shiotch7 の 明日なき暴走

ビートルズを中心に、昭和歌謡からジャズヴォーカルまで、大好きな音楽についてあれこれ書き綴った音楽日記です

Love You Live / Rolling Stones

2009-05-20 | Rolling Stones / The Who
 私が一番よく聴くストーンズは以前にも書いたように60年代後半の “完全なるオリジナリティーを確立した” 頃の盤なのだが、70年代の盤も同じくらい愛聴している。ブライアン・ジョーンズの死、オルタモントの悲劇を乗り越え、ビートルズというライバルがいなくなったロック界で、いささかも初期の衝動を失うことなくその熱いロックンロール・スピリットを武器に彼らは転がり続けた。
 まずは彼らの代表曲の一つである「ブラウン・シュガー」入りで例のアンディ・ウォーホールの “ジッパー付きジャケット” でも有名な「スティッキー・フィンガーズ」、ロックンロールやブルースに加えてスワンプ・ロックにまで手を染めたごった煮風2枚組「メインストリートのならず者」、個人的には全米№1ソング「悲しみのアンジー」よりも「スター・スター」の疾走感に魅かれる「山羊の頭のスープ」、アルバム・タイトル曲が私のようなロックンロール愛好家のアンセムとなった「イッツ・オンリー・ロックンロール」、ロン・ウッド加入が吉と出てサウンドにふてぶてしさのようなものが加わった「ブラック・アンド・ブルー」と、もう出すアルバムすべてが傑作なのだから恐れ入る。これらのアルバム群はすべてリアルタイムで経験したものではなく60年代ストーンズを聴いた後で1枚ずつ買っていったのだが、そのきっかけとなったのが、個人的にはスタジオ・アルバムも含めて彼らのベストと信ずるこの2枚組ライブ・アルバム「ラヴ・ユー・ライヴ」である。
 今もパソコンに向かいながら聴いているのだが、それにしてもこのテンションの高さは何なのだろう!アグレッシヴでアナーキーでとてつもなくワイルドなロックンロールのアメアラレでこの時期の彼らがいかにノッていたかがダイレクトに伝わってくる熱い演奏だ。まずはリオのカーニバルのような打楽器の乱れ打ちからELPの「庶民のファンファーレ」のイントロが流れ、この究極のロックンロール・ショーがスタートする。いきなり響き渡る①「ホンキー・トンク・ウイメン」のギター・リフがたまらなくカッコイイ(≧▽≦) ②「イフ・ユー・キャント・ロック・ミー」が信じられないことにいつの間にか「ゲット・オフ・オブ・マイ・クラウド」に変わっている。この繋げ方、ニクイねぇ!キースが歌うノリノリの④「ハッピー」→このネチッコさにハマるともう抜け出せない⑤「ホット・スタッフ」→言葉を失う最高のロックンロール・ナンバー⑥「スター・スター」と、もうA面だけでメシ3杯は食えそうだ(^o^)丿 
 B面に入ると一転、①「ダイスをころがせ」、②「フィンガープリント・ファイル」、③「ユーガッタ・ムーヴ」、④「無情の世界」といったブルージーなナンバーの波状攻撃だ。更に4面中唯一トロントの小さなクラブで録られたC面はブルージーどころか完全なコテコテ・ブルースを嬉々として演奏しており、ミックのハーモニカも聞けるわ、ボ・ディドリーの曲も演ってるわで、これを聴けば彼らのルーツが明確に浮き彫りになるという寸法だ。
 ブルースもエエねんけど、やっぱりストーンズはアップテンポのロックンロールに尽きると考えている私のようなロックンロール・アディクトにはD面はこたえられない展開で、①「イッツ・オンリー・ロックンロール」、②「ブラウン・シュガー」、③「ジャンピング・ジャック・フラッシュ」、そして④「悪魔を憐れむ歌」と、ストーンズ全キャリア中最高の19分32秒が満喫できると言っても過言ではない。特に④はスタジオ音源を遙かに凌ぐファンキーなノリが圧巻だ。もしあなたがロックンロール大好きで、万が一このアルバムをまだ聴いたことがないとしたら、ぜひとも一聴をオススメしたい。英語に See Naples and die. (ナポリを見て死ね)という諺があるが、まさにListen to LOVE YOU LIVE and die! と言いたくなるような、ロックンロール・ライブ名盤中の名盤だ。

Rolling Stones - Sympathy For The Devil