺市金岡の畑
集合場所:午後1時に「しんかなシティー」前バスロータリー (地下鉄御堂筋新金岡駅下車すぐ)で待ち合わせし、車に便乗していきます。)
参加費:1,000円 定員:30名(先着順) 

申込・お問い合わせ:大阪府有機農業研究会/06-6864-1026 (TEL/FAX)

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寺田酒造さん訪問

2006-04-27 | お酒について

Kurasyoumen_1  岸和田の酒蔵訪問、第2回目は寺田酒造さん

 嘉永年間からの歴史のある酒蔵さん。杜氏には但馬杜氏を向かえての酒作り。山田錦や五百万石の好適米を使い、水には和泉山系を水源とする井戸水を使用。今回は、突然のこともあり、また瓶詰め工程のピークということもありましたので、蔵の中は残念ながら見学できず。ただ、蔵のとなりで酒屋を経営されているので、そちらにお邪魔させて頂きましていろいろとお話をさせて頂きました。

060427_0122  メインブランドは、元朝。汎用性にこだわった、酒はエンターテイメントとおっしゃる寺田篤史さんらしく、手書き・似顔絵ラベルなど楽しい企画があります。もちろん、企画だけではなくて大吟醸・純米吟醸も作っておられます。(安かろう、不味かろうではない酒作り。)そして、寺田酒造珠玉・こだわりのブランドが「篁(たかむら)」。岡山県の契約栽培された五百万石を49%までに精米した吟醸 生酒。粒の小さな五百万石をギリギリまで精米して作られたお酒は、飲み口はスーと入って来て、最後にしっかりとお酒の旨みがグゥと伝わってきます。新酒なのに嫌なとんがりがなくて、今までに飲んだことの無いタイプのお酒。かなりオススめできるお酒だと思いますよ。

 先程も書きましたが、寺田酒造さんは酒蔵さんでもあり、酒屋さんでもあります。今までにありそうで、ない酒屋さんです。五月には、和泉の4蔵合同(寺田酒造さん・浪花酒造さん・井坂酒造さん・北庄司酒造さん)での飲み比べセットが販売されるかもしれないとのこと。とても楽しみです。このように本当にお酒を大切にして、良く知っていている酒屋さんの存在はとても貴重だと思いまし、大阪の酒蔵が発展するためにはただお酒を売れるだけではなくて、語れることも大切なのだと思います。こだわりのある酒蔵さんが酒屋に流通させない理由として、どのように酒の管理がされるか心配だからだそうです。そういう意味でも、このように酒蔵さんがお酒の流通に携ってもらえること、またインターネットを通じてより身近に購入し易い環境が作られることはとても良いと思うのです。

 お話をしてくださった寺田さんは、とてもバイタリティーのある方です。お酒を作り手としてだけでなく、流通を通じて消費者の立場でも見ています。なので、お酒はエンターテイメント、ただ美味しいだけでなくて、楽しい時間を過ごすためのものとおっしゃるのでしょうね。

 今回は、岸和田にある2つの酒蔵さんを訪問させて頂きましたが、共に共通するのは地元の文化を愛して、とても大切にしているところです。4蔵合同のイベントでは、地元の郷土料理とのコラボレーションもあるとか。祭りの際のお神酒も日本酒ですが、だんじりの町・岸和田でも脈々とお酒作りが受け継がれています。

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井坂酒造さん訪問

2006-04-27 | お酒について

 現在も岸和田には2軒の酒蔵さんがあります。

 まず、最初に訪れたのは、「三輪福」を基本ブランドとする井坂酒造さん。約180年の歴史を持ち、現在の蔵主 井坂佳嗣さんで10代目になられます。酒作りの使われる水は、和泉山系の伏流水(中水)を水源とする井戸水で、手掘りで作られた石垣の井戸の深さは13m。約9mの深さから汲み上げる井戸水は、通年を通して水位が保たれ一度も枯れたことがないそうです。杜氏には但馬杜氏を迎え、後継者の息子さんは初め、ピークの時には佳嗣さんも参加して酒作りだそうです。

 井坂酒造さんでは、純米酒をメインにし、大吟醸・吟醸酒は袋絞りを行い、吟醸酒に使われる醸造アルコールも米から作られたものを使用しておられるそうです。広く作られた麹室や各作業への動線がすごく整理整頓されていたのが印象的。その中でも特に個性的なところが貯蔵庫。低温の温度管理を行っておられる酒蔵さんが多い中で、井坂酒造さんは天窓と地窓による風を通しての温度管理。これは、昔から作られてきたお酒作りの環境を変えることなく、昔ながら気候の変化で貯蔵されたの酒の味を大切に大切にしたいと思う気持ちからだそうです。(やはり歴史のある酒蔵さんですので、高い天井や土塀・断熱材などにより急激な温度の変化はありません。なので、このような貯蔵の仕方が可能なのです。)

 蔵主の井坂佳嗣さんにお伺いした井坂酒造さんの酒作りの特長として、酒作りで一番大切とされる麹を作る前からの準備を大切にすること。それは米選びや米の浸漬など。基本的なことから大切にすることにより、良いお酒作りに繋がるとのこと。また、酒作りに関して心掛けていることとして、「至誠通天(しせいつうてんー志を持ってこつこつと人・物事に対処していけば成就するの意。)」を答えられ、原点に戻った、しっかりとしたお酒作りを心掛けておられます。

 試飲させて頂いたお酒たちです。大吟醸は、やはりとてもフルーティーでした。全体的な特長として、濃醇でやや甘口。しっかりとお米の香りや風味を感じる旨みの濃いお酒です。少しこってりとした煮つけや金平なんかと相性が良いかもしれませんね。また、地元岸和田で収穫された秋田小町で作られた純米酒「葛葉井の淵」も、後口がすごく良くてなかなか個性のあるお酒でオススですね。 

 昔から祭りのあるところは文化がある、と言われます。岸和田の名物のだんじり祭りも、このような文化・地元を大切に思う人々の下支えから生まれるのでしょうね。

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