高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

有機の風をつくる

2006-08-28 | オススメなお店

 先日、大有研第12期農塾の一回目が開催されました。

Dscn2007_1  第一回目の講師は大有研の前代表で、日本有機農業研究会理事の尾崎零さんです。

講演のテーマは、 「有機の風をつくる。」

 

Dscn2018  有機農業がムーブからブームへ、そして更なる広がりへー「生きるというのは、食べるということ。」 たべることの大切さを認識されにくくなっている

 70年代高度経済成長は、豊かさのため(目的)の経済(手段)が、経済が先行してしまって合理性を優先するようになってしまった。その影の部分として環境破壊などが起こる。また、ヒソミルク事件のように食品公害の起こり、食への危機感が高まり、有機運動が始まる。 「有機運動の風」

 80年代は産消提携が始まる。東京の消費者グループと千葉の三芳村の生産者さんの繋がりがモデルケースとなる。それまでなかった有機での野菜作りの代わりに、全量買取・災害時などの保証金の確保・価格を生産者が決めるという今までにない消費者と生産者の関係。有機的で、顔の見える関係の始まり。また、有機農産物を取り扱ったり、商品化されたりし始める。 「有機農産物の風」(ただしまだ物だけをみて、農業の発展へと繋がらない。)

 90年代はバブル崩壊後の「保障無き時代」の始まり。バブル崩壊後、経済優先の価値観の歪みが出る。温暖化などの世界的な環境問題や企業倫理への不信感。食生活の乱れと精神性の関連が言われ始める。(交通事故よりも多い、自殺者数。)地方都市への回帰など、生き方としての就農への関心が高まる。終身雇用などの守られた時代から、自立への時代へ。 「農的暮らしの風」

 現在は有機JASやポジティブリストなど、有機農業の法制度が少しつづ進む。(きっかけは輸入有機への取扱から、国内でも有機農産物への対応が必要となる。)さらに有機農業推進法制定(理念法)を目指して、より明確に有機農業への理解・必要性を広げていく。医療費の増大という面からも、食育が盛んにいわれるようになる。 「社会システム化の風」

 生きることは、食べること。日本では、その礎となる農業をはじめてする第一次産業が衰退の一途を辿っている。国内自給40%・有機農産物については0.16%という現実。食糧の量も安全性も確保するのが難しいのが現状になってしまっています。 今期の大有研は、環境や命にとってより良い物を食べるをたいせつにする「有機の風」が広まることを目標に頑張っていきたいと思っています。

Dscn1969  追伸ー先日、この講演の打ち合わせをするために能勢の尾崎を訪問しました。打ち合わせは、尾崎さんの奥様と息子さんが切り盛りする「しゃらん・ど・らーは」さんで。もちろん、使われている食材は、もちろんすぐ目の前にある尾崎さんの育てた野菜達。その時食べた「季節野菜の石釜焼き」がとくに印象深くて、美味しかった。野菜が美味しいのはもちろんなのだけれど、石窯だからこその火の入り方がとても素晴らしかった。とてもシンプルだけど、野菜の美味しさを十二分に引き出した料理法だと思います。もし、能勢に行かれたのなら、是非体感してもらいたいです。

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信楽 篠原さん訪問

2006-08-18 | 生産者訪問

 お盆の休みを利用して、信楽の陶工房 篠原さんを訪問。

 たまたま巡り合った篠原さんのHPの器を見て、一目ぼれ。そして偶然大阪で個展が開催されていて、短い休憩時間を使って訪ねました。運良く篠原さんにお会いすることが出来て、また展示して作品についていろいろとお話をさせて頂きましDscn1909_1た。ここからご縁が始まって、今回の訪問となったのです。

 篠原さんの穴窯。この篠原さん手作りの窯からいろいろな器が生み出されます。一度、窯に火が入ると不眠の作業が何日も続くそうです。薪の火力を調節は出来ますが、窯の中では灰が降り掛かったものがガラス化して出来た自然柚の柄などは自然の力が生み出す造形美です。

Dscn1911  窯を火を生み出す薪です。

薪も火力の強い松等を使い分けます。そして割った後には、しっかりと乾燥させます。また、同じ種類でも、日が良く当たって成長したものよりも年輪の幅が詰まっている薪の方が火力が強いそうです。試しに薪を割らせて頂きました。思ったよりは上手に出来ましたが、量をこなすはとても大変。料理もそうですが、クリエイティブな仕事のベースは地味は体力を使う労働です。

Dscn1913  案内して頂いた信楽ののぼり窯。

傾斜面を利用し、複数の長方形の焼成室がしだいに登っていくように築かれた窯。16世紀末頃、朝鮮半島から伝わったと考えられており、以後全国に広まったそうです。昔、火鉢のトップシェアを誇っていた頃には、この大きな窯が大活躍していたそうです。熱効率の良く、安定した温度を保てる優れた窯です。
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 篠原さんにご案内頂いた ギャラリー陶夢さん。
若手の陶芸家の作品も数多く展示されております。(もちろん、篠原さんの作品も。)
地元で頑張る陶芸家さんの作品をこのように取り扱ってくれるギャラリーの存在は、若手陶芸家さんにとってとても励みになるでしょうね。実際に展示されている作品はやはりどれも光るものあります。
  ギャラリーのご主人とも少しお話させて頂きましたが、信楽という陶芸の町をとても大切にしておられました。作り手にとっても購入者にとっても、陶芸を大切にしてくれる物販の方の存在はとても幸せなことですよね。最近は特に、物販の重要性を感じています。
 
 ギャラリー陶夢さんを後にして、篠原さんのご自宅へ案内して頂きました。
 自宅のリビングには、至る所に陶器がありました。それは自身のものだけではくて、他の作家さんの器も数多く購入されていました。そして、ご自宅で使用されている器は、ご自身の作品です。本当に陶芸が好きなんだなということが、ヒシヒシと伝わってきました。でも、この「好き」という思いを強く持ち続けることが一番大切で、一番凄いのだと思います。
 同じ職人として、篠原さんの話は共感できるところが多くありました。自分のしたいことが出来る環境を大切にしたいこと。造形美だけを優先しないで、使ってもらう人のことも大切にすること。作り手として、多くの悩みがあるからこそ前進できることなどなど。たぶん、何時間でも語り合えることが出来ると思います。
 篠原さんの作品は、篠原さんの熱い思いと、とても理解があって見守ってくださる素敵な奥様と生まれたばかりのお子さんへの愛情で、これからますます変化していくと思います。今から次に訪問させて頂くことが楽しみです。
 
 

                                                                                                    

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市島町 橋本さん訪問 その2

2006-08-18 | 生産者訪問

 橋本さんにいろいろと有機農業についてのお話をお聞きした後、実際に畑を案内して頂きました。

Dscn1885_1  橋本さんの平飼いの鶏舎です。ポストハーベストフリーのとうもろこしなどを餌にしています。鶏糞はもちろん、堆肥として利用されます。玉子は添加物を与えないため、薄黄色の黄身の有精卵です。(ちなみに黄身の色が濃いほど良いというのは誤解です。)

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 はじめて見ました、ズッキーニです。少量他品目のこだわりの生産です。

今年は雨が多くて、農作物にも厳しい夏となりました。また、今の時期は虫取りで大忙しです。生産者さんを訪れると、食べ物の大切さを痛感します。

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 南瓜です。うてなに白い線がたくさん出て来たら、収穫です。

 橋本さんは、欧米の進んだ有機農法を取り入れています。従来の有機農法は循環を大切にするので鶏を飼っているなら鶏糞などをメインにした堆肥を入れるのですが、ちゃんと土壌検査を行って土が何を必要としているのかを見極めてから、ぼかしの内容を決まるそうです。

Dscn1887  途中に立ち寄った若手有機農家の井上さんの畑の一部です。

さつま芋やモロヘイヤ、ゴーヤなどが栽培されていました。給食センターの残飯を発酵させたものも肥料に使われているそうです。 「大変だけど、頑張っています。」

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 橋本さんには長い時間、あ付き合いして頂きました。農塾でまた橋本さんに、「農業を仕事にする」というテーマで語って頂けます。今からとても楽しみです。

(橋本宅から見える風景は、都市には無い癒しがありました。)

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兵庫県市島町 橋本さん訪問。

2006-08-12 | 生産者訪問

 先週の日曜日に、兵庫県市島町で有機農業を営む橋本さんを訪問しました。

 橋本さんには今回行われる農塾の第二回目の講師を務めて頂きますので、今回は今回のテーマと簡単な打ち合わせです。

 橋本さんが住む市島町は、栽培面積の30%が有機・減農薬栽培で行われています。有機栽培では橋本さんが中心となり新規就農者を引き受けて、他では珍しく若手の有機農家さんも頑張っておられます。

 橋本さんの活動は日本だけに留まらず、IFOM(国際有機農業運動連盟)という1972年に設立された有機農業に関する世界最大の国際的な民間組織のアジア理事長などを歴任した国際派なのです。

 橋本さんがこのような活動の中、欧米などの視察に行かれたときに感じられたことが(有機)農業と消費者の交流です。日本において、生産者と消費者がコミュニケーションをとれる場はほとんどありません。それに対して欧米ではファーマーズマーケットやマルシェのように消費者がいろいろな情報を得ながら購入することが出来ます。また、進んでいるところではただ買い物をする場だけでなくて、カフェなどの飲食や、音楽、アトラクションなどの要素を取り入れて、一日の余暇を家族で楽しむことができるようになっているマーケットもあるそうです。そして、消費者はそのマーケットの会員として出資し、よりよい環境を作り出しているのです。また、国の政策の一環としても、貧しい人にただお金を支給するだけでなくて、このようなマーケットで使用できる金券を発行して、人々の健康や地域での活性化を担っているようなケースもあるそうです。実は農家さんが一番大変なことは、暑い中で農作業をすることではなくて、収穫した農産物を安定して販売することなのです。

 有機食材を購入する動機として、日本では人体への影響が一番だそうですですが、有機栽培の盛んなオーストリアやイタリアなどでは、環境への配慮が一番の動機になっているそうです。また有機農業を支える環境としても、有機農業専門の研究機関が無い日本に比べて、しっかり有機の土壌などを専門的に研究する大学などの研究室もあるそうです。そして、生産者と研究者の情報のやり取りも、日本より遥かに盛んに行われているのです。

 先進国と呼ばれて久しい日本。しかし、その自給率は他の先進国と比べても、かなり低水準です。有機農産物に至っては、0.16%しかありません。多くの豊かさを手にした日本ですが、まだまだスローフードにはほど遠いのがf現状です。

 終戦後、農薬被害において多くの弊害が生じました。畑にまかれる農薬はいずれ川に集約されて流れ出し、自然に大きな影響を与えます。橋本さんが語ってくださった有機への思いは、私には次世代へのラブメッセージに聞こえました。

 

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日本橋 藤久さん訪問

2006-08-10 | オススメなお店

 今月のまんでい会は、10月のスローフード親子料理教室についての打ち合わせ。

 料理の監修や講師などを務めることが多くなってきましたが、子供達と一緒に料理を作るのはめったに無いのでしっかり準備が必要です。今回はいわしを手開きしてコロッケを作ったり、三種類の団子を作ったりとなかなか手の込んだ献立になっています。

 今回は2回目になるので多少の余裕はありますが、それでも現地での調理はぶっつけ本番なので、教える側もしっかり準備をしておかないと。参加した小学生たちが料理に楽しさや大変さを体感してくれて、それが良い経験となってくれることを目標に頑張りたいと思っています。

 まんでい会終了後、マーブル・トレの上村シェフと少し立ち話。いよいよ、今秋に独立されるそうです。創業について、上村シェフにご相談にのって頂きました。本当に親切に対応してくださって、いろいろと参考になるアドバイスを頂けました。本当に、有難うございます。

 その後、昼食は日本橋 藤久さんへ。

 以前からなにわ翁さんや釜たけさん、こんぶ土居さんと一緒に食事に行きましょうという話しをしていましたし、折角ですから日本料理を選んでみました。

Dscn1905  味吉兆で長年修行されたご主人 近藤さん。今回は、おの2800円を選択。お昼は1800円から用意しているそうです。

 突き出しが出された後に、じゃこご飯と椀物、それにお刺身に画像で紹介している松花堂。どれも素材の良さを感じ、またしっかりとした日本料理の仕事をしたお料理でした。5人以上なら2階に個室もあるそうです。値段以上の満足感はあると思いますので、今度は夜にお伺いしてみたいです。

 食べていて、昔に勤めていたお店のおやっさんの事を思い出しました。派手ではないのですがしっかり手の込んだ仕事をしていて、和食の基本を教えて頂いた師匠でした。そのお店は今はもうありませんが、厨房は師匠との二人仕事でした。なので、いろんなことを見て学びました。そして、よく怒られながらも、いろんなこと教えて頂きました。

 昼食後、4人でコーヒーを飲みながら、いろいろなことを話しました。

 皆さん、その分野ではトップランナーの方ばかり。でも、それぞれにいろいろな目標や課題をもって取り組んでおられます。普段、なかなかゆっくりと話す機会がなかったので、こうやってゆっくり語り合うのはとても新鮮でした。

 さて急がず焦らずサボらずで、自分の夢をしっかりつかめるように頑張りましょう!!

 

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