高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

祝 釜たけうどんさん4周年

2007-03-28 | 料理日記

 3月25日、釜たけうどんさんの4周年のお祝いのパーティーが行われました。

 関西の讃岐うどん会では知らない人はいないくらいのお店。毎年、とんど祭りにも出店されていて、料理人のファンも多いお店です。今回、このパーティーの料理を私が担当することになり、折角私が担当させてもらうので、大阪の厳選素材を使った献立にしました

Dscn2541_1  ○河内鴨 ロースの旨煮 ツムラさんのロースは大きいサイズなるほど、柔らかさが引き立ちます。 ○梅ビーフ 霜降りバラ肉炙り焼き 梅酒の梅を食べて育った牛です。霜降りでも、脂身がとてもさっぱりしていて、食べやすい。醤油ベースのタレに少し漬けて、表面をバーナーで炙りました。 ○木積白子筍薄造り 梅肉入り割り醤油 姫皮の木の芽和え 木積の白子筍です。今年の初物ですよ。ほんと贅沢です。 ○黒豆豆腐 酒粕漬け 酒粕とお味噌の床で漬けました。お酒が進む一品です。

Dscn2544 ○千早川 鯉・河内蓮根・門真古代蓮 蓮根・泉南 里芋 の唐揚げ 糖酢(タンツー)あんかけ

金剛山を流れる千早川で育てられた鯉は臭みが全く無くて、とても美味でした。門真の古代蓮は昔からの地蓮で、細い蓮根です。河内蓮根は、もっちりとした食感が楽しい。この食べ比べがとても楽しいかったです。 泉南の農家 松下さんから送って頂いた里芋。今年の最終便だそうです。市場には流通していない、とてもレアな里芋なのです。

Dscn2543 ○天然鯛の桜蒸し 若竹煮

天然の鯛に桜の葉を乗せて蒸しました。ほのかに桜の葉の香りがして、お腹からは桜色に染まった道明寺が出てきます。木積の筍と生若布の若竹は、まさに季節の出会いもの。

 いつもお世話になっている釜たけさんの周年ですので、鯉や鯛と昔からおめでたい時に食べられていた食材を献立に取り入れました。他の食材も、食い倒れの大阪に恥じないなにわの伝統野菜や食材たちです。釜たけさんを始め、幹事の別府さん、お祝いの会に参加された方々の気持ちに少しでも応えることが出来るように、頑張ってみました。食べてくださった方々が喜んでくれたら、料理人冥利に尽きます。

 釜たけさんのご主人 木田さん、本当におめでとうございます。また、調理を手伝ってくださった、情熱うどんの讃州さんや釜たけのスタッフの方々には、ほんとうに感謝しております。ありがとうございました。

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初講演ー料理人はどこまでできるのかーその3

2007-03-23 | 農業・食育・食文化について

途中までは順調過ぎる程、上手く進む講演。
緊張していないようでも、実は前兆がありました。

 ホテル到着後、眼鏡からコンタクトに変える。どうも違和感があるので再び外そうとした時、大きく跳ねてどこに行ったか判らなくなってしまった。時間も無いし、自宅に予備があるので、そんなに気落ちはしなかったがなんとなく嫌な感じ。

 マイクが拾った「ゴトッ」とグラスが倒れる音に、一瞬会場に変な間と空気が流れる。卓上は水浸し。大切な進行用のレジュメも霞んでしまった。スタッフの方がこちらに向かおうとするのが見えて、私は平然を装い、何事も無かったように話を進める。

 この時点で時間の半分が過ぎていたと思う。ここから暫くは、それまでの勢いで話が進む。そろそろ話をまとめにかかる時間になってきた。ここで、あることに気がつく。講演前の総会が長引いて、時間がずれ込んでいたのを忘れていて、正確な講演開始時間を確認していなかったのだ。

 仕事柄、体内時計の正確さには多少の自信がある。自身の感覚として、そろそろ1時間過ぎる頃だ。そう思った矢先に、スタッフの方に動きが。間違いない、話をまとめて、この講演で自分が伝えたかったことを最後に明言しないと。

 「これからは消費者の方の意識改革も大切です。生産者の方は、一生懸命作った野菜がどのように・どのような方に消費されるかまで見守ってください。そして、時には思いを伝えてください。」
 「私はようやく料理人という仕事に生き甲斐を見出せました。それは生産者と消費者を料理を通じて結びつけることが出来るからです。料理を食べてくださる方に物だけでなく、思いも一緒に伝えることが出来る料理人になれるように頑張ります。そして、作る側と食べる側の距離を縮めたい。すぐにお応えは出ませんが、どうか皆さんのお力をお貸しください。」

 前半の好調さが嘘のように、後半は支離滅裂な内容。とにかく、話しきることは出来た。終わったのだ。終わった瞬間のことはあまり良く覚えていませんが、たくさんの拍手を頂いた事だけはわかりました。どうやら講演の良し悪しは別としても、思いは伝わったようである。いつもは文句言いのご意見番の方にも共感頂いたそうで、周りの人からもそのことが今回の講演の成功を象徴することを教えて頂きました。

 講演後、いろんな方とご挨拶をさせて頂いた。中には丸山光代さん著の「食卓の健康手帳」の直筆サイン入り本を「こらからも頑張ってください。」という激励と共にくださる方もおられた。農塾でお世話になった能勢の農家さんには料理人よりこっちの方が向いてるよ、と冷やかされました。
 
 後日、スタッフの方から、「とても熱い想いを語ってくださりありがとうございました。私たち有機の古漬けのようなオバサンたちが昔感動したのと同じ感動を、若い森田さんが感動されたのだと、また、同じようなところでワクワクされたことに真理の普遍性を感じました。私たちに出来る事があれば、いつでもおっしゃってください。また、私たちの活動にも応援をお願いいたします。 」というメールを頂きました。

 大変だったけど、引き受けて良かった。今までの自分の活動を振り返ることが出来たし、またこれから頑張る目標も改めて再確認出来ました。

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初講演ー料理人はどこまでできるのかーその2

2007-03-20 | 農業・食育・食文化について

  講演会場は神戸ポートピアホテル。大有研とは大違いにリッチです。事前に講演の内容のレジュメをお配りして、私自身もこのレジュメにいろいろと肉付けをしながら進めて行こうと何度も何度も目を通す。でも、その度に書きたいことが沢山出てきます。

 講演前に周りを見渡すと、大有研の農塾でもお世話になった市島の橋本さんや能勢の菅原さんの姿が。後から気づいた人では枚方の中嶋さん。とても素敵な生産者さんの前で何を話を・・・。 司会の方にご紹介を頂き、壇上へ。 あれれ、、思ったよりも落ち着いている自分にびっくり。

 実は、この講演の数日前に天神坂の上野のおやっさんにこのレジュメを見てもらいました。それは、上野のおやっさんから教えて頂いたことを抜きにして、今の私の活動を語ることが出来ないからです。そして、安易におやっさんからの教えを伝えて、間違っていたら大変です。おやっさんをお訪ねする時は、いつも緊張や不安や期待などなど、心がドキドキする。物腰柔らかでとても優しい眼差し。とても深い情を持ちながらも、心底厳しい。 憧れであり、目標の存在です。

 しばらくご自宅で紅茶を頂きながらお話して、その後近くの小料理屋へ連れて行ったもらいました。一緒にご自宅に帰ってくるまで、約6時間。 振り返ると、あっという間の時間でした。まだまだ、お釈迦様の掌の上の猿みたいな私。でも、いろいろとお話させてもらえて、とても良かった。レジュメの内容を認めてもらったのが、とても心強かったです。この数年間の自分の中での料理人としての理想と現実のギャップ、いろいろな人から頂いた教えや感動を素直に話そうと割り切れた。

 会場の雰囲気にも徐々に慣れてきて、周りも見渡せるようになってきた。反応もなかなか良さそうだ。と思ったその瞬間、右手がグラスに当たって、水がこぼれた・。ウゥ、やばい、かっこ悪い。。  続く。

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初講演ー料理人はどこまでできるのかーその1

2007-03-18 | 農業・食育・食文化について

 先月、凄いところから講演の依頼がありました。依頼元は、兵庫有機農業研究会です。
 兵庫県有機農業研究会は農水省の認可を受けて、JAS法に基づく有機農産物の検査・認証業務も行っています。生産者・学識者・消費者のつながりがとても深くて、これからの大有研の目指す方向性のお手本の一つでした。関西の有機運動グループの先頭を走っている団体です。
 先月25日に兵有研の総会があり、そこでなぜか私がその総会の記念講演を務めさせて頂くことになりました。初めてお話を頂いた時には私のような者で良いのですか、と何度も聞き返したのですが、是非にと云う事らで引き受けることになりました。
  食材への興味から始まった私の活動。それが有機運動などに参加する事になり、今は食文化までも意識するようになっていく過程を経験談の範疇でまとめてお話することにしました。。
 しかし、初めてお話を頂いた時には本当に恐縮しました。。

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職業聞き取り学習

2007-03-11 | 農業・食育・食文化について

 070224_0244 2月22日に阿武野中学校を訪問。
 2年生の職業聞き取り授業の講師として参加。
 昨年に続き、2回目。
 
 事前に頂いた生徒からの質問に答えながら、調理師の仕事についてお話しました。お話だけだと面白くないので、ほんだしとこんぶ土居さんの10倍出汁の飲み比べもしました。
 結果としては3:7で、土居さんに軍配が上がりました。 正直、一安心。
 
 ちなみに、私が料理人として大切にしてくださいと伝えたのは、「学ぶ姿勢(謙虚な姿勢)」「協調性」「目標を持ち続ける強い意志」「集中力」です。
 あと、楽しく生きること。価値観や幸福感は人それぞれ。自分にとっての幸せややりがいが何なのか、自分と向き会って欲しいと伝えました。恥ずかしながら、全部自分に言い聞かせていることなのですけどね。

 つい先日、話を聞いてくれた生徒達から授業の感想文が届きました。                         

出汁の飲み比べの感想や授業の際に見てもらった包丁のことなど、やはりリアルに見たり・体感するほうが印象に残るようですね。中には、「食材を使い切る話を聞いて、ごはんを残さなくなりました。」とか、「話を聞いて、もっと積極的にがんばろうと思いました。」という嬉しいコメントもありました。少しくらいは、生徒さんのこれからに役に立てたでしょうかね。もしそうなら、とても嬉しい事です。    

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