高麗橋桜花 徒然日記ー料理人はどこまでできるのか ー

「高麗橋桜花」店主・「大阪食文化研究所」主宰森田龍彦のブログです。どうぞご贔屓にお願い申し上ます。

ついに成立!「有機農業推進法」 -土の声 尾崎零著 その2。

2007-02-21 | 農業・食育・食文化について

▼有機農業推進法の概略

 では、この法律がどのようなものかの概略を書いておきましょう。

●第1条 目的

 基本理念を定め、国及び地方公共団体の責務を明らかにし、有機農業の推進に関する施策を総合的に講じ、有機農業の発展を図ることを目的としています。

●第2条 定義

 有機農業とは、化学的に合成された農薬や化学肥料を使用せず、遺伝子組み換え技術を利用しないことを基本として、環境への負荷を出来る限り低減した農業、と定めています。

●第3条 基本理念

・有機農業の推進は、農業の持続性と環境 と調和のとれた生産の確保、そして自然循環機能を増進し、農業者がこれに容易に従事できるようにしなければならない。・食料の安全性志向の状況の中で、農業者その他関係者が積極的に有機農産物の生産、流通販売に取り組めるようにすると共に、消費者が容易にこれらを入手できるようにしなければならない。

・有機農業の推進は、有機農業者とその他関係者、消費者との連携の促進を図らな ければならない。

・また、農業者その他関係者の自主性を尊 重しなければならない。

●第4条 国及び地方公共団体の責務

・国及び地方公共団体は、有機農業の推進に関する施策を総合的に策定し、実施する責務がある。 

・農業者その他関係者、消費者の協力を得て有機農業の推進を行う

●第5条 法制上の措置等

 政府は、必要な法政上、財政上の措置を講じなければならない。

●第6条 基本方針

 農水大臣は、基本方針を定め公表しなければならない。

 

●第7条 推進計画

 都道府県は、基本方針に即し推進計画を定めるように努め公表しなければならない。

 続く。

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ついに成立!「有機農業推進法」 -土の声 尾崎零著

2007-02-16 | 農業・食育・食文化について

 先日、ついに「有機農業推進法」が成立しました。今までにJAS認定など物に対しての法律はありましたが、今回の法案は理念法ながらも有機農業そのものを取り扱った画期的な法律です。

 今回はこの法律の制定にご尽力を尽くされた尾崎零氏が書かれたものを、このブログでも発表させて頂けることになりました。ちなみに「土の声」というのは大有研会員に送付される機関紙で、私もこの中でオーガニックレシピを担当させて貰っています。

 ついに成立!「有機農業推進法」 -尾崎零

「有機農業の推進に関する法律」(略称:有機農業推進法)が、12月8日の衆議院本会議において全会一致で可決成立され、15日から施行となりました。

 施行とは云ってもまだ具体的な政策が決まったわけではなく、有機農業推進に向けての基本方針、推進計画の策定がこれから始まるわけです。

 日本で有機農業運動がはじまって30余年。民間での草の根的に展開されてきた有機農業/運動の取り組みが、法律化され国の政策として、社会制度として始まることになったのです。これは画期的なことだと云えるでしょう。この国の農政は、61年に制定された農業基本法によって、「量と経済効率」を追い求めることをベースとして、そのために農薬・化学肥料を多投するいわゆる近代農業を推し進めてきたわけです。ところが、30年余りの歴史があるとはいえ、それとは全く反対の有機農業がこれからの指針の一つとして制度化されることになったわけですから、まさに画期的といえるでしょう。 

この運動の初期の頃より関わり、やがて自らこの暮らしをはじめた私としましては、嬉しく思うと同時にやっとここまで来たぁッ!といったこところです。この法律の成立で、各地で地元との軋轢で苦労してきた生産者やこれから有機農業を目指す人たちへの支援が始まることを大いに期待したいと思います。 続く。

 

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イベント案内。

2007-02-15 | 農業・食育・食文化について

2月にあるイベントのお知らせをさせて頂きます。

まずは私が世話人を務めています、大阪府有機農業研究会主催のドキュメンタリー映画「フランドン農学校の尾崎さん」上映会と交流会のお誘いです。尾崎零さんは前大有研代表で、私の有機農業運動の師でもあり、同志でもあります。農業やオーガニック、生産者さんの交流に関心のある方は、是非ご参加下さい。詳しくはこちらから
 
また、私個人としては、恒例のオーガニック料理教室と初めて講演を行うことになりました。講演は初めての試みで、内容は私の体験談しかお話出来ませんが、今までに出会った方々に教えて頂いたことを少しでもお伝えできれば、と思っています。(料理教室はお陰様で定員に達しました。)
 日程が上記のイベントと重なってしまうのですが、交流会には参加致します。ご都合がつきましたら、遠方ではございますが、是非足をお運び頂ければと思います。
 講演    今年も少しでも多くの方に、食べることの大切さや食事のほんとうの贅沢を伝えたいと思います。ご支援、よろしくお願い致します。
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こんぶ土居通信 その2

2007-02-11 | 農業・食育・食文化について

③ 本物に触れ、それを見分ける能力を持つ

味覚(嗅覚も含む)の大切さ 味覚はセンサーです。口に入れるものが安全かどうか体に必要かどうかを味覚で判断します。動物が生きていくうえでとても大切な味覚も間違った食生活続けていると正常な機能を保てなくなります。また、本当においしい食べ物に触れることは人生の大きな喜びです。18世紀のフランスの美食家であるブリアサヴァランは、「創造主はわれわれに生きるがために食べることをしているかわりに、美味によってわれわれをささえ、快楽によってわれわれに報いているのだ。」を言っています。何を食べてもおいしいと感じる人は本当のおいしさを知らないか又は飢餓状態です。

表示を見るポイント 加工食品を買う場合、味を見なくても原材料名の表示を見ると、見たことのない物質名が、好ましくないものが解るようになります。食品添加物や見たことのない物質名が書いてあるのは避けます。原材料表示は、使用割合の多いものから順に記載することになっており、そのことにも注意して表示を見ると、いかにおかしな原料で作られた加工食品が多いかを理解していただけると思います。

化学調味料[表示上で調味料(アミノ酸)]の問題点

.●味覚の麻痺(偽物をおいしく感じさせる)

.●塩分の過剰摂取

●不当な価格競争、味の画一化. 調理の努力の放棄などによる食文化の破壊。、

次世代のうま味調味料 酵母エキス、工業生産による各種エキス、新式魚醤などがあり、化学調味料と同じ問題点があります。これらを使った食品は、無添加、天然、自然素材などと表記されることが多いので正しい知識が必要です。

加工油脂について 人類の永い歴史の中でつい最近まで食べたことがないものは、避けたほうが無難です。それらの中には食品添加物の多くや、うま味調味料とともに加工油脂があります。加工油脂とは表示では食用植物油と書かれることが多く、やし油などに水素添加や高温での精製などにより油の性質を変えたものです。メーカーがこれを使う理由として、価格が安く、酸化しにくく、くせがなく、パリッと仕上がる、健康的と優良誤認してくれるなどがあげられます。かなり多くの加工食、外食食材で使われています。外食食材で使われています品や。外食食材で使われていますについて「こんぶ土居通信No.11」(平成16 年5 月発行)でお伝えしましたが、アメリカのニューヨーク市では心臓疾患を引き起こすとしてトランス脂肪酸を含む、油脂の使用が全面的に禁止されることになりました。日本ではいまだ野放しです。

④ お年寄り・意識の高い料理人の協力
郷土料理や伝統食をまもるために、生きがいを持ってもらうために、お年寄りも食育に参加してもらうとよいと思います。同時に意識の高い腕の良い料理人にも協力してもらうと食育を進めやすくなります。この人たちは食の本質が解り、何よりおいしいものが作れます。おいしさこそ食に関心を持つ近道です。前述の小学校でのお好み焼き作りには「レストラン豚玉」のオーナーシェフの協力がありました。

まとめ

誰が食育をするのか

本来は家庭ですべきものだとは思いますが、現状では難しいようです。その他、食品製造者等も大きな役割を果たせるはずですが食、最近では、育とは名ばかりの大手メーカーの自社商品の刷り込みを目的としたものなどもあり注意が必要です。やはり周知という意味において、学校で教えるのがもっとも適当でしょう。日本中の子供たちが小学校の先生に教えられて、自分でご飯を炊くことができ、ちゃんとした出汁をとって味噌汁が作れたら、この国は情緒の安定したすばらしい国になるとおもいます。

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こんぶ土居通信 その1

2007-02-04 | 農業・食育・食文化について

 先日空堀町にある、こんぶ土居さんを訪問しました。

 老舗の名店にも拘らず、とても気さくに接してくださいます。職人肌の先代さんにもとても応援してもらっていて、 私もいろいろと相談にのってもらい、ありがたい助言をくださいます。
 今の当主は私より2歳年下なのですが常に前向きで謙虚、しかも熱意のある方です。そしてなにより、今までのお店に受け継がれてこだわりを十二分に理解されておられます。

 今、私が考えていることを話し、土居さんの意見や思いをお聞きしました。こんなことを話していると、時間があっという間に過ぎてしまいます。 そして共通認識が出来ました。日本料理・食文化を大切に出来きて、担っていく若手がもっといろいろと交流できる場が必要だと。 今すぐには無理かもしれませんが、少人数でも良いので 少しずつ前進したいと思っています。

 今回、土居さんのご好意で「こんぶ土居」通信を、このブログでも公表させて頂けることになりました。本当に嬉しく、光栄なことだと思います。私自身も、たくさん学びたいと思っております。

 「こんぶ土居通信 16号」より

 -食育についてー

食育の目的 食に関心を持ち、正しい食生活ができるようになること。

食育の進め方

① 和食を基本とする

食育にもいろいろな方法があり、料理を教えるのが一般的です。その場合、人気のあるイタリアンやフレンチが多いようです。子供たちに魚のおろし方を教えたり、鶏のさばき方を見せたりする場合もあるようです。しかし、日本人にとっては和食が基本であり、それを体得した上で広げていくべきだと考えます。

② 一次産業への関心・生産者への思いを深める                                    地産地消 和食の場合、その原料は国産のはずでが、現状は大変なことになっています。天ぷらそばを食べても水以外は輸入品であるというのが笑い話ではないそうです。和食の食材は国産で顔の見える関係が望ましいと考えます。顔が見えれば食べるほうは安心で、作るほうは仕事にやりがいが出ます。反日感情を持っている国から食べ物を輸入して大丈夫でしょうか。

食糧自給 食糧自給食糧が自給できないと独立国と言えません。お金さえ出せばいつでも外国から食料が買えると思うのは間違いです。天候不順、水不足、バイオマス燃料化などが輸入の妨げの要因になります。鶏肉や卵、牛乳などは国産品が主流ですが、家畜のえさはほとんどが輸入で、本当の意味での国産とは言えません。これらは価格が安く思えますが深く掘り下げて考えると問題も多いものです。安いからたくさん食べる、たくさん家畜を飼う、糞もたくさん出来る、それをすべて、肥料にすれば過栄養となり作物や土地を汚染します。過栄養の土壌で育った野菜には硝酸が多く含まれているので,野菜汁をハムの発色剤として使えるのではとまで、言われています。
こんぶ土居では国産原料100%を目指し、ほぼ達成できそうです。当店の国産原料というのは、原料の原料も国産であるということです。たとえば国産のみりんのその原料のもち米やうるち米も国産です。

函館市立磨光小学校での食育 昆布を生産されている漁師の方との顔の見える関係が必要と考え、20数年前から産地へ通い続け、最近やっと一部の昆布漁師の方とものがいえる関係が出来てきました。8年前からは毎年地元の小学校の5年生に昆布文化の素晴しさ、地元の産業の重要性、和食の基本であるだしのとり方等についてお話をさせていただいています。回を重ねるうち内容が進化し今回は家庭科室で昆布とかつお節で出汁をとり、その出汁を使って去年の5年生から要望のあったお好み焼きを作ってみんなで食べました。生徒さんの歓迎ぶりや学校の関心の深さが印象的でした。生産者との信頼関係を作り一次産業が健全になることが何より大切で、結果として自然環境がよくなり、持続可能な循環型社会につながると思います。 その2に続く。

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