高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

干しいたけを使ったおもてなし料理教室 その2

2005-12-30 | 料理日記

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 風邪をひいたりして、少し時間が経ってしまいましたが料理教室の続きをご紹介したいと思います。

 今回ご紹介させて頂いたお料理は下記の4品です。

 ○どんこ椎茸と旬の味覚蒸し

     季節の野菜とどんこ椎茸の組み合わせです。野菜は他にも銀なんや栗、南瓜など、その時の旬の食材を

 使って頂けます。野菜のやさしいう味とどんこ椎茸の力強い風味が広がる一品です。

 ○寒大根のステーキ こうしん椎茸のソース

   椎茸と相性の良い鶏肉と牛蒡を合わせて餡かけを作りました。煮付けタレは、お魚炊くときにも応用できます。

 ○どんこ椎茸と蓮根の酢の物

   こうしん椎茸と蓮根・胡瓜の食感の違いを楽しんでください。乾し椎茸を酢の物に使うと、更に椎茸のバラエティーは増えます。また、焼くことで香りが更に引き立ちます。

 ○こうしん椎茸の炊き込みご飯

     どんこ椎茸を使って、とてもシンプルな炊き込みご飯を作りました。炊き込みご飯の具材は、旬の野菜などを使っての応用も出来ます。

  調理の時間は料理説明を入れても90分ほど。事前に下準備したもののありますが、それでもギリギリの時間。生徒さんにゆっくり試食して頂けなかったのは、少し心残りです。それでも、参加した頂いた方から「とても美味しく出来た」「家でも作ってみたい」「こういう料理を私たちも広めていきたい」とお褒め頂いたので、とても嬉しく思いました。

 2回の料理教室の講師を務めさせて頂いて、改めて伝えることの難しさを痛感しました。今までにも仕事で部下の指導や料理説明やプレゼンなどは行うことはありました。それは料理の知識があるプロに向けての指導で、一般の方には「これくらい解るだろう」というのは通用しないのである。

 プロの料理人にとって、一般に出回っている料理研究家の料理本はほとんど勉強の対象になりません。自分ももっとこだわった料理を伝えたいと思っていました。でも、ここに大きな勘違いがありました。毎日主婦の方は、忙しい時間の中で家族の食事を支えているのです。美味しくても、手間がかかってしまうと実際には作ることができない。なので、できるだけ「シンプルで、美味しく」が大切になってくるのですね。しかも料理の説明はできるだけ丁寧に、しかも1つのタレやソースでも多様性のある使い方ができる方が役に立つ。

 1回目の料理教室終了後に、この問題点に気付いてかなり落ち込んだし、考えました。現実と理想とのギャップ、みたいなものですかね。でも、長い時間考えているうちに、少しずつ整理が出来てきて、改めて主婦向けの料理書を見てみる。すると、プロが作るみたいに純粋に美味しさを追求したものではないけど、とてもシンプルで少し頑張れば簡単に作れそうなお料理になってます。いつの間にかプロのエゴ(手間=美味しさへの美徳)を家庭にも持ち込んでしまったのですね。なので、2回目の今回は、そのようなことを意識しながら、シンプルで、多様性があって、身近な食材で、しかも美味しい料理を考えました。そして、これからはシンプルさの中に、プロに料理人らしいこだわりやコツみたいなものを少しずつでも伝えて行きたいと思っています。

 今回の料理教室は生徒さんよりも私のほうが多くのことを学ばせて頂いたかもしれませんね。今回のような機会を与えてくださった方々に感謝・感謝です。

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コンセプトは地産地消

2005-12-29 | オススメなお店

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  クリスマスに風邪をひどくしてしまい、なかなかブログを更新することが出来ませんでした健康の幸せ、美味しく食事を取ることの幸せ,食を生み出すことのできる充実感を改め感じさせてくれる風邪でした。

  手前味噌になってしまいますが、あまから手帳の一月号(P132)に私が料理監修を務めている「ささゆりの里」の記事が掲載されました。

 やはり自分が手がけている料理が紹介されるのは素直に嬉しく思いますし、励みにもなります。

 画像のお料理は冬の献立になります。樫田付近で獲れたしし肉の鍋や田辺大根の風呂吹き田楽や天王寺蕪などのこだわり野菜の炭火焼は、ほんとうに体が温まるし、この時季ならではの美味しいさ。

こだわりの野菜を届けてくれる生産者さんやいつも現場を支えてくれているスタッフの皆さんにはほんとうに感謝の気持ちでいっぱいになります。

 これからも頑張って、このようなこどわりのある【食】を、少しでも多くの方に知ってもらえたらと思います。

 

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メリークリスマスとフレンチのクリスマスディナー

2005-12-24 | オススメなお店

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粒貝のココット焼き メルバトーストを添えて

粒貝のコリコリ感と香草のソースがとてもいい感じ。グラタン仕立てになってます。

051223_1704 フォアグラのテリーヌ マーブル仕立て

フルーツチャツネとハーブのサラダ添え

とにかく、混合スパイスでマリネされたフォアグラとチャツネの甘酸っぱさが最高に美味しい一皿です。

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魚料理

五香粉香りをまとったスズキのポワレ

ハチミツとオレンジ風味のソース・ブールブラン

ブールブランは煮詰めた白ワインとフォン(魚などの出汁)にたっぷりのバターを加えたソース。そのソースに更にハチミツとオレンジの甘み、酸味が加わってとてもさわやかなソースになってます。

051223_1705 肉料理

和牛サーロインのステーキ ソース・クロゼイユルージュ

霜降りの和牛肉にウォン・ド・ボーベースの赤すぐりの酸味がとてもいい感じです。良くあるステーキソースよりもあっさりとお肉を食べることが出来るソースですね。また、ミミョネッ(ト黒胡椒の荒引)が食感も風味も良いアクセントになっています。

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聖夜のクリスマスツリー 平和を祈って  苺とサブレのハーモニー

やっぱり最後はたっぷりのデザートですね。苺のサンタもかわいいし、グラス(アイス)やサクサクのサブレに濃厚なクリーム。まさに別腹ですね。

 このほかにも、コンソメで作られたフラン(洋風茶碗蒸し) 蛤のカプチーノ仕立てと魚料理と肉料理の間にお口直しの洋ナシとシャンパンのシャーベットも用意してます。

 この料理はキッチンスタッフとして働かしてもらっている「ラ・ロッシェル OSAKA」のクリスマスの特別ディナーです。ラ・ロッシェル OSAKAは料理の鉄人‐坂井 宏之氏プロデュースのお店で、お手ごろな価格でより身近にフランス料理を楽しむことができるお店です。

 今まで和食がほとんどだったので、いろいろと勉強したくてキッチンスタッフとして働かせてもらうようになりました。毎日、初めての経験や目からうろこの体験の連続ですが、とても充実していて楽しく働けています。

 特別コースは仕込みなどがとても大変ですが、料理を考えてくれたシェフ達の思いを大切にしたいですし、とても勉強・刺激になるし、やはりお客様も喜んでいただけることがとても楽しいです。

 皆さんが楽しいクリスマスを過ごされることを祈っております。

                                        

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干しいたけを使ったおもてなしの料理教室

2005-12-21 | 料理日記

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先日、日本産原木干しいたけを使ったおもてなし料理の料理教室の講師を勤めさせてもらいました。
 この料理教室は今回が2回目。日本産の原木干し椎茸の良さは以前にも書きたのですが、普段干しいたけを中心に料理を考えることはあまり無いので、大変ですがとても楽しいし・新しい発見がたくさんあります。
 余談ですが、この日本産原木干しいたけと前回の料理教室で私が作った艶煮を天神坂の上野修三先生にも食べて頂きました。上野先生はこの干しいたけのことも上質なものだとおっしゃてましたし、艶煮に関してはとてもよい出来でどこに出しても恥ずかしくない出来だと褒めて頂きました。目標とする方から認めてもらったことのうれしさと共に、やはりこの干しいたけの秀逸な味、素材の良し悪しをしっかり見極める大切さを改めて感じました。
 今回、この料理教室で提案させていただいたお料理は4品。
 時間の都合もあって、参加してくださった生徒さん達には3品を作っていただきました。

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アジアン創作ランチと門上武史氏トークショーとスローフード

2005-12-19 | 農業・食育・食文化について

 前回に書いた上野先生の講演会後に、アジアンビートフェスティバルのイベントの1つとして、ホテルグランビアの料理長考案のアジアの料理法を取り入れたランチとあまから手帳の主幹を務められている門上武史さんのトークショーが行われました。その食事会に上野先生、浪速魚菜のスタッフの方と共に招かれました。
 案内された卓に上野先生と門上さんも着席され、私以外のスタッフは少し緊張の面持ち。私も以前は緊張しっぱなしでしたが、以前にご自宅にお招き頂いたことや今回も上野先生から名前を読んで話かけてくださったので、少しはリラックスしてお話できるようになりました。門上さんも以前に何度かお会いしたこともありますし、業界では人柄の良い方で有名です。
 まずは食事からスタート。料理も然ることながら、折角門上さんのように日本のみならず、世界の美食を経験する方に1度、料理人とは違った視点でのお話をお聞きしたいと思っていたので、下記のような質問をしてみました。。
 食べに行くお店で一番大切なことはなんだと思われますか。
 ○今はどのお店もレベルが高い。ここのお店はまずいから行かない、というお店はあまり無いですよね。美味しい、といのは当たり前で、いかにお客様が楽しめたり・癒されたりするお店にするか。これが凄く大切。
 あと、その料理人の個性や思いが明確に伝えられること。ある京都の有名な割烹店の店主は、「ウチのお店は、おしゃべり割烹です。」とおっしゃられたそうです。確かにお料理の味もさることながら、いろいろな料理や食材についてのお話も食事をおいしくいただけるポイントかもしれませんね。
 では、勢いのある料理人に共通していること、ありますか?
 ○一概には言えませんが、やはり他のお店によく食べに行かれてますね。そこで、いろいろな刺激を受けて、それを自分の料理の中に取り込んでいく。真似ではなくて、1度自分の中でバラバラにして、さらにそれを再構築していく。完全に自分の中で消化しないとその人の料理ではなくて、ただの真似の集まりになってしまいます。
 
 食事が落ち着いた頃に、門上さんのトークショーが始まりました。さっきまで普通に食事していたのに、舞台の上に立ったとたん次々と食に対してのいろいろな話題が出てくる。流石に経験豊富で、いろいろと引き出しのあるお方ですね。
 たくさんの楽しいお話の中からスローフードの定義のお話。
 スローフードはファーストフードの逆でゆっくりと食事を楽しむとか、丁寧に料理を作るとかいう意味合いで使われています。そういう意味合いも確かにあるのですが、この言葉には3つの大きな願い・目標がこめられています。
 ☆伝統的な料理や料理方法を守っていく。
 ☆こだわりのある生産者さんを大切に守っていく。
 ☆子供達に食事に大切さや楽しさを伝えていく。食育を広げていく。
 実は門上さんはスローフード関西の副理事を務めていて、積極的に活動をされています。九月に私が参加した親子料理教室の時にも、いろいろとご助力いただきましたし、今回のトークショーの中でも食育の大切さを語られていました。
 しかし、この3つの願いは、今私が大切に取り組んでいる・活動している・目標としていることとピッタリ。やっぱり、この活動を辞めるわけにもいかないし、この活動を通じて私も更に成長したい。また、上野先生や門上さんなど、関西の食を代表する方が、このような思いを持っていられることが凄く嬉しかった。
 しかし、門上さんが話の最初に「同じテーブルに審査委員の上野先生と積極的に生産者めぐりをされている森田さんという若手料理人の方とお話していたのですが・・、」会場の視線が一気にこちらに向けらた時には、かなりびっくりしたな。
 

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